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ファンタジー好きな方へ十二国記をできるかぎりネタバレ無しでカロリー高めにおススメしてみる

今、十二国記というシリーズがめちゃめちゃ盛り上がりを見せています。

本屋さんでも品切れ続出、Amazonの既刊全巻セットも売り切れる勢い。

なんでこんなことになっているかというと、2001年に出版された本編の、待ちに待った続編が!2019年に刊行されることがほぼ決定したから!!(小野先生脱稿おめでとうございます!!)

その間、短編集が出たり、出版社が変わって新装版が出たりはしたものの、ファンはずーーーーーーーーっと!本編新作を待ち望んでいました。私も喜びのあまり「ああ!生きててよかった!続編が読めるまで死ねない!!私、生きる!!!」と切実に思いましたよ!!

このシリーズ、当初はティーンズの女性向けとして売られていました。が、骨太の世界観、作りこまれた設定や伏線、リアリティと読み応えのあるストーリーに性別問わず魅了される大人も多い。結果ファン層も厚いし、これから新刊発売まで盛り上がり続けることは必至のジャンルです。

そんな盛り上がりの波に、ファンタジーが好きな方にはぜひ乗ってもらいたい!このシリーズの面白さに沼って欲しい!!今から既刊を読み始めれば新刊に間に合うから!!!そんな気持ちでおススメ記事を書いてみようと思いました。約3700字の記事になりますのでお時間のある方是非お付き合いください。(ああ、前置きだけで約500文字使ってしまった……)


目次
・こんな方におススメしたい、十二国記
・本編と番外編と短編集まとめ
・どれから読むのがいいか
・怖い話・暗い話はちょっと…な方は
・お手軽に世界観だけかじってみたい~という方には
・人間性を成長させてくれた十二国記。


こんな方におススメしたい、十二国記

十二国記は、山海経などをモデルとしつつ、独自の世界観を持つ中国系の異世界ファンタジーです。先にも述べました通り「骨太の世界観、作りこまれた設定や伏線、リアリティと読み応えのあるストーリー」が魅力の作品です。

ファンタジーがお好きなすべての方におススメしたいとは思うところなのですが……以下の作品にハマったことがある方は、特に手を出して損はないものになるはずです!!(私が好きな作品や、普段私の交流あるクラスタさんたちが好きな作品を参考にしています)

「精霊の守り人」「獣の奏者」「図書館の魔女」「デルフィニア戦記」「彩雲国物語」「烏に単は似合わない」「空色勾玉」「西の良き魔女」「グイン・サーガ」「心霊探偵八雲」など

あと、巻ごとに主人公や舞台の国が変わりますが、本編でサブキャラだった人物が番外編でメインキャラを張っていたり、はたまたトリックスターになったりと全編ゆるーくつながっているので、そういう話が好きな人にも超絶おススメ

作者である小野不由美さんは、主にホラー色の強いミステリーを書かれているので、そちらを読んだことのある方で十二国記未読の方にも一度手に取ってもらいたいですね。

小野不由美作品List
「屍鬼」「東亰異聞」「ゴーストハント」「残穢」「黒祠の島」「くらのかみ」「鬼談百景」「営繕かるかや怪異譚」「怪談えほん(10) はこ」など

本編と番外編と短編集

この十二国記シリーズ、タイトルだけだと本編なのか番外編なのか、短編集なのかよくわかりません。なので先にまとめておこうと思います。記載は刊行順です。(2020.10.21追記:講談社X文庫ホワイトハートで刊行された時のもの。現在新作長編が出ている新潮社版では『丕緒の鳥』が『風の万里 黎明の空』の後となっております)

準本編:『魔性の子』(舞台が違いますが本編裏話なので準本編とします)
本編:『月の影 影の海』上下
本編:『風の海 迷宮の岸』
番外編:『東の海神 西の滄海』
本編:『風の万里 黎明の空』上下
番外編:『図南の翼』
本編:『黄昏の岸 暁の天』
短編集:『華胥の幽夢』
短編集:『丕緒の鳥』
本編:長編新作!!2019年刊行予定!!フゥー!!

どれから読むのがいいか

たくさんあるシリーズの中で、どれから読んだらいいのか?というのは十二国記ファンの中でも意見の分かれる定番のトピックです。

私は刊行順に読むことをお勧めしています。世界観が分かりやすいように工夫がされているし、伏線を伏線として楽しめるから。私自身は初めのうち続きものと知らず、刊行順に読めなかったので余計にそう感じるのかもしれません。時間がなければ、本編のみ刊行順で読み、番外編や短編は後から刊行順で読む、というのもいいかも。

とにかく暗い序盤、でも

エピソード0に当たる「魔性の子」は、1990年代の日本を舞台としたファンタジーホラーとして描かれています。母校に教育実習に行くことになった教生の視点から語られ、「祟る」と噂される生徒を主軸に、話が進むに従って謎も陰惨さも加速していきます。最終的にたくさんの不可解を残して終わるこのお話ですが、十二国記というシリーズの根幹に関わる非常に重要なストーリーの”一部”です。

そしてシリーズ1作目の「月の影 影の海(上巻)」はひたすらにネガティブな展開が続く感じです。主人公はちょっと大人しいタイプのごく普通の女子高生。でも、今流行りの異世界転生なんてメじゃありません。攻撃・回復両方のチートアイテムが最初に渡されるにも関わらず、右も左もわからない世界に突然1人で放り出され、迫害され追われ裏切られ。野垂れ死にする寸前まで追いつめられて。孤独に生き延びる超サバイバルストーリーが展開されます。

上記2つは、人間模様の愚かさやホラー表現(死・流血あり)などで読むのがしんどくなるかもしれません。。

でも、「月の影 影の海(上巻)」ではそのしんどさが世界の圧倒的リアリティと、キャラクターの説得力と厚みを持たせ、「月の影 影の海(下巻)」での納得感や感動へ導いてくれます。

「魔性の子」は、シリーズの大きな流れの中で伏線回収された時に必ず報われるので、最初は何とか耐えてください。
絶対、「ええ!この時こうだったの!?」「あーなるほど!そういうことだったのね!!」ってなるので!!一通り読んだ後にもう一度読み返すと全く違う感想になります!!1冊で2度美味しい!!いやそれ以上!!!だからできればなるべく最初の方で!!読んで欲しい!!!!

それでも怖い話・暗い話はちょっと…な方は

ホラーや流血・死ネタが苦手、暗い展開は心が折れそう、という方、安心してください。十二国記にはほのぼのできるお話もあります。

入り口としておススメなのは「風の海 迷宮の岸」。本編にあたる内容で、世界観も入っていきやすいようになっています。ほんの少し「月の影 影の海」にかかるネタバレ要素もありますが、安心して読めるという点ではぐっとおススメ度が上がる作品です。

なんと言っても、主人公の少年が健気と可愛いさの極みなので、可愛い少年が好きな方にぜひ読んで欲しいですね!

お手軽に世界観だけかじってみたい~という方には

「本編に手を出してあんまり自分に合わなかったとして、でも読んじゃったら続きも気になるだろうし不安」「全部読むのが大変そうで嫌だな。かといってハマった場合に盛大なネタバレも御免被る」という方には、1冊で十二国記の世界観をぎゅっと凝縮した番外編、「東の海神 西の蒼海」「図南の翼」をおススメします。

1冊でお話自体はしっかり纏まっていますので、手軽に世界観を感じて自分に合う合わないを試してみることができますよ!!

私は初読が「東の海神 西の蒼海」でした。当時13,4歳で「指輪物語」は冒頭で飽きてしまった私ですが、「東の海神 西の蒼海」もなかなかに理解が難しい部分もあったのに、それでもドハマりして十数年です。恐るべし十二国記。ストーリーとしては勧善懲悪、出てくるキャラが格好いいことこの上ない。でもシリーズを読んでいくにつれより深いテーマも伺わせてくれます。できれば「図南の翼」より先に読んで欲しい。理由は明言できませんが、、察してください><

「図南の翼」はファンの中でも「映画化して欲しい!」「アニメ化して欲しい!」という声も多い(自分調べ)作品で、齢12歳の年端もいかぬ少女が持ち前の賢さと気の強さと強運を駆使して旅をする冒険活劇です。人としてどのようにあるべきか悩んだりしながらも、その時その時で少女なりの筋を通して行動する様は読んでいてとても爽快!!!何度読んでも飽きない面白さの作品です。

人間性を成長させてくれた十二国記。

十二国記では、キャラクターたちが本当に生きているかのようにリアリティをもって描かれています。その一人一人のキャラクターたちの苦悩・変容や成長を通して、読者として学ぶことも大変多い良書です。現在のささりんという人間の価値観や哲学には、十二国記が与えた影響もとても大きく、人間としての器を大きくしてもらえたなぁ……と感じることも多いので、もっとたくさんの方に十二国記を読んでもらえたら嬉しいです。


というか!私はこれから十二国記を読む方がうらやましいです!!叶うことなら、読んだ記憶を全部消して、もう一度最初から読みたいくらい!!!それくらいあの読書体験は他に代えがたい!ファンタジー好きだけといわず、全読書家に味わって欲しいです!!!今なら、私たち既存ファンが待ち続けた十数年を待たずに完結(恐らく)まで読めるというのも超絶お得です!!

十二国記、今こそ読むべきコンテンツです!!!


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