1兆ドル・米国コロナ向け経済政策と日本通貨再膨張政策(Reflation)
昨夜米国のトランプ大統領はコロナ対策のために巨大な経済対策を発表した。
一兆ドル、日本円で107兆円である。
国民全員に1000ドル(10万円)を配ることも計画中だという。実は香港ではすでに10万円が配られている。
それに引き換え、日本では一人1万2千円とか小さな額で囁かれているし、その決定もまだまだ先になりそうだ。SNSでは日本を失われた20年にする気かとか、いろんな話が飛んでいる。
私から言わせると、失われた20年で済めばいいね。もっと大きな混乱と戦後直後のような犯罪社会が到来するかもしれないと思う。それほど今の日本経済は疲弊している。
長らく日本が低迷している理由は、一言でいうと世界の通貨膨張の速度についていけていないからだ。
◆ニクソンシッョク・通貨体制の変革
1971年8月15日にニクソンショックという歴史的事件があった
アメリカのニクソン大統領が米ドル紙幣と金との交換を停止し、ブレトン・ウッズ体制の終結を告げた経済政策のことだ。
金とドルを交換しない。これが何を意味するかという事を日本人は理解せずに「ドルは金の裏付けを失った」と言う。ニクソンショックから50年、ドルは金の裏付けはないが、今も世界の基軸通貨である。
これは世界経済の成長に見合うだけの金の量や産出量は存在しそうもないので、ドルを基本にして世界経済を成長させるという新体制に移行した、という事である。
基軸通貨とはどういうことだろうか。貿易をするにあたって、ドルを利用しないといけないというルールである。石油や小麦、半導体など様々な物資はドルで決済される。それは米国との貿易でなくても必要とされる。
インドとフィリピンや、サウジアラビアとベトナムとか、様々な国と国との間でドルが使われている。それが基軸通貨ということだ。
だから全ての国がドルを基本に上がった、下がったを悩む。そして、貿易決済のためにドルを貯めようとする。米国は自分の国民だけじゃなく、世界の国や企業にお金を受け取ってもらうことに成功したのだ。
米国が景気刺激策として1兆ドルの財政政策をとるぞ、といったら、金と違っていきなり量を増やすことが出来る。何の経費もかけずに、政府の口座にFRB(米国中央銀行)が振り込みするだけである。
これを通貨再膨張政策(Reflation)という
米国の財政は4.7兆円だが、それがいきなり5.7兆ドルになる。20%も財政出動が増える。ドルが水増しされるのだから、間違いなくドル安になる
日本とすれば、米国のReflationに対応する経済政策、財政・金融が一体となった政策が必要である。そうでなければ、強烈な円高が来る。日本の財政に見合う数字ではなく、米国の通貨膨張政策に見合うような、最終的には為替水準を勘案した財政と金融の政策が必要なのだ。
日本はドルの通貨再膨張に見合うだけの円の通貨再膨張を行わないと通貨の価値が上がって、最終的にはデフレに戻るという事である
ちなみに、日銀は歴史上まれなくらいの低金利であり、国債を買いたくても買えない状態にある。だから、日本政府が50兆円でも100兆円でも発行すれば発行しただけ、日銀は国債を買うだろう。物価が上がるまで、日銀はずっと国債を買うよ!と宣言しているからだ。
いま、日本はシニョレッジの使い方を間違えている。本当はこれを利用すれば世界一のお金持ちになれる可能性を日本は秘めている。
しかし、政治家も官僚もマスコミも、何より日本の経済学者が、このReflationが理解できずにいる
本当に残念なことだ。
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