マイナビ学生の窓口「#Z世代の目線から」エッセイコンテスト7月優秀作品                 『『海』と「海」』

お題「うみ」

初めに、かの有名なゲーテは『ファウスト』の中でこう言った。「驚きは人類の最上の部分である」と。

安心・便利・快適な街を生きる我々は驚きとは中々巡り会えない。どれだけ日々を過ごしてもどこか既視感のあることばかり。切っても切っても同じ顔の金太郎飴みたいな生活に思えてくる。

でも、海は違う。知らないことと驚きでいっぱいだ。

それは、ある夏の日のこと。僕は沖縄の海でシュノーケリングをした。

目の前には、宝石を溶かしたような鮮やかな青色の海が広がっていた。陸から海を覗くと小さな魚達が泳いでいるのが分かる。フィンをつけた足をゆっくりと海にいれ、マスクとシュノーケル(=呼吸器)を装着した顔を海につける。

するとどうだ!

陸からは泳いでいるようにしか見えなかった魚達が楽しそうに踊っているではないか!鯛やヒラメが群になって舞い踊っている。竜宮城は確かにあったのだ!向こうの魚なんて、僕に手を振っているじゃないか!

僕は嬉しくなって、フィンを進める。次なる遊楽を求めて海の中を覗いていると、僕は大きな影に近づいているのに気づいた。

影をじっくり見ていると、なんとそこにはジンベイザメがいるではないか!大きな口で海水を飲み込んでいる。羊達が柔らかに草を食むなら、ジンベイザメ達は猛々しくプランクトンを食み尽くすといったところだ。何という迫力!これほど大きな口は見たことがなかった。

圧倒されじっくり見ていると、体どんどん1匹のジンベイザメの口に吸い込まれそうになる。

あまりの勢いに、まずい!食べられる!と思っていたら、意外にもジンベイザメは僕を飲み込む前に口を閉じてくれた。よかった。優しいサメもいるんだな。ジンベイザメは頭を下げ、謝った後ウィンクをして僕の前を去った。

以上が、僕の体験した驚き溢れる海の体験だ。

乾いた東京では経験できないことだ。東京はどこまでいっても知ってることばかりで驚きがない。

でも、本当にそうだろうか。

海の中に驚きが詰まっていることに気づくことができたのは、僕が海に顔をつけたからだ。知ろうとしなければ驚きがあっても気づくことができない。そうだとすれば、きっと東京の街にも「海」があるはずだ!世界にはまだまだ沢山の知らないことと驚きが眠っているのだ。

僕らは勇気という酸素を一杯胸に溜めて、社会を生きなければならない。どこかにある最上の竜宮城とジンベイザメを見つけるために。

最後に、かの有名なゲーテは『格言と反省』の中でこう言った。「自分の好きなように世界を知るがいい」と。

以下、コンテスト記事リンク
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