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【2024年】1月2月に読んだ本


『おしごとそうだんセンター』ヨシタケ シンスケ

地球に不時着した宇宙人とちょっと風変わりな職業相談所のスタッフとの会話から「仕事」や「働くということ」を考えていく絵本。
ジョブ・クラフティング的な視点もあり、自分も社会で働いているひとりの人間としてその内容にしみじみしたり胸打たれたり。ヨシタケさんによる「まだ世界に存在しない」めずらしいおしごとのイラストたちもいつもどおりワクワクさせてくれた。

『ヴァン・ゴッホ・カフェ』シンシア・ライラント

かつて劇場だった建物のかたすみにあるカフェ「ヴァン・ゴッホ・カフェ」ではあらゆるものに当然のように魔法がしみこんでいる。力を抜いて楽しめる7つの連作短編で、各章ごとに入る画家ささめやゆきさんの挿絵がなんとも味わいのあるおしゃれ児童書。吉祥寺の絵本・児童書専門古書店「MAIN TENT」に遊びにいったときに購入。

『ぼくがつぼくにちぼくようび』荒井 良二

こちらも吉祥寺の絵本・児童書専門古書店「MAIN TENT」で購入。2001年に発行された荒井良二さんのふしぎですがすがしく楽しい日々が描かれた、毎日がぼくがつぼくにちぼくようびな「ぼく」の絵日記。

『蛇の棲む水たまり』梨木 香歩

昨年行われた展覧会に合わせて刊行された、陶芸家である鹿児島睦さんの器からインスピレーションを受けて小説家の梨木香歩さんが書いた物語。
ユニコーンになりたくて群れから離れた馬が不思議な水たまりを見つける。その水たまりの中に入った猫はライオンになり、ゾウはトリケラトプスに変身する。そんな不思議な水たまりとそこに棲む蛇との対話。叙情的で詩のような文章を追いながら、これは人によって示唆されていると思うものが違うのだろうなと感じた。ねぇどんなことを考えた?と読んだ人と話してみたくなる作品。

『よいこの君主論』架神 恭介/辰巳 一世

戦略論の古典的名著、マキャベリの『君主論』を小学校の学級統一を題材に親しみやすく(?)教えてくれる本。
小学五年生のひろしくんは権力への野望を持つ同級生たちと争いながらクラス統一を目指す。表面的には遠足や運動会や雪合戦など行事なのだが、その裏で企みや裏切り、謀りが交差して各グループは解体されたり吸収されたりしていく。解説でさらっと言う暴言や「下々(しもじも)の者ども」「終わりの会という名の弾劾裁判」など最後までブレない姿勢で突っ走っていて面白かった。

『アイデアのつくり方』ジェームス・W・ヤング

この本とは何度も接点があったけれど、なぜかなかなか読む気になれず放置していた一冊。注目しているデザイナーさんが「この本は必読」と挙げていたのでこの機会に読了。アイデアをつくる5段階はシンプルでその通りだと思うが真摯に取り組むと決して容易なものではなく、なによりすべての段階を常にやっていることになるという意味でも“60分で読めるけど、一生あなたを話さない本”。

『オルタナティブ・パブリック』浜田 晶則/クマ タイチ

建築物に頼らずとも都市に公共(パブリック)を生み出せるのではないか。建築家2人と先進的な“公共”をつくる活動をしている実践者たちとの対話集。
ゲームや音楽、演劇、ランドスケープ、公園、食などの多岐にわたるジャンルでの対談が載っており、初めて知ったプロジェクトばかりだった。最近興味が出てきた分野。

『インディーゲーム中毒者の幸福な孤独』ソーシキ博士

インディーゲームとはざっくり言うと個人などで小規模な人数で開発し、低予算で作られたゲーム。(=インディーズゲーム)その中でも著者が親しみを持っているのは、有名なものではなくインターネットの片隅にある"誰か"が作ったちいさなゲーム。本の中で紹介されているゲームはそのデザインの巧妙さに興味が湧くものばかりでここに書ききれないのが残念。普段ゲームは全くしないけれど、これはとても面白い世界を知ってしまった…。

『馬馬虎虎 (マーマーフーフー)vol.2 タイ・ラオス紀行』檀上 遼

檀上さんは篠原幸宏さんとの共著の『台湾旅行記 声はどこから』とNEVERLAND DINNERシリーズの台湾の一編で読んだことがあった。昨年10月の文学フリマで御本人のブースを見つけ、なんとなくタイ・ラオスの旅が読みたかったので(vol.1を飛び越して)vol.2を購入。その土地の情報もほどよくくれつつ等身大で小気味よいエピソードが楽しめた。『馬馬虎虎(マーマーフーフー)vol.1 気づけば台湾』も買わなくては。ところでタイトルの馬馬虎虎まーまーふーふーとは何なのだろうか。vol.1を読めばわかる気がするので今は調べないでおこうと思う。

『置かれた場所であばれたい』潮井 エムコ

本屋でなんとなくタイトルに惹かれて手に取り、良さそうだったので購入。noteやSNSで活躍されているエッセイストの方で初の書籍化作品らしい。
女子校で2人組になって生卵を大切に育てる不思議な家庭科の授業の話や結婚式に来なかったお姉さんからの粋なお祝いの話。置かれた場所(与えられた環境や条件)で存分にあばれている面白さと、見え隠れする胸の苦しさが染みるエッセイですぐに読み切ってしまった。

『私たちは同調する』ジェイ・ヴァン・バヴェル/ドミニク・パッカー

「自分らしさ」と集団は、いかに影響し合うのか。Tattva2023年9月号の中にあったジェイ・ヴァン・ヴァヴェル氏のコラム「グループアイデンティとはなにか」がとても興味深かったので、紹介されていたこの本も購入。
所属する集団はいかにしてその人の自意識の一部となり、世界のとらえ方や感じ方、意思決定の仕方にどんな影響を与えているのか。同族意識が行動に与える影響をどうすれば建設的なものに導けるか。ちょっと読むの大変だったけど面白かった。ここ数年はここらへん界隈への興味がとてもつよい。

以上、1月2月に読んだ本でした。




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