「創る、作る、売る」を、自分ごとで考える
社外社員計画 代表のKumiです。
「創る、作る、売る」という言葉を聞いたことがありますか。経営のサポートをするなかでも、挑戦中のファブリック事業の立ち上げにおいても、この言葉が頻繁に頭を過ります。なので、今回はこの言葉を通して、日々感じていることを書きたいと思います。
「創る、作る、売る」とは
経営学を勉強したことがある人の中には、「創る、作る、売る」の言葉聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。数多くの企業の再生を手掛けた、三枝匡さんが組織づくりに重要だとしている概念です。私が、この言葉を初めて知ったのは、ビジネススクールで学んでいた時でした。また、企業の再生が描かれている「V字回復の経営」(著:三枝匡氏)でも、「創る、作る、売る」の考え方に多く触れられています。概略は、以下のような内容です。
大企業では、組織が大きくて、「創る(開発)」、「作る(製造)」、「売る(販売)」が分離してしまい、顧客が求めるものと乖離したものをつくり続けることになってしまいがち。「創る、作る、売る」のサイクルを途切れなく、早く回すことで、競合よりも顧客の声をいち早く取り入れて、顧客が求めるものを真っ先に届けることができる。また、組織のトップを中心として、このプロセス全体を見渡し、コントロールする経験を経ることで、強いリーダーが育つとともに、強い組織ができる。
興味を持った方はぜひ、「V字回復の経営」を読んでいただければと思います。
企業の強みを理解する
「創る、作る、売る」は、とても深い意味がありますが、イメージが沸きやすく、分かりやすい言葉であったため、非常に印象に残りました。そのため、中小企業の経営をサポートする中でも、「創る、作る、売る」というプロセスを意識しながら、企業の全体像を把握しています。中には、「創る、作る、売る」いずれも長けている、バランス感覚に優れた企業もありますが、多くの企業は、「創る」、「作る」、「売る」のいずれかを特に得意としている企業であることに気付きます。
経営を続けていく中で、多くの企業は新たなことに挑戦しますが、「創る」「作る」「売る」のいずれか得意な分野を伸ばす方向に挑戦した場合は、取り組みやすいですが、不得意な分野の方向に向かって挑戦した場合は、苦戦している事例も多くみられます。
だからと言って、一概に、「得意な分野に挑戦しましょう」「不得意な分野は避けましょう」ということではないのですが、得意なことをしようとしているのか、不得意なことをしようとしているのかを自覚して取り組むことは重要だと考えます。不得意でも、将来的な可能性を広げるための挑戦であれば、取り組む価値があることも多々あるかと思いますが、不得意であることを自覚していないと、うまくいかなかったときに、士気だけそがれてしまい、せっかくの挑戦がマイナスになってしまうからです。
逆に、不得意なことを自覚していれば、得意な人に助けを求める、得意な人と一緒にやるなど、色々と手が打てると思います。その上で挑戦して、軌道に乗せることができれば、組織として非常に大きなノウハウの蓄積になると思います。
自社にあてはめる
こんなふうに、はたからみて、客観的に分析していうのは簡単なのですが、自分でやってみると、その難しさがよく分かります。今、当社ではファブリック事業の立ち上げに向けた準備の真っ最中です。
当事業では、ファブリックのデザインは自社で行い、製造は他の企業にお願いをして、販売はインターネット限定で自社で行う予定です。なので、「創る」と「売る」を自社でがんばらないと、この事業は成り立ちません。一方で、当社の主力事業である経営コンサルティングはサービス業なので、「創る、作る、売る」が渾然一体となっていることも多く、どこに特徴があるのか特定が難しいです。ただ、少なくともファブリック事業の企画やデザインを考える「創る」や、インターネットで一般消費者に商品を直接販売する「売る」を、自社独自で取り組んだ経験が乏しいのは確かです。
仕事柄、様々な事例は知っていても、いざ自分で実際やってみると、「これは商品として成り立つのかな?」とか、「注文は少なすぎても困るけど、多すぎるのも困るな」など、色んなことを考え、客観的なアドバイスをするのと、自分で手を動かして生み出すのとでは、全く違うなということを、日々実感しています。
このように、得意か不得意かも分からないことを取り組みはじめ、手探りで準備中です。悩むことも多いですが、経営コンサルティング業務で日々行っている、問題を特定して、解決する力を活かしながら、少しずつ、「創る」と「売る」のノウハウを蓄積していきたいと思います。
器用な経営が求められる
最後に、中小企業のサポートをしていて思うのは、農作物をつくってそれを加工品にして販売している、6次産業化に取り組む企業のすごさです。原材料のところから「創る、作る、売る」をしているなんて、なんて器用な経営なんだろうと思います。
ネットショップを簡単に持つことができるようになり、自社製品を消費者に直接販売できるようになった今、6次産業化のような、「創る、作る、売る」の総合力をあわせ持つ、器用な経営スキルが求められている場面が増えているように思います。
社外社員計画では、飛騨地域で経営コンサルティングの仕事に携わっていただける社員の方を募集しています。「創る、作る、売る」のプロセスを間近で体感しながら、経営のサポートにも挑戦してみたいという方、ぜひご連絡いただけるとうれしいです!
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