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社会科学のエッセイとレビュー

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社会科学、特に組織論とイノベーション論の分野のエッセイと論文レビューなどの記事
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記事一覧

論文レビュー #1 加藤敬太「組織美学の生成と発展」を読んで

友人からの紹介で、加藤敬太著「組織美学の生成と発展」(組織学会編『組織論レビューIV: マク…

紫苑の始まり
1か月前
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社会科学研究の将来 #1 ~組織論・イノベーション論分野を中核として~

大学を退職して、研究の一線からは身を引いた研究者として、最近の組織論やイノベーション論の…

紫苑の始まり
1か月前
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研究的なシリーズエッセイ 『学習する社会』#1 シリーズエッセイを始めます

シリーズエッセイを始めるにあたって 日常生活では、ほとんどの物事を「当たり前」として、そ…

紫苑の始まり
1か月前
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『学習する社会』#2 1.イノベーションから学習へ 1.1「当たり前」について (…

1.イノベーションから学習へ久しぶりに東京から次男が帰ってくるという。夜行バスが到着した…

紫苑の始まり
4週間前
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論文レビュー #2 林徹「差異への対処: フォレットとバーナードの比較」を読んで

友人からの紹介で、林徹「差異への対処: フォレットとバーナードの比較」(経営学史学会編『…

紫苑の始まり
3週間前
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『学習する社会』#3 1.イノベーションから学習へ 1.2 イノベーションについて…

1.イノベーションから学習へ1.2 イノベーションについてイノベーションのような変化が経営…

紫苑の始まり
3週間前
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『学習する社会』#4 1.イノベーションから学習へ 1.3 社会変動について (研究的なシリーズエッセイ)

1.イノベーションから学習へ1.3 社会変動について『学習する社会』#3において、経営学や組織論における変化やイノベーション研究に「学習する社会」という見方が必要なことを述べたが、社会の変化についての研究は他の社会科学分野でも進められてきた。特に社会学において、社会変動の研究は主要な研究分野の一つであった。社会学辞典には次のように記述されている。 社会変動とは何か 社会変動論は社会構造の変動研究の中核であり、社会学の分野での社会変動は基本的に大域的な社会構造の変化としてと

社会科学研究の将来 #2 ~組織論・イノベーション論分野を中核として~

前回、実証を重視しすぎることによって、「実証」が半ば目的化していないかという危惧について…

紫苑の始まり
2週間前
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『学習する社会』#5 1.イノベーションから学習へ 1.4「学習する社会」という視…

1.イノベーションから学習へ1.4 「学習する社会」という視座について『学習する社会』#2…

紫苑の始まり
2週間前
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『学習する社会』#6 1.イノベーションから学習へ 1.5「研究的」という立ち位置…

1.イノベーションから学習へ1.5 「研究的」という立ち位置サイモン(H.A.Simon、1991)は…

紫苑の始まり
2週間前
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『学習する社会』#7 2.知ること 2.1 知ることの原点 2.1(1)暗黙知につい…

2.知ること次男が手を使い始めた頃、ものを持つのに左手をよく使うようであった。左利き用の…

紫苑の始まり
2週間前
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『学習する社会』#8 2.知ること 2.1 知ることの原点 2.1(2)暗黙知の包括…

2.知ること2.1 知ることの原点(2)暗黙知の包括性『学習する社会』#7において、ポラニ…

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『学習する社会』#9 2.知ること 2.1 知ることの原点 2.1(3)アフォーダン…

1.知ること1.1 知ることの原点(3)アフォーダンスについて『学習する社会』#8では、ポ…

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『学習する社会』#10 2.知ること 2.2 知るための媒体 2.2(1)媒体としての身体 (研究的なシリーズエッセイ)

2.知ること2.2 知るための媒体『学習する社会』#7~9では、ポラニー(1966)の暗黙知の議論(主として自律的に知る議論)とギブソン(1979)のアフォーダンスの議論(主として他律的に知る議論)に基づいて、「自律と他律の相互作用によって我々が知る」、ということの論考を進めてきた。今回からは、自律と他律の相互作用の焦点にある「知るための媒体」へと議論を展開しよう。 ギブソン(1979)が提示したアフォーダンスの概念を用いて佐伯(1990)は知ることの議論をさらに展開してい