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愚妻の夫は愚かなのか

韓国には年2回、仕事よりも家族を優先する時期がある。それが名節と呼ばれる、旧正月と旧盆だ。

今日は旧暦の1月1日、つまり新年のはじまりの一日だ。この日にトックク(韓国のお雑煮・餅入りスープ)を食べて、ひとつ年をとるのである。

韓国の年の数え方についてはコチラ

お正月気分というのは毎年この時期に味わう。韓国社会は一気に休みモードに突入し、例にもれず我が家も家族が集まりにぎやかに、ええそれはもう騒がしい時間を過ごした。

また、家によっては料理を準備し、祭祀を執り行って先祖を偲ぶ。ドラマなんかで見かけるホットプレートの前でぶつぶつ言いながらジョンを焼くシーンなんかはまさにこれだ。

さぁそんな韓国の旧正月。どの日よりも家族のことを考えるこの日に、韓国の会社で働く枝豆代表として、韓国の会社と家族というテーマでお話をしてみたいと思う。

家族の電話は仕事中でも即対応

未だにしっくりこない韓国の企業文化のひとつに【目の前の人間よりもかかってきた電話優先】というのがある。人を呼んでおきながら話の途中で平気で電話に出るときなんかは結構カチンと来るのだが、こればかりは仕方がない。

ドラマで見たことがある方もいるかもしれないが、

着信画面が見える
→どうぞどうぞのジェスチャー
→あっ、じゃあすいません…もしもし、あー、(息子)ちゃん?、どうちたんでちゅかー?

というのは割と日常のシーンである。

まぁわたしもセムダー(夫)に昼間でも電話することがあるので、人にそういう思いをさせていることはあるのかもしれないが…とにかくわたしはこれがイヤなので、基本的に仕事で目の前の人と話している時には家族の電話でも出ない。

だが彼らは仕事中でも家族からの電話に出る。そしてそれを誰も何とも思っていない。彼らが左方向にスワイプするのは、明確な意思を持って相手とのコミュケーションを拒む時だけだ。たとえ会議中でも口元を隠してひそひそ声で電話に出る。そういう文化らしい。ひょっとしたら、出ないほうが失礼にあたると思っているのかもしれない。

人前で家族をディスるのは無能の証

もうひとつ家族に関わることで日本と韓国で大きく異なる部分がある。それはたとえジョークでも人前で家族をディスらない、ということ。

家族の自慢話はたくさんしても、ディスる話はしない。なぜなら、家族をディスるということはそこに所属する自分自身を否定することにつながるからだ。

日本の実家に帰ると若干家族を下げるブラックジョークなんかも飛び出したりするわけで。

たまについつい日本の感覚で、人前で謙遜のつもりで家族の悪いところを先にアピールしてしまいそうな時があり、いつも「おっと、ここは韓国だった(汗)」となっている。

韓国でうちの愚妻が、なんて言っちゃうと、じゃあその配偶者であるあんたはどんだけ愚かなのーという評価となる。

単語としては存在するのでそういう言い回しは存在はするのかもしれない。だが、そういった言葉を実生活で使っている人は見たことがない。

じゃあどう言うか。会社のエライさんの前でも와이프や마누라が一般的だ。あなたが妻なら남편、子どもがいれば애기아빠もありだろう。

もし家族との関係がうまくいってなくて自慢どころか話題にも挙げたくない、そんな時にはどうするか。答えは簡単だ。言及しない、これに尽きる。

家族の話をしない=家族とうまくいってないのかも、と周りの方から察してくれるので心配無用だ。基本的には放っておいても向こうから家族の話をしてくるので、あなたにもできる話があるのならそれに乗っかってしまえばいい。

相手に気に入られたいなら家族をほめよう

ここ韓国では家族がほめられることで自分も満足感を得るという文化がある。これを利用しない手はない。相手に気に入られたいと思ったら、家族の話題が出てきた時にその家族を少し大げさにほめてみよう。本人を直接ほめるよりもいやらしくなく、相手も気分上々という、Win-Winの結果が期待できる。

ぜひあなたも相手の家族をほめて、韓国の会社組織で、あるいはビジネスで成功を勝ち取っていただければ幸いである。

以上、長々となってしまったが、韓国の会社で働くのであればぜひ覚えておいて損はないので心の隅にとどめておいていただければ幸いである。

読んでくれてありが豆m(_ _)m よりよいコンテンツ作りを目指していきます。