誰もが主人公になれる、ポップカルチャー発信地の立役者
サブカルやポップカルチャーの発信地として知られる池袋。その文化を、まちに関わる皆さんと一緒に創ってきたのは、10年以上前からコスプレイベントやポップカルチャー関連のイベントを多く開催してきたサンシャインシティです。
当時から企画・運営に携わってきた株式会社サンシャインシティ コンベンション事業部の額賀さんと、自らもサブカル文化に造詣の深い入社2年目の東宮さんに、イベントに込める思いやこれからのビジョンを伺いました。
池袋がコスプレの聖地になるまで
――池袋といえば、アニメやコスプレの聖地として広く知られるようになりましたが、そもそもサンシャインシティがなぜ関わりを持つようになったのか背景を教えてください。
額賀
過去にもサンシャインシティの展示ホールではアニメなど様々なサブカルコンテンツのイベントなどが開催されてきましたが、アニメイトさんからお声がけいただいたことがきっかけで、2014年からサンシャインシティを会場とした大規模なコスプレイベントのプロジェクトがスタートしました。今でこそコスプレが池袋を代表するカルチャーと言われるまでになりましたが、当時は社内でも「コスプレ?何それ?」といった反応がほとんど。イベントの実現に向けて、理解を得るのに大変苦労したことを覚えています。
――10年以上前は、コスプレは一部のごく限られた人のカルチャーだったのですね。この10年でずいぶんと認知は広がり、変化したのではないでしょうか?
額賀
そうですね。記念すべき第1回目のコスプレイベントに参加してくださったのは約200人。それから徐々に認知が広まり、サンシャインシティの向かいにアニメ関連ショップが立ち並ぶ「乙女ロード」があることなども相まって、池袋は女性のマンガ・アニメファンの聖地と呼ばれるまでになりました。コスプレに関しては高野前豊島区長からも応援いただき、アニメイトグループ・サンシャインシティ・豊島区という三者で盛り上げてきました。直近のコスプレイベントは、2日間で約9,000人もの方が参加してくださるまでの規模になっています。
そして、ドワンゴさんも一緒になり、年に1回開催している「池袋ハロウィンコスプレフェス」は池袋東口エリアを舞台にした国内最大級のコスプレイベントにまで成長しました!私自身、これまでにない新しい文化をサンシャインシティから発信できることに楽しさを感じて、色々と工夫してきた10年でした。
東宮
私はアニメが好きという理由もあり、サンシャインシティに入社しました。この10年の間でコスプレなどのカルチャーが一般的に認知されるようになったのは、SNSを通じて国を超えて文化が広がったことがあるのかなと思っています。
――アニメは日本を代表するカルチャーとして知られていますし、コスプレは海外でも人気だと聞いたことがあります。実際、イベントには海外からの参加も増えてきましたか?
額賀
コロナ禍が明けて、海外からの参加者も増えてきました。サンシャインシティを会場にして定期的に開催している「acosta!(アコスタ)」というコスプレイベントでは、参加ルールを共有するという目的もあり英語と中国語での案内を始めました。池袋の財産でもあるコスプレカルチャーを、より多くの方に気持ちよく楽しんでもらえたら嬉しいですね。
誰もが自由に表現できる場を提供したい
――月1回のイベントの他にも、ハロウィンなどさまざまな企画をされていますが、どのような場づくりを目指していますか?
額賀
実は先日、初めての試みとして、深夜22時〜翌朝5時までのオールナイトのイベントを開催したばかりです!
東宮
カラオケボックスのJOYSOUNDさんにご協力いただいてイベントホール内にカラオケブースを作ったり、サンシャインシティ 噴水広場でコスプレダンスステージを行ったりしたのですが、イベントに参加されているみなさんが、本当に自由に自己表現の場として楽しんでいるのが印象的で、私も嬉しかったです。その日は私も参加者として思い切りイベントを楽しんできました!
額賀
自由になれる場所があるだけで、皆さんは自己表現を楽しむことができるんですよね。私たちは、皆さんが本当にやりたいことを表現してそれぞれが主役になるための、場所づくりのお手伝いをしていきたいと思っています。
これからも、池袋のカルチャーをまちと共に進化させていく
――SDGs的な視点でいうと、アニメやコスプレなど魅力あるポップカルチャーの振興を支援することは、多様性のあるまちづくりの一環だと思いますが、おふたりがこれから挑戦してみたいことはありますか?
東宮
サブカルと言われていたカルチャーが、マイノリティーだったところからようやく広く知られるようになり、今はちょうど受け入れられるようになった段階だと思っています。次のステップとして、もっと多くの方に輪を広げていきたいという思いがあります。海外のお客様を受け入れられる体制を整えるのもこれからからだと思いますし、コスプレというすでに出来上がっているジャンル以外に、新しい“何か”がここから生まれたら嬉しいですね。その最先端を突っ切るのが、池袋でありサンシャインシティでありたいと思います。
額賀
私は「何それ?」と言われるところからスタートしてここまでやってきたので、これから先も、どんなことでもまずはやってみようというチャレンジ精神と実行力を忘れないようにしたいと思います。特に、若い世代が面白いと思うことに「それは難しいんじゃない?」などと邪魔をしないように気をつけたいなと(笑)
私たちの担当する展示ホールは、イベントなどの中身がなければただの空っぽの広い空間なんです。ですから、中身を生み出して進めることが大切。私たちができなくても、できる人たちと一緒になって手を取り合って新しいものを作り続けられたらいいですよね。池袋は創造力のある人がたくさん集まるまち。サンシャインシティはその舞台として、訪れる人の願いや思い、やりたい夢を叶えられるように盛り上げていけたら、このまちはどんどん面白くなっていくのではと思います。