小匙の書室132 Hulu十角館の殺人
〜はじまりに〜
すべては12月21日に始まりました。
綾辻行人 著
十角館の殺人
まさかの実写化!!
いやはやコミカライズは(トリックの解説に付随して)危ない綱渡りの連続であったが故に読者をハラハラとさせ、結果として大成功に終わったわけですが。
それが今度は「実写化」されるだなんて、誰が予想したでしょうか?
この告知があって以降、SNSのタイムラインには驚きのポストばかりが流れてくるようになりました。
私も他の読書家の方と同じように「どうやって実現させるんだろう……」と思いつつ日々を過ごしていました。
そして放送から一週間を切ってからは、
こんな記事を書くほどに期待が膨らみ、
原作を再読し、
来る3/22、午前10時。
私はHuluを起動させ、『十角館の殺人』の視聴を始めました──。
ちなみに公式サイトは以下より閲覧ください。
〜感想〜
全5話一挙配信ですが、こりゃあもう一気見でした。ずっとワクワクしっぱなしで、各話約50分なんてあっという間。
とにかく面白すぎた。
以下、全体の感想です。
◯原作に忠実。
昨今、映像化に対して厳しい意見が多く、過去にも改変によって首を傾げたくなる作品がそれとなくありました。
だから正直『十角館の殺人』も不安ではあったのですが、そんなものはまったくの杞憂でした。
角島へ向かうミス研のメンバー。そこで交わされる会話がエラリィによる『社会派と本格派のミステリ談義』であり、この時点で原作の流れをきちんと汲んでいることがわかります。
この他にも原作を読んでいたら「おっ」と思えるやり取りや、「ああ、そういう風に映像として落とし込むんだ!」という発見があって、ずーっと面白かったです。
肝心の角島の島の雰囲気は小説よりも厳かなのはありますが、十角館と青屋敷はとても丁寧に造り上げられていることがわかるセットでした。
行ってみたい、という欲が爆発したのは言うまでもないでしょう。
本土のパートも青屋敷事件の調査がほぼそのままに進み、巧いアレンジによって非常にわかりやすく構成されていました。
◯実写化によってわかる、魅力的なキャラ。
小説や漫画で目と心に刻んでいたキャラクター像が、実写化においてぴたりと当てはまっていたのは驚きました。
エラリィのちょっとスカした感じや、ルルゥの雰囲気。ポゥは少し改変があったものの医学部としての清廉さがあり、アガサやオルツィもそのまんまという感じ。カーやヴァンも、私が頭の中で動かしていた通りに動いていて感動しました。
江南君も少し頼りなげなワトスン役で、なんと言っても島田潔の役が最高すぎた。
「そうそう! まさにこんな感じだよ島田さんは!!」と拍手喝采を送りたかった。飄々としていて子供っぽくて、だけど玲里な瞳を持っている。
役者さんってすごいな……と私は何度も吐息をこぼしました。
◯アレンジを加えつつ全5話に綺麗にまとまっている。
無駄なくテンポよく物語は進み、5話という短さとは思えない濃密な『十角館』体験をしました。
終盤には原作にはないちょっとしたアレンジが加わっているのですが、安心してください。それによってとある人物の厚みが増して、罪を犯すことの重たさがずしんと胸にくるのです。
なんだろう、泣きそうになったよ、私は。
コミカライズのアレンジも、ドラマ版のアレンジも最高だよ。
◯既読勢なら誰もが気になるアレ。「そうきたか!」と膝を叩いた。
これは、まあ、そういうことです。多くは語りません。
いまこの記事を読んでいる、原作既読勢で映像鑑賞済みユーザーのあなた。私の言いたいことはお分かりですね?
長らく封印され続けてきたことを、いかにして視聴者に届けたのか。
大胆だけど繊細に注意の払われたトリックの落とし込みに、「これはやるなぁ!」と膝を叩きました。そんでもってアレを鑑賞した瞬間は鼓動がめちゃくちゃ速くなってました。高血圧なのに……。
原作未読で映像化が初『十角館』である人がいるなら、どんな気持ちになったのか教えてほしいです。
〜おわりに〜
大大大満足。
諸手を挙げて喜び、「面白いよ、面白いよ!」と周りにすすめたい。
そんでもって、「もちろん次は水車館をやってくれますよね?」と胸の内側で問いかけるのでした……。
監督の内片輝さん、脚本の八津弘幸さん、そしてその他製作に携わった皆様、素晴らしい演技を披露してくださったキャストの皆様、最高の映像化をありがとうございました!!!!!
こりゃあ、Blu-rayが発売されるなら絶対に購入しちゃうな……。
ここまでお読みくださりありがとうございました📚
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