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仕事と介護の両立に悩み人生の選択をせまられたときは『キャッシュフロー表』をつくる!

「ビジネスケアラー」という言葉を聞かれたことがありますか?
仕事と介護を両立中のビジネスパーソンのことです。仕事と介護の両立に差し迫って向き合うビジネスパーソンの7割が40代~50代に集中しています。

たとえば、同居の親の介護をしながら介護と仕事の両立にとても苦労しているところに、勤務先で早期退職の募集があり、退職金が通常1,800万円のところ上乗せで2,300万円になるとします。こんなとき、貴方なら思い切って退職を考えるでしょうか?収入がなくなる不安をどうすればよいでしょうか?

このような選択を迫られたときは、まず、キャッシュフロー表をつくって家計の現状を確認してみましょう。キャッシュフロー表とは、人生のお金にかかる年表のことです。現在の収入・支出、貯蓄の残高と今後のライフプランをもとに、将来の収入・支出を予想し、その結果増減する貯蓄残高の推移を時系列にした表です。

たとえば、57歳で早期退職すると仮定してキャッシュフロー表をつくってみると、70歳で貯蓄が底をつき、老後の年金だけでは生活費が不足するという結果になったとします。そこで自分の老後を考えた場合、早期退職を選択するかは慎重に判断する必要があることがわかります。
次に、早期退職をせず、60歳の定年まで勤めた後、継続雇用で65歳まで働く場合のキャッシュフロー表をつくってみると、貯蓄が底をつくのは75歳となり、老後の生活費の不足額が少なくなるという結果になりました。会社員として働き続けると、給与収入からの貯蓄が増えるだけではなく、将来受け取る厚生年金が増えるからです。

キャッシュフロー表は、人生で大事な選択をするときに、自分の将来や老後を考えるためのお金の年表と言えます。将来、こんな生活をしたいという“ライフプラン”を実現するためには、「貯蓄がどれくらい必要」で、そのためには、「何歳まで働いて」「収入がどれくらい」があればいいのかを予想できるからです。

でも、将来を予想できたとしても、現実の介護と仕事の両立の大変さがなくなるわけではありませんね。介護をしながら仕事を続けていくためには、
まず、介護をしていて「何がつらいのか」、自分の気持ちを整理します。
次に、そのつらさをなくすための方法を考えます。ケアマネージャーと相談し、介護保険で受けているサービス内容を見直したり、休日のショートステイの利用回数を増やし、仕事以外で1人になれる自由な時間を増やすことでリフレッシュする時間を確保するのもよいでしょう。また、地域包括支援センターの相談窓口を利用したり、自治体や民間等によるサービスを受けてみるなど、自分一人で抱え込まずに地域のネットワークを活用することが大切です。

ただし、これらのサービスを利用するためには、介護保険の要介護認定の申請や介護施設の見学・手続きなどの準備期間が必要です。介護の準備や介護のために会社を休む場合には、有給で休める介護休業の制度や、休んでいる間は雇用保険からの給付がもらえる制度を知ることも大切です。テレワークや短時間勤務などの支援制度や、相談窓口を設けている会社もありますので、確認してみましょう。

K社で中間管理職として重責を担う58歳のMさんは、単身赴任で、遠方の
実家の母親と離れて一人暮らしをされています。「母親の介護が必要となったため、退職して実家に帰ろうと思うが、自分の老後が心配。」と相談を
受けました。Mさんと退職した場合のキャッシュフロー表をつくり、検討
した結果、Mさんは退職を思いとどまり、職場の上司にも相談することに
されました。そして、1ヵ月間の介護休業を取得し、その間、実家に帰り、母親が住む家のバリアフリー工事の段取りや介護保険のサービスを受ける
手続きをして、母親が一人で暮らせるための準備をすることができました。「介護休業の間は、雇用保険からのお金を生活費や旅費の足しにできて助かった。」と言われていました。介護休業が終わり職場復帰した後は、平日は、母の世話をしてくれるヘルパーさんと連絡を取り、休日は、月2回は
帰省されています。60歳で定年退職後は、実家近くの工場に転勤し、実家で暮らし、継続雇用で勤務時間を減らして介護をしながら65歳まで働くというライフプランを立てられています。

仕事と介護の両立に悩んだとき、やってみていただきたいのは次の3つです。
1.キャッシュフロー表をつくってみる
2.介護保険のサービスや地域のネットワークを活用する
3.職場の理解を得て介護休業や雇用保険の制度を利用する
大切な家族を介護しながら自分の将来や老後を考え、今できる最善の方法を選択しましょう。

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