組織風土改革日報№.12_2-6-2ってタバコじゃん
①前回のあらすじ
2021年4月から自律分散型組織の企画運営リーダーとしてアサインされた私(キタ)
半期を過ぎようとしていたその時、組織管理者らが、自ら自律分散型組織の導入や運用イメージを、図に落とし始めた。
ついにINPUTからOUTPUTへと行動変容が起こったのである。
これを機に、私は情報収集と教示から解き放たれ、一人の人材エンジニアとして、活動する余裕が生まる。
さて、何をやろうか。。
~登場人物~
南さん:上司(係長)の男性
山下さん:チームメンバーの男性
新井さん:本社人材開発部の女性
②リーダーorマネジャー
『半期振り返ってどうだった?』
南さんが、まるで自分お気に入りの映画の感想を、私に聴いているような、含みを帯びた問いを、投げかけてきた。
2021年10月になった。
当社は4月を期初とし、半期ごとに業績が査定される。
今はその1on1の最中である。
「うーん。楽しかったですよ。疲れましたけど。」
楽しかったけど疲れた。
やりたい事を実に120%の力でやりました!という意図性を持つ表現かもしれない。
何てことをこっそり考えながら、20分程度お話をした。
いやぁ。部下の半期成果の査定結果と、来期目標の話を、20分で話せというのだから、組織マネジャーにとっては、そら恐ろしい話だ。
私はそう感じた。
今期成果は概ね期待通りだったらしく、割とポジティブなフィードバックを頂いた。
15分過ぎたあたりで、唐突に将来について問いかけられた。
『キタ君はマネジャーになる事を考えてたりするの?』
少しだけ考えるフリをして、こう答えた。
「どうかな。いや、今は考えてません。理由は2つある様に思います。
1つは、キャリアサポーターとしての専門性を磨きたいので、成果管理という仕事が、私の人生にとって、無駄な時間の使い方になってしまうという事です。」
『うん、なるほど。もう一つは?』
「えぇ。20分で半期の全てを伝えないといけないという、会社の枠組みの中で、私が目指すマネジメントは出来ないので。。」
『ははは。時間ないね。ほんとにそう。』
嫌味と捉えかねない言い方だったが、南さんはしっかりと汲み取ってくれた。
『うん、ええと思うよ。組織開発なり対人支援なり、今もスペシャリストとして活動して、しっかり成果出してくれてると思うし、その調子で頑張って。』
最後に私の肩に荷を乗せる。
『キタ君が今このチームをリードしているから、キタ君が頑張らないとチーム全体の評価下がるからね。』
マネジャーが部下にリーダーシップを発揮させようしたら、こんな言い方になるのか😅なるほど。
OK!正直にお答えしますね!
「あぁ~、あんまり気にしてないかな。どうせ動機と達成の基準は、全部私の中にあるので。活動なり評価なり、それぞれの役割を、各自がしっかりこなすという事で。」
キャリア自律すると、人間は価値と基準を自分の中に持つらしい。
改めてそれを感じた。
面談を終え、自席で内省し、妙に納得した事があった。
私って、とことんリーダー気質だなあ。
リーダーは新たな『未来』を仲間と主に目指す人。
マネジャーは目標に向け『現在』のタスクとリソースを管理する人。
マネジャーに資質があるとすれば、限られた時間の中で、いかに難題をクリアするか、アウトプットを極大化するか?を、ある種のゲームとして楽しむ事が出来る人なのかもなぁ。
であるならば、
私はリーダーであるが、マネジャーの素養と資質がまるでないな。それを強調させられた時間だった。
③2-6-2という一般化したイラショナルビリーフ
組織としての後半期目標を立て終わった私は、改めてこの半期における内省を行った。
相手の本音を引き出し、現場の状況を理解する。
ここに実に多くの時間を割いた半年間だった。
その経験の中で、製造課の組織管理者や、現場監督者から嫌というほど聴かされた”あるワード”を思い出していた。
聴くだけで、何だか私の魂が腐っていく様な感覚になるそのワードは。
2-6-2(2-8)。
パレートの法則や、働きアリの法則といった表現で呼称されているソレである。
参考までに。
パレートの法則とは、かなり端的に言うと、経済のあらゆる事象を切り分けると、概ね80対20の関係にありそうだ。というもの。
そして、働きアリの法則は、集団で行動する働きアリの生態として、初動が早い2割と、次いで行動する6割、そして最後にゆっくりと動き出す2割が居て、先鋒の2割がバテても、後半動き出した2割が行動している為、活動自体が途切れない様になっているという、長く組織活動を運営する為の見事な現象の事である。
だが、製造現場は、この2-6-2を、上述とは違う意図で使われていた。
『キタは2-6-2のどの層をイメージして、自律分散型組織を展開しようとしているんや?』
は?
『下の2は言っても分からんぞ。』
下の?なに?
『上の2に頑張ってもらって、下の8を引っ張ってもらうしかない。』
上が下を引っ張るしかない??上って誰?
『真ん中の6に伝えたいんか?それなら5ページくらいに資料纏めんと伝わらんぞ。上の2なら20ページでも30ページでも分かるけど。』
上と真ん中でページを少なくしないといけない??なんで?
そもそも上と真ん中って、違いはなんだ?
下は誰が何をどの様に見て下にしてるんだろう?
とまぁ知らないフリをしたが、何を言っているか分かってはいた。
彼らが言っているのは、人間組織化すると、そのメンバー内で、一定のレベル差が生じるものだ。という事。
仕事が出来る上位2割。
普通の仕事をする6割。
仕事ができない下位2割。
だから、レベルに合わせて説明内容を変えないといけないよ。と、アドバイスをくれていたのである。
なるほど、この方たちは、ご自身の頭の中で、
自分から見て、仕事が出来る優秀な2割の部下。
自分から見て、普通の仕事をする6割のどうでもいい部下。
自分から見て、やっかいものである2割の部下。
を自己認知化してんだね〜。
そうかそうか。そうなのね。
へーー。
うん。
完全に間違った信念(イラショナルビリーフ)だと思うんだけどね。
まずHRを管理し、最大活用するというご自身の役割を放棄している。
そして、人材育成の新たな挑戦および思考を、放棄している。
いや、放棄し続けている。
リーダーとしても、マネジャーとしても、組織の成功と効果性を極大化しようという信念は感じなかった。
ちょっと掘ってみる。
「組織マネジャーは、人的リソースを極大化するという役割がありますが、どの様に下位2割の力を引き出そうと思ってるんでしょうね。」
・・・
おいおい、まさか無理とか言わないでよ。。。
『難しいね。。。』
おお!回答が”無理”じゃなくてとりあえずよかった!!
悩んではいるのね!!
「難しいって感じているのですね。。」
『キタは何かアイデアがあるのか?』
「2-6-2で考えるから悩みが深まるんじゃないですか?」
『え?』
「いや、さっきの話を聴いてると、確実に皆さん8割のメンバーを、ほとんどバカ扱いして、さりげなく無視している様に感じましたよ。
課員の8割ですよ、8割。
8割軽視しているのに、しょうがないと思っておられる。
経験的理由はあるんでしょうが、、、現実、自分は組織管理者として理想通りに役割果たせていると言えるのか、という悩みは付きまといそうですよね。。その辺り、どうでしょうか。」
若干の反論があり、正確にどこまで理解されたかは分からないが、それなりに響いたようには見えた。
「2-6-2から10にする為に、思考を再開してみるところからやりませんか?」
『難しいとおもうよ。』
でしょうね。あなたの認知ですもんね。
私はそう思ってないけどね。
心の中で呟いた。実際に口に出してみるアイデアはなかった。
2-6-2というのは、製造業の管理者・監督者の中で、脈々と受け継がれている悪しき習慣の一つであり、現代の個を活かすという時代観と、大幅にズレている価値観なのである。
そして何より、この2-6-2というやつは、生ぬるく優しい顔で管理者・監督者を慰めているようで、実は理想の阻害という意味で、最も彼らを苦しめているのである。
言うまでもなく部下のレッテル張りや、一方的な審判の温床になっている為、一定精神的苦痛に寄与している。
良い事なんて一つもないじゃん。タバコじゃん。
2-6-2ってタバコじゃん。
この2-6-2、あと4年で絶対に会社から追い出してやろう。
健康と情熱の為に。
その為に、何やろうか。。。
まずは新井さんに相談してみようか。
日報№.13へ続く
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