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外国にルーツを持つ子どもたちについて知ってもらいたくて

 今回は、クッソ真面目なお話。掲題の件、まいりま~す。

 日本に働きに来ている(来て下さっている)外国人が増えていることは、よく知られていることだ。
 では、その人たちが、子どもを連れてくる、または国から子どもを呼び寄せると、その子どもたちはどんなことになるか、知っている人はどのくらいいるのだろうか…。
 
 たとえば、息子のクラスメイト。10年くらい前の話であるが。
 中一の春、その子は日本語ゼロの状態で来日して、息子と同じ公立中学に入った。通訳や、日本語の特別授業があったかどうかまでは聞いていない。数学がやっとで他の授業はほぼできない、と息子は言っていた。
 高校入試は困難で、偏差値最下位レベルの都立高校の二次募集か?  に入った。入れたのだからマシではあるが。
 息子によれば、頭は悪くはなかったという。日本語ができれば、もっと宇上のランクだっただろう。
 今はどうしているのか…母国にいたかったな、などと夢想していないといいけれど…。

 このことについて「?」を持つ人は少なくないかもしれない。子どもはすぐに言葉を覚えるから、大丈夫なんじゃないの?   3年もいたんだしって。

    はっきり言います。それは誤解。

 学習用語が身に付くまで、実は5~7年かかると言われている。

 子どもは日本語の日常会話は、2年もあれば不自由しなくなる。ところが、勉強用語にはまだ歯が立たない。教科書にもテストにも、日常会話ではなく、文章用語・学習用語が使われているからだ。

 たとえば歴史。
「法隆寺は7世紀に厩戸皇子によって建立された」
漢字が多い。受身の文体。はっきりとした主語がない。 
受身のない言語の国から来た子アウト。
非漢字圏の国から来た子アウト。
主語が曖昧となると、多くの国から来た子アウト。
 結局、何の話だかわからない。いったい誰が何をしたのか……。

 話し言葉で、
「厩戸皇子が法隆寺を建てたんだよ。7世紀に」と言えばわかるが、そんなこと教科書のどこに書いてある?    テストで通訳さんがつく? 

 学校の先生も、日常会話ができれば、勉強もできるはずだと考えている人も少なくないのが現状。テストの点がヒドければ、その子は特別支援学級に送られる例もけっこうある。

 大人の日本人でも、難解な法律用語や、夏目漱石や二葉亭四迷の原文などを読まされて、さあテストで点を取れ、と言われたら…。 
 私なら、一文に何時間もかけて調べまくり、五択の天才と自負する私、いくつか当て………記述で粉砕だ~( ;∀;)

 それでも必死に頑張って、高校入試を突破したとする。ターゲットを選び、そこの入試に特化した「対策」を重ね、やっとの思いで入学する。
 ところがやはりついて行けず、退学してしまう子も出てくる。

 そりゃそうだろう。たとえば、先に出した歴史。
高校になると、
「蘇我氏による飛鳥寺や、舒明天皇創建と伝える百済大寺、厩戸皇子創建といわれる四天王寺・法隆寺などが建立され、寺院の建立は古墳にかわって豪族の権威を示すものとなった。
(『詳説日本史』山川出版社から抜粋引用)
 漢字が増えた。フリガナはあるにしても。文が長い。名詞修飾が多い。
 これは難関である。一文ですらこうなのだから、これが延々と続くとなると、それはそれは…。
 
 退学の話をしたが、実は、入った高校のレベルが低すぎて、退学するという例もある。大学入試をめざしたいのに、体制がそうなっていなかったとか、授業がつまらないとか…大学をめざす友人はできるのだろうか…。

 外国ルーツの子どもたちの、高校退学率は、日本人の7倍と聞いた。

 外国にルーツを持つ子どもたちの、就学困難度の話をしたが、じゃあだからそれが何なんだ、というお話を次に。

 この子どもたちの90%が日本に定着するそうだ。親は外国人であっても、子どもは幼い頃に来日して、日本が故郷になってしまうことはごく普通のことだ。
 そしてその人は、国籍はどうあれ、日本で社会生活を営む。税金だって日本だ。政治だって参政権の話が出ている。
 やがて多くの子どもが日本国籍を取得して「日本人」になるかもしれない。将来の年金も支える人々だ。
 彼らも日本社会の構成員なのだ。

 そんな子どもたちの多くが、言葉の壁で、低レベルの教育しか受けられなくていいのか…。
 決めつけは良くないにしても、教育が行き届かない人たちが、社会の底辺に集まり、犯罪に寄っていく傾向にあると思う。
 実際、犯罪組織を作り、社会問題になっているというのは、北欧あたりの移民問題だと、最近の新聞で読んだ。

 日本の労働力は外国人に頼っている。それはまぎれもない事実。
そしてその子どもたちは、将来、日本を支える貴重な人材でもある。
少子化なんだし。

 子どもは日本人であろうが、外国人であろうが、しっかり育て上げなければならない。できれば数少ない活動をする団体だけでなく、社会全体にそういった意識が広まってほしいと願っている。
 それが外国ルーツの子どもと日本社会にとって、win-winの関係だと思う。

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