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「仕事と介護の両立支援、人間関係の構築も重要です」

社会保険労務士の山地です。

前回と前々回、2週続けて「5.介護が必要になった場合に相談すべき「地域の窓口」の周知」として、主な相談先をご紹介しました。

今日は、「3.介護に直面する前の従業員への支援」として、具体的に取り組むべき課題6つのうちの最後、「6.親や親族とコミュニケーションをはかっておく必要性のアピール」です。


高齢になるにつれ、徐々に身体機能が衰える。

物忘れなどが頻回に見られ、日常生活に支障をきたす・・など、

そろそろ介護保険のお世話になったほうがいいかしら?と、介護が必要になる時期を予測できるケースもなかにはあります。

一方、急に病気になる、骨折するなど、ある日突然介護が必要になるケースは多々あります。

私が病院の医療福祉相談室にいたとき、相談に来られるのは主にご家族の方でした。主治医から予後(今後の病気の見通し)の説明を聞いて来談されますが、治療が終われば約2週間で退院です。多くの方は転院していかれますが、なかにはご自宅に戻られる方もいらっしゃいます。

要介護認定の申請をするのに介護保険証が必要ですが、どこにあるのかわからない。健康保険証や印鑑、キャッシュカードなどもどこに保管してあるのかわからない、というのは患者さんと別居のご家族にはよくあることです。

このように貴重品の保管場所や親の持病の状態、定期的に通院しているなら主治医が誰でどんな薬を服用しているか、近所に親しくしている人はいるかなどを知っていれば、イザというときに慌てなくて済みます。

そして、実はもうひとつ事前にしておいたほうがよいことがあります。

それは自身の兄弟姉妹や親のきょうだいなどの親族と日ごろからコミュニケーションをはかっておくことです。

自宅で介護をするなら介護保険サービスが必須アイテムであることは言うまでもありません。

ただ、介護保険は万能ではありません。できないこともあります。

訪問介護でヘルパーさんにお掃除や洗濯をしてもらうとしても、利用者ご本人の分だけです。配偶者が同居していても配偶者の分まではしてもらえません。

訪問介護や訪問看護はあっても、訪問理美容のサービスはありません。

食事の宅配サービスは一部の自治体では独自給付として提供しているところもありますが、それ以外は対象外です。

このように介護保険だけではすべてをまかなうことはできないため、介護保険外の民間サービスを利用すれば原則10%負担で利用できる介護保険と違って、費用が高額になりがちです。

またはご家族や親族で援助する必要もあるでしょう。

親の介護が必要になる前から、親の日常生活や身体状況を把握して兄弟姉妹や親族間で情報共有し、介護が必要になったときには、お互いにどのように役割分担できるかということも話し合っておくとよいでしょう。

親の情報共有をするのに良いいツールがあります。

「親が元気なうちから把握しておくべきこと」で検索してください。

親の状態を把握するためのチェックリストに加えて、

介護する側の状況を把握するために

兄弟姉妹などの介護に対する考え方

兄弟姉妹の健康状態や仕事の状況、家庭の状況など

も確認して書き込めるようになっています。

このツールは家族みんなが集まるとき、お盆や年末年始にさしかかる前などのタイミングで配布するとよいと思います。

親族間で普段から付き合いをしていないと、困ったときだけ頼ってくる、と思われてしまいます。

人間関係が希薄な現代だからこそ、日ごろから相手に関心を持ち、声をかけ、もし相手が困っているなら自分にできることを申し出るなど、コミュニケーションをはかり信頼関係を構築しておくことが大事です。

人事担当者としては、ツールの活用とあわせて介護をひとりで抱え込まないようにできるだけ家族や親族のサポートが得られるよう、日ごろからコミュニケーションをはかっておく必要があることをぜひ助言してただきたいと思います。(^_-)-☆

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