絶対王者川崎Fに勝利した大分Tのミラクルは続くか

 昨日は、天皇杯サッカーの準決勝から目が離せなかった。絶対王者の川崎フロンターレのホーム、等々力競技場はもちろん勝利を確信した川崎サポーターでいっぱいだった。方や、大分トリニータは早々にJ2陥落が決まり、JIのチームとして、ここまで、籤運がよくて辛くも勝ち抜いてきた天皇杯の準決勝を残すのみ。勝ち目は誰の目からもほとんどない。

 おまけに、途中から加入した主力選手の4名も天皇杯の試合に出ることができない。サポーターとしては、J3からJ1へ昇格の夢を実現させてくれた片野坂監督の退陣の試合という大きな意義をもつことは確かであり、カタノサッカーの見納めとなるゲームとして位置づけられていた。

 試合は、予想通り、守備的なトリニータに容赦なくフロンターレが攻撃をしかける展開となった。ときおり、カウンター気味に押し戻す場面もあったものの、前後半の90分を通じて、トリニータのチャンスらしいチャンスはなきに等しかった。

 そんな試合だったが、かつてカメナチオと称された、トリニータの守りは粘り強かった。決定的なフロンターレのゴールシーンを幾度見たことだろうか。キャプテンの守護神GK高木の好セーブの連発はまさに神がかっていた。ディフェンス陣も、延長後半8分までよく耐えて守りきるかに見えたが、電光石火の突入からのクロスにFW小林悠が合せ、万事休すと誰もが思っただろう。

 ところが、どっこい、リーグ戦では見られなかった粘りと相手陣内でパスワークを見せ、フリーになっていたボランチの下田からのきれいなクロスボールに、パワープレーでFWポジションに控えていたセンターバックのエンリケがジャンプ一番左手で相手を抑えつつ、見事なヘッドでゴールの右上隅に同点ゴールを決めたではないか。延長後半ロスタイムの奇跡的なゴールに、トリニータファンが歓喜しないわけはない。

 だが、ミラクルはこれで終わらない。PK合戦でのトリニータの一番手は、MF下田。キックの名手であるが、PKは左に流れポールにあたってはじかれた。外れたと思った瞬間。完全にコースを読んでいたフロンターレGKの元韓国代表チョンソンリョンの後頭部に跳ね返ったボールが当たり、ゴールマウスに吸い込まれた。なんともラッキーなオウンゴールとなったのである。

 確かに、その後、お互いにゴールを外し、サドンデスのPK戦に持ち込まれ、最後はGK高木が逆を突かれながらも、右手1本でボールをはじき出して決着を見たが、第1蹴のMF下田のラッキーオウンゴールがなければ、トリニータの負けだった。サッカーの神様は、この日に限っては間違いなくトリニータに微笑んだのだ。

 カタノサッカーがもう1試合見ることができるようになったトリニータサポの喜びは格別だ。しかも、新国立競技場でかつて大分トリニータの守護神だった、大分県出身の西川周作がGKを務める浦和レッズとの決勝戦に挑むことになった。トリニータは、旧国立競技場では験がいい。2008年のナビスコカップ優勝も2012年のJ26位からのプレーオフ優勝でもJ1昇格も国立競技場だった。いずれも、オリンピックイヤーだった。

 そして、今年は新国立競技場。J2降格が決定済みのトリニータは、J2優勝のジュビロ磐田を準々決勝で破り、JI3連覇の絶対王者川崎フロンターレを準決勝でミラクル勝利、そして、決勝では果たして、3度目の奇跡を起こせるだろうか。注目の試合は19日、14:00キックオフだ。それまで、新型コロナはおとなしくしておいて欲しい。

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