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Z世代の正体 後編

鹿児島で社労士をしています原田です。
前回までZ世代の特徴に加えてゆとり世代の特徴と言われるものを、考察してみました。

 世代を語る文献をいろいろ見ても、アンケート調査も行動分析も無く、特徴と言われる傾向を示すデータが見つからない上に、しまいには苦言や悪口によって世代を決めつけているような印象さえ受けてしまいます。

ただのジェネレーションギャップ

 世代間の価値観の相違を示すものがジェネレーションギャップです。言葉の変化や、認識の変化で相違があるものに対して使われます。

 10代や20代の人と話が合わない典型が、芸能関係でしょう。私もKing GnuとかAdoとかyoasobiとか・・・流行曲で好きなものはありますが、CDは買わないしストリーミングする程ではありません。Youtubeで聞ければいい程度です。歌詞を覚える気も無いし、正しい歌いまわしを覚える気もありません。

 思えば私が10代の時も当時40代の両親と音楽の話はしてません。音楽ってそういうもので、かなり好きで頻繁に聞いているとかでないと盛り上がれないですよね。私も本当は青春時代に聴きまくった80年代90年代のヘビメタや70年代80年代のプログレの話の方が楽しいですが、これは同年代でも少数派です。

 あ・・・関係ない方向に行きそうなので話を戻します。

 放送禁止用語関係も、既に通じない言葉になりつつあります。身分や特徴に対する蔑称は、既に10代の多くが知らない言葉になっています。放送禁止用語が文章に含まれているものは、授業用教材や推薦図書から既に除外されているので、目にする機会自体が無くなっているし、そういう言葉を使う大人もかなり少なくなったからでしょう。

 流行語も一過性で、流行語大賞でノミネートされる言葉のほとんどは数年で消えます。言葉も変わり、トレンドも変わります。科学は進歩し、便利になって、便利な機器に振り回される生活になったりします。そうなるとコミュニケーションが少なくなるのは避けようがありません。コミュニケーションが減れば、お互いに理解力が下がるのも当然と言えるでしょう。

Z世代の気持ちが理解できない

 いわゆる「今どきの若い者ってのは」という話ですが、そもそも他人が何を考えているかなど、なぜ分かると思っているのでしょう。他人の本当の気持ちなんか聞かないと分かりません。

 「以心伝心」とか「目は口ほどにものを言う」等のことわざは、「基本的に黙っていたらは気持ちは通じない」が前提にあるから成り立ちます。ことわざの舞台は
「本当は伝わらないけど、態度等で伝わる時もある」という場面ですよね。

何も言わずとも通じ合うのが夫婦と言いながら、離婚する人はどんどん増えてます。言わないから通じてないじゃん。

 なぜ、言葉にしないと通じないのか、それは
人間のほとんどがエスパーじゃないから」です。
人の気持ちを言葉無しに理解できる人が本当にいたら、超能力者や妖怪の「さとり」と同じで、少し気味悪い存在です。

 言わないと自分の意志が通じないのだから、相手の心情が知りたいなら、普通は聞くはず。聞きにくいのであれば、それを態度や雰囲気で理解できるように注意を凝らすはずです。片思いの人や憧れの人だったり、ビジネス上で接点を持ちたい相手で、簡単に連絡ができない相手であれば、そうするでしょう。

 経験を積めば、そこまでしないと相手の嗜好や心情は理解できないと知りながら、自分より若い世代の気持ちは、自分の常識の範囲で分かるような気になってしまうのはなぜでしょう。

 それは、30代以上であれば、当たり前に10代も20代も経験しているからです。そして自分の経験上の10代20代を思い出して、相手の状況を勝手に理解してしまうのです。相手の状況をヒアリングもしないで判断できるわけがないので、自分の理解が及ばないという結果を生み、「こいつらが変だ」という結論を出してしまうのです。

 例えば、大谷翔平、三笘薫、八村塁のような一流アスリートや、棋士の藤井聡太や活躍している多くの若手芸能人たちと、異なる職種の30代以上が話をする場合は、自分と同じ経験をしているはずがない前提で臨むでしょう。むしろ同じような体験をしていたら、安心するぐらいです。

 それは自分ができなかった体験をしているのが明らかなのが分かっているからです。ここにジェネレーションギャップは生じません。それが部下や後輩になると、その人は自分の理解できる範囲内で活動してきたと思い込んで対応するから、そうではない部分に違和感を感じるのです。

 子育てにおいても、10歳ぐらいまでの子どもは、ほとんど親が知っている知識と体験の中だけで活動しています。それが中学・高校になるにつれて段々と親の知らないことが話題の中心になっていき、自分の理解を超えると「違和感」になったりします。素直に成長を喜べばいいのにね。

Z世代の正体とは

 Z世代の特徴などありません。「Z世代」の正体は、他人のことを、自分が何の努力もしないで理解できないのは、相手がおかしいからと決めつけることで、自分が安心できるための「単なる詭弁」なのではないでしょうか。

 ゆとり世代もバブル世代も団塊の世代も同じです。世代で違うのではなく、人はそれぞれ違うのです。思っていることを態度に出すこともありますし、逆の態度を取ることもあります。だからエスパーでなければ、分かるわけがありません。

 相手が理解できなくても、仕事上の部下や後輩であれば、教えなければいけない場面は多数あります。また教わる方も相手の気持ちなど理解しないで中身だけを教わろうとしています。こうしたビジネス上の社内のお付き合いでは、別に相手をそこまで理解しようと思ってないから、自分が安心できる詭弁で済ませてしまうのでしょう。

 接しないといけない相手がいるのであれば、年代でついた名称で断定できる個人の特徴など無いのですから、相手に興味を持って理解しようと思うことから始めることが大切です。

 あなたがもしエスパーならこんなことも不要になのでしょうか。私はエスパーの気持ちは理解できないので、そういう方がいらしたら、ぜひ色々と教えてください。

 ここでふと思うのは「エスパー」という言葉すら既にZ世代には通じないかもしれないという恐怖です。

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