事務指定講習組のための、社労士開業急成長のひみつ
事務指定講習を受講される社労士試験合格者の方の多くが気になる、「開業急成長事務所」のお話です。社労士開業セミナーで自分の営業能力や卓越した営業手法のお話をされる方も、ほとんどがこの中に分類されます。
急成長パターンいろいろ
社労士のボーナス時期に開業する
社労士には開業間もなくで、多くの知識やノウハウが無くても顧客の需要が膨れ上がる特需の時期があります。その時期に開業することで強烈なスタートダッシュができた方が多数います。
*社会保険の強制適用(昭和60年)
消えた年金問題(平成19年)
リーマンショック関係助成金(平成20年)
*地域再生中小企業創業助成金(平成25年廃止)
キャリアアップ助成金(令和元年前後)
*コロナウイルス関係助成金(令和3年~令和5年)
特に*マークの3つは金額も多額な割に労働法の知識が十分でなくても(社労士としてある程度の知識があれば)、営業力で顧客を増やせる部分があり、極めて需要が大きかった時期です。
コネ無し、実務経験無しでも急成長!と言う人に多いパターンです。
この時期の成功談の欠点は、再現性が皆無なことです。
近年は働き方改革や社会保険の適用拡大等も営業チャンスだったりするのですが、対象になる中規模以上の企業には既に顧問社労士がいる場合が多い上に、就業規則作成の知識等も必要になるため、「特需」と言えるようなものではありません。他士業からの大量紹介
ある程度歴史のある税理士事務所勤務、弁護士事務所勤務等で、補助者として入職した後に、社労士を取得したケースや、社労士として事務所を他士業事務所の一角で行いながら、大量の顧客を紹介してもらったケースです。実は親が税理士とかもこの部類に入ります。
現在は、ワンストップサービスを行おうとして画策する士業事務所も多数出てきており、弁護士・税理士・司法書士等が主導して行われています。
新規開業社労士がこうした取り組みを主導することはまず不可能であり、二番手で入っても、既存顧客のいいところは既に持っていかれた状態なので、今から狙らいやすい手法ではありませんが、多くの士業で「ワンストップサービスは儲かる」と誤認している人は多いので、チャンスはあります。
古参の士業事務所には、もうお宝顧客は残ってないので、急成長のための戦略としては、既に再現困難なパターンです。既存の職業を活かした顧客獲得
経営コンサルタント会社や会社役員等を長く行い、人脈の広さ・資金力・経営手腕を認められるような人が行う手法です。手続き事務を行わない人事コンサル中心の事務所スタイルになります。
資金力を利用して、最初から事務員を雇用するケースもあります。
普通は真似できません。上場企業の総務部や労働組合長を経験した人が、自分も同じだと勘違いして失敗する人がモデルにするスタイルです。
成功するパターンの方が稀です。顧客引き抜きタイプ
実は短期成功者として最も多いタイプです。社労士事務所に数年以上勤務していて、顧客に打診しておいて、事務所退職時に大量に顧客を引き抜きます。
実務経験もきちんと教えてもらった事務所から、顧客を単純にゲットできるので、非常に成長しやすいです。
当然にトラブルになるケースも多いです。
言い訳としては、「退職と開業の案内を出しただけ」を使います。実は準備バッチリタイプ
ほとんどが4と重複するケースですが、実務経験を行政機関(労働局・監督署等)や社労士事務所でみっちり得て、開業するパターンです。
社労士開業の再就職手当を得るために、雇用保険の適用事業所となる職員を雇用できるような規模にスタートダッシュでなるように計算して開業したりします。
正職員1名、パート1名雇用の体制なら、当然に年商1千万円は程度は必要になります(自分の報酬が要らない人は別ですが)。
助成金窓口にいれば、社労士がいないか、社労士が助成金申請をしない顧客候補リストが出来上がります。監督課とかにいると、課題をクリアできない顧客候補リストが出来上がります。
そして退職して開業登録して、スタートダッシュです。特需の時期でなくても、一定の売上を稼げます。
気付く方もいるでしょうが、4・5はキャリアも実務経験も万全の人がやっている手法であり、正職員として雇用された人で、実際に顧客先に訪問している人でないと使えません。
事務指定講習を受けた人でも、顧客を引き抜くつもりで社労士事務所に入職するのもありです。実際に開業後に急成長した事務所で、最初からそのつもりだった先生もたくさんいます。そうした先生方は、経歴に「社労士事務所勤務を経て」と勤務していた事務所名を明かしません。
倫理的にどうかと思いますが、これで倫理規定違反として処罰されたケースを私は知りません。
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