社労士的就業規則の作り方 8 個人情報・欠勤等
鹿児島で社労士をしています原田です。
社労士なら絶対に大好きなような雰囲気が醸し出される、就業規則の作り方です。
ここでは厚労省モデルを使って、社労士が就業規則に対してどうアプローチするかを案内しています。
第3章 服務規律 第16条~
個人情報保護
個人情報保護法ができ、更に改正で全ての企業にまで影響が出ている個人情報保護です。想定するトラブルとして、顧客や他の従業員に対するストーカー行為や個人情報を金銭に変える行為等がありえます。
現実的にストーカー行為が発生したりして、そうした相談を受けたりするのですが、悪気無く甚だしい恐怖を与えるという事案もあります。
「十分注意」や「不当に取得」でもいいのですが、通じない人向けに、具体的に禁止する行為も書いていた方がいいと思います。
タイムカード等
モデル就業規則に、大量の参考説明が書いてあります。労働時間の把握は、様々な判例もありますが、その解釈も一様では無いので、判断は単純ではありません。タイムカードでなく、指紋認証だったり、顔認証だったり、様々な形態で出退勤時間の管理は行われているので、事実に合わせて変更します。
指紋認証は「打刻」では無いと思いますし、打刻時間を始業時間としない会社もあります。運用と法令に従って正しく記載します。
遅刻早退等
遅刻・早退・欠勤が未来の可能性を含めて完全に0の会社など無いので、必ず定めておく規定です。明文化はされていませんが、司法判断でも「業務専念義務」があるとの判決も多数あるので、自由な私用外出を認める必要はありません。
但し、私用でどうしても早退・外出・遅刻・欠勤しなければならない場合は、承認しなくてもやるので(例えば親族が危篤とか)、理由によって認めるのが妥当でしょう。
ごく稀に普通は帰るような事象でも認めない企業があります(クライアントにはいませんが、労働相談で受けたことがあります)。
○○には、上長・社長・担当者等が入ることが多いです。
第2項はノーワークノーペイの原則で当然。承認した場合に限り有給振替を認めると書いたりもします。製造や施術等で、対応する人員数が決まっている業態では認めにくいのですが、それは事情による承認者の裁量に関わるでしょう。運用は慎重にすることをお話しておいた方がいいです。
第3項は仮病対策です。本当に仮病で休む人がいるから現実は恐ろしいです。但し定めたルールは守らせていないと、裁判上でそのルール自体を無効と判断される場合があるため、明らかな病気や怪我の場合は診断書を求めないことを記載することも検討します。
真面目に勤務していた従業員が事故で足を骨折し、1週間休んで松葉杖で出勤した時に、診断書出せと言えるでしょうか。私は言えないので、そういう場合は求めなくてもいいルールにしておきます。但し従業員数が多くなると、それを悪用して仮病に使う人も想定しないといけない実情があったりします。
◯日のところは、特に何日でもいいのですが、日数を定める場合は3日程度が多いです。日数を定めないで「請求できる」として、「請求されたら」提出しなければならない」と定めることもできます。
病院の発行する診断書は、安いところで無料~数百円ですが、一般的に数千円~数万円かかり、診断書を請求してからもらうまでに、早いところで数分、遅いところで1週間以上かかる場合もあります。
こうした事情から、本当の体調不良で1日だけ休んだ人に、診断書出せと言うだけで、「ひどい会社」とネットに書かれる可能性もありえます。
安易に定めて安易に強制するとどうなるかも想定しておきましょう。
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