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”繰り返して観る”ことは財産になる【映画レビュー】

こんにちは、あーしぇんです。

皆さんには繰り返し観たことのある映画はありますでしょうか?


金曜ロードショーのジブリ作品、子どもの時に観た思い出の作品、伏線たっぷりで何回観ても新しい発見のあるミステリー etc…

当てはまる作品がいくつか思い浮かぶかもしれません。

とかいう私にも”繰り返し観て”しまう作品があります。

それが…

「女神の見えざる手」


です!

作品概要


本作はアメリカ政治の重要なアクターである、ロビー会社で敏腕ロビイストとして辣腕をふるうエリザベス・スローンが主人公の社会派サスペンス映画

アメリカ特有の銃規制問題を主題とし、ロビー会社同士の争いや法・行政の権力闘争とこれらにリンクしていくスローンの変化に注目したい本作。

主演は『インターステラー』のジェシカ・チャスティン。

監督は『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』のジョン・マッデン。

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補足


本作はアメリカ政治をこれまであまりメジャーではなかった、ロビイングの観点から分析を試みた意欲作である。

ロビイングとは…

企業や業界団体、市民団体などが、政策や政治的判断を自分たちに有利な方向へ進んでいくようにするため、議会外の場で政治家にはたらきかけることを意味する語。

Weblio国語辞典より

ロビイングを生業とするのがロビー会社であり、ここで働くのがロビイストです。

ちょっと難しいですが、作品を見ていればなんとなく理解できるはず?(笑)



アメリカ政治の構造


銃規制問題を目まぐるしい攻防はまさにアメリカンテイスト!


ロビー会社同士の争い、法や人権侵害ギリギリを攻めながら繰り広げられる裏切り、どんでん返し
は今作最大の見どころ。

加えて、アメリカ政治でのロビイングの影響力や、メディアと威力団体(労働組合や宗教団体など)の関係性がリアルで勉強にもなる!

また、脚本が複雑ではないから気持ちよく見られるのもすごいい!


議会での保守勢力との戦い(予告編から引用)

フェミニズム映画として


主人公エリザベス・スローンが、旧来的な女性観とは全く違う描かれ方をされているのが大きなポイント!

勝ち気で、手段を問わない非情さをもち、男を売春する。

ホワイトカラーの女性の実態は分からないものの、男性目線で共感しづらい姿を見せる。

女性の皮を被った強い男のように。


一方で彼女の置かれている立場は、現代においてなお立場の弱い女性の姿そのものでもある

スローン vs オールドメディア

スローン vs 銃規制反対派

スローン vs 議会(高齢男性主体)

このような構図が繰り返されることで、スローンは新・旧の女性像が重ねられた複雑な姿を形成していく。

そしてラストでは…

言えませんが色々考察してしまう最後です(笑)

このようにスローンの女性像の変化に注目して観ていくと、フェミニズム映画ともとれる深みをもった作品といえる。


一匹狼のスローン(公式HPより引用)

”繰り返して観る”から分かる


同じことを繰り返すことはネガティブな印象を持たれやすい。

私のような若者世代なおさらだろう。

確かに、新しいことへの挑戦は手放しにでも褒めるべき行動だ。

ただ、時には立ち止まって1つのものにこだわってみてもいいのかもしれない。

私は本作「女神の見えざる手」を8回は観た。

サブスク全盛期の現代において、

何度も「観ていられる」、「新たな発見ができる」、

そして「分かる」、「理解できる」。


そんな作品を持てることは財産ではないのか。

地に足つけて1つのことに没頭し、新たな学びを得る。

時間の移ろいが激しい現代で、”繰り返す”価値を大事にしたい…


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