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スーパードライの世界観を五感で体験!銀座のイマーシブスポットをレポート

アサヒビールは9月30日までの期間限定で「アサヒスーパードライ」の世界に没入できるコンセプトショップ「SUPER DRY Immersive experience」を東京・銀座3丁目にオープンしました。

イマーシブコンテンツも用意されているということで、Sprocketの代表・深田とともに体験してきた様子をお届けします。

訪問日には「工場できたてのうまさセミナー」も開催され、マーケティング本部の山田祐介さんと茨城工場の副工場長である山下博司さんに顧客の心を動かすために大事にしていることを伺いました。


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銀座で気持ち高ぶる没入体験

コンセプトショップを訪れたのは5月末の金曜の夜。「SUPER DRY」の文字が一際目立つ建物の前には、入場を待つ人の列が。通りがかりの人も見慣れぬ店舗に興味を惹かれ、店頭に立つスタッフに質問する姿も見かけられました。

2024年4月25日のオープン時に「イマーシブ体験のできる注目スポット」としてさまざまなマスメディアでも取り上げられ、来場者の口コミも広がり、約1か月で来場者は1万人を突破。当初目標である3万人の1/3をすでに達成したそうです。

「SUPER DRY Immersive experience」の外観
「SUPER DRY Immersive experience」の外観

施設は地下1階~2階の3階構成。2階がスーパードライの世界観・製造工程を体験できる「スーパードライ ゴーライド」。1階が飲食スペースの「スーパードライ バー」。地下1階は飲食に加え、定期的に内容が入れ替わる「タイアップエリア」となっています。

入場料は700円で、ゴーライド体験とビール1杯、ペペロンチーノポップコーンがセットになっています。

入場すると、まず2階のゴーライドへ案内されます。入ってきた扉が閉まると、その壁一面が巨大スクリーンとなります。そこに投影される映像で、ビールの製造工程を没入して体験することができます。

映像に合わせて座席が振動し、随所で風も吹き付けてきます。体験型シネマのような躍動感と疾走感が味わえました。

製造工程をイマーシブコンテンツに仕上げたゴーライド
製造工程をイマーシブコンテンツに仕上げたゴーライド

体験が終了すると、目の前のスクリーンが開き1階へと続く階段が現れ、スーパードライの特徴である辛口カーブが飛び込んでくるという心憎い演出。

辛口カーブ
辛口カーブ

工場見学をした後のような特別感

1階の飲食スペースに移動し、スーパードライを実飲。ちょうどその日は、製造後3日以内に工場から出荷される「工場できたてビール」を楽しむことができました。5月から8月までの月末の週末に、工場できたてビールが提供されるそうです。

ゴーライドで気分が高揚してから飲むビールは格別!深田はしきりに「ビールがいつもより綺麗に見える!」と話していました。

アサヒビールの調査では、ビールを最もおいしく感じるのは「ビール工場で飲むできたてのビール」という回答結果だったそうです。鮮度の良いビールは美味しいということもあるでしょうし、非日常的な体験が影響している面も大きいでしょう。ゴーライドには、ビール工場での体験を再現している効果があるのかもしれません。

いちユーザーとして没入体験とビールを満喫するSprocketの深田
いちユーザーとして没入体験とビールを満喫するSprocketの深田

フード類もぬかりなく、スーパードライとマッチするように工夫された味たまポテトサラダやチリコンカーングラタンなど6種のメニューが用意されています。スーパードライの「辛口」の特徴は、飲んだ瞬間の力強い飲みごたえと、瞬時に感じるキレの良さというコクとキレの良さの両立。それにより食事を引き立てるそうです。

また、卓上に用意されたQRコードからアサヒビールLINE公式アカウントを友だち登録することで、裏メニューである「スパイシーチキンカレー」が注文できるほか、「スーパードライ ドライクリスタル」がプレゼントされる仕掛けもあり、来場者に楽しみを提供すると同時につながりを作る仕組みとなっています。

統一されたブランドデザインによってイメージが築かれる

当日、現地で話を伺ったマーケティング本部の山田祐介さんによると、ショップ全体でスーパードライの世界観を五感で味わってもらえるよう、ブランドカラーを全面に押し出した作りにこだわったそうです。

内装はスーパードライのブランドカラーであるシルバーに黒と赤を基調としています。スタッフのユニフォームにもブランドカラーが取り込まれていて、 統一されたブランドイメージが感じられました。

賑わう店内。海外からの旅行者も来店
賑わう店内。海外からの旅行者も来店

地下1階のタイアップエリアでは、5月まではロックバンド「ONE OK ROCK」とタイアップした展示が展開されていました。6月1日から7月2日までは、オーディオストリーミングサービス「Spotify」の最新の話題曲を集めたプレイリスト「J-Rock ON!!」とのタイアップが実施されます。

山田さんは、コラボ先の選定についてスーパードライの「気持ち高まる瞬間に寄り添うブランド」に合うかどうかを重視していると語ります。

「体験型コンテンツやタイアップ先に興味を持ってもらうことにより、普段ビールを飲まない方にもアプローチしていければと思います」(山田さん)

アサヒビール株式会社 マーケティング本部 マーケティング企画部 兼 ビールマーケティング部 担当課長 山田祐介氏

ドイツで知ったスーパードライの原料の良さ

同日開催された「工場できたてのうまさセミナー」では、茨城工場の副工場長である山下博司さんがスーパードライの製造や品質管理のこだわりについて解説。

山下さんは1997年にアサヒビールに入社。2004年にビールの本場であるドイツに留学し、日本では2名しかいないミュンヘン工科大学醸造飲料学修士を修了。ドイツ滞在でアサヒビールの扱う麦芽やホップという原料が世界的に見ても一級品であることを改めて思い知ったそうです。

スーパードライも出自を辿れば職人がこだわってクラフトビール的に生み出されたもので、それを安定した品質で拡大していったのが今の姿だという山下さんの話が印象的でした。

「技術者としてどんな技術的課題もいつか解決できると信じてビール造りに挑み続ける」と語る山下さん。味の追求だけでなく、SDGsへの取り組みとしてサステナビリティ活動の推進にも目を向けているそうです。

アサヒビール株式会社 茨城工場 副工場長 兼 醸造部長 山下博司氏

今回のセミナーに限らず、ビール造りへのこだわりやサステナビリティ活動について学べる機会が増えることで、ブランドへの理解がさらに深まると感じました。

酒税法の改正により、2026年10月にはビールと発泡酒、第3のビールの税率が統一されます。ビールの税率が引き下がることでビール回帰が進み、価格帯ではなくブランドが商品を選ぶ軸になると予想されます。「若者のビール離れ」が叫ばれる中、酒税改正を追い風にすべく、ビール各社は多様な打ち手を講じています。各社の新たなビール体験の創出に注目です。

参考リンク:SUPER DRY Immersive experience
写真:スプ論編集部


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