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流行りには乗るしかない?みんなと同じものは嫌?マーケティング現場で用いられるバンドワゴン効果とスノッブ効果

バンドワゴン効果やスノッブ効果という心理学用語をご存知でしょうか?バンドワゴン効果とは大勢の人が正しいと言っていることを自分も正しいと判断してしまうこと。スノッブ効果とは、他の人が持っていないものが欲しくなる現象のことです。

これらの心理のクセを利用した仕掛けは身の回りに数多くあります。バンドワゴン効果やスノッブ効果がマーケティングの現場でどのように取り入れられているのかを具体例を交えながらご紹介します。


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流行に乗るバンドワゴン効果

バンドワゴン効果とは、多くの人がある選択や行動をしていると、その選択や行動が正しい、あるいは魅力的だと感じて自分も同じように行動する心理現象のことです。アメリカの経済学者・ハーヴェイ・ライベンシュタインが提唱しました。

「バンドワゴン」とは、パレードの先頭を行く楽隊を乗せた車のことです。「バンドワゴンに乗る」という表現は、「流行に乗る」といった意味で用いられます。

iPhone 3Gの発売日のインタビューで、Apple Storeの行列に並んでいたモヒカンの男性・BUTCHさんが「乗るしかない、このビッグウェーブに」と答えたことはネット上で大きな話題となりました。この「乗るしかない」感覚こそがまさにバンドワゴン効果です。

BUTCHさんは今もさまざまなビッグウェーブ(バンドワゴン)に乗っている模様

MMD研究所の調べでは、10代男性のiPhone所有率は78.8%、10代女子が84.9%と、Androidと比べて圧倒的に高いことがわかります。

若年層にiPhoneが人気なのは、iPhone同士で使える機能や対応しているアクセサリーの豊富さもあるでしょうが、「周りはみんなiPhoneだから自分もiPhoneが欲しい」というバンドワゴン効果も大きいでしょう。

バンドワゴン効果を取り入れたマーケティング施策

バンドワゴン効果をマーケティング施策に組み込んだ例としては、次のようなものがあります。

  • 「100万人が愛用中」といったみんなが使っているという訴求

  • 「お客様満足度No.1!」といった表記

  • インフルエンサーによる「私の周りはみんな使っている」発言

  • 「残り◯個」といった売れ行きのアピール

  • イベントやキャンペーンで店頭に人だかりをつくる

いずれも、「みんなが使っている」や「みんなに人気がある」と思わせるようなものです。バンドワゴン効果を取り入れること自体が悪いわけではありませんが、過度な表現や演出は不信感や嫌悪感を招く恐れもあるため注意が必要です。

人と同じものは嫌だというスノッブ効果

バンドワゴン効果とは逆に、みんなが持っていないからこそ欲しくなる現象をスノッブ効果と言います。バンドワゴン効果と同じく、ハーヴェイ・ライベンシュタインが提唱しました。

限定品や高級品など、一般的には手に入りにくい商品を購入したくなる心理がその典型です。

人の心理にはバンドワゴン効果とスノッブ効果のどちらも持ち合わせています。例えば、みんなが使っているからiPhoneが良いといっても、ケースは他の人と被るのが嫌で、個性を出したいといった形です。

スマホのケースは多種多様
スマホのケースは多種多様(画像:BearFotos/Shutterstock.com)

スノッブ効果を取り入れたマーケティング施策

スノッブ効果をマーケティング施策に活用した具体例としては、次のようなものがあります。

  • 数量や販売期間に制限をかけた限定商品

  • 会員限定サービス

  • 購入できる人が限定される高級品

  • 個々人の好みを反映できるオーダーメイドやカスタムメイドサービス

スノッブ効果のマーケティング利用も、実態に見合わない誇大な表現にならないように注意しましょう。

バンドワゴン効果とスノッブ効果を組み合わせて活用することで、相乗効果が生まれることも期待できます。

例えば、観光地でお土産物を買う際に、とりあえず一番売れていそうな定番商品を選ぶことは多いでしょう。さらに定番商品でも「その季節だけ」などの限定商品があれば、魅力的に見えるかもしれません。これもバンドワゴン効果とスノッブ効果の両方を取り入れた売り方です。

「定番を押さえつつ、少しずらしたい」「おそろいでありながらも個性を求める」という近年の若年層の特徴的なニーズを満たしたのが、「オリオンビールTシャツ」です。日経クロストレンドの記事では、若者の間では沖縄旅行で着る服として定番アイテムと化していると紹介されています。

バンドワゴン効果とスノッブ効果により、「北欧食器沼」にハマった人のエピソード記事も公開しています。ぜひあわせてご覧ください。

参考文献:『情報を正しく選択するための認知バイアス事典』(フォレスト出版)

執筆:スプ論編集部


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