モウリフウカ

土いじり。畑。森。詩。文章。翻訳。文学。するめ。 Twitter:@tugeru_sh…

モウリフウカ

土いじり。畑。森。詩。文章。翻訳。文学。するめ。 Twitter:@tugeru_shika

マガジン

  • 定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—

    『定本版 李箱全集』を韓国語で出版するべく、その重要過程である定本作業を記録するマガジン。

  • 翻訳作業日誌 —『定本版 李箱全集 翻訳版』のために—

    『定本版 李箱全集』の翻訳版、『定本版 李箱全集 翻訳版』を出版のために。翻訳作業中にうまれた事、考えた事、を記録するマガジン。

  • 日記(2023年2月12日〜長野にて)

    2022年〜 長野県のとある村での生活を日記を連ねたマガジン。

最近の記事

定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第四十三回〉

 前回の作業日誌からだいぶ期間が空いてしまった。毎週書くとNoteが「○週間連続投稿!」と褒めてくれるのだけれど、前回何曜日に書いたか忘れてしまってから、連続記録が途絶え、モチベーションが下落した。それとほぼ同時に集中力と気力も低下。こんな言い訳をしても誰も怒らないし、給料が減るわけでもないが、自分が自分に激怒しているので一応書いておこう…  ちょっとマシになったら改めて記事更新曜日を決めて書こうと思う。改善策がほしい。  作業日誌は途絶えたが、定本作業は基本的に毎日行って

    • 定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第四十二回〉

       ここ二週間毎週、金先生とzoomで連絡を取っている。新学期が始まるのでお忙しいだろうに有難い。  私は最近何をしているだろう。  基本的には資料収集、資料整理、文献学や書誌学に関する勉強、フォント作成作業をしているだろうか。一日が終わるのが驚くほど早い。 〈資料収集〉  資料収集の方針を大きく変えた。  原本にこだわっていたが、原本を所蔵している大学は一般の入館すら厳しく、学生に賄賂を渡して調査協力を依頼するほどお金もないので、デジタルデータと影印版だけでも集めてい

      • 定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第四十一回〉

         今日は前からやってみようと思っていたことを実行する。  それは、日本で流通している二つの李箱全集の情報整理をすることだ。  現在日本でアクセスしやすい李箱のテキスト全集はいくつあるだろう。  最も代表的な「李箱作品集成」(崔真碩訳、作品社、2006年)は絶版になり、値段高騰が著しい。  最近出版された「翼 李箱作品集」(斎藤真理子訳、光文社古典新訳文庫、2023年)は記憶に新しい。訳者である斉藤さんが「李箱作品集成」の復刊を希望していたが事は動くのだろうか。私もこの書籍は

        • 定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第四十回〉

           私は、計画内容をマインドマップにまとめたデジタル資料、完成させたテキストデータ、自分の考えを整理する用のノートを持っていき、その闘いに挑んだ。  しかし、結局どれも使うことがなかった。  先生と二人で着席。窓からソウル大に走る車がみえる。この国は学校構内でもそれなりのスピードを出して走行している。全員教習所からやり直した方がいい。先生とわたし、どちらから話し始めたか、何から話し始めたかよく覚えていないが、まずは生活の話をしたと思う。  ソウルのどこに住んでいるの?  何

        定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第四十三回〉

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        • 定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—
          43本
        • 翻訳作業日誌 —『定本版 李箱全集 翻訳版』のために—
          1本
        • 日記(2023年2月12日〜長野にて)
          5本

        記事

          定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第三十九回〉

           そして私が韓国に来た理由の中に、最上級で重要なものがもう一つある。    それは「定本 李箱文学全集」を註解した教授に会うことだ。  先生にメールを送信したのは2024年1月31日午前9時半ごろのことだった。一月中にはメールを送信しようと心に決めていた。本当は30日に送ろうと思っていたが、勇気が出ないことを言い訳したくなくて、他の作業をわざと遅くして、メールが送れないようにした。  31日はバイトだった。生活用品を買わなくてはいけないけど、たった20分の帰路なのに人混み

          定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第三十九回〉

          定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第三十八回〉

          韓国に来て4ヶ月が過ぎた。特に早いとも思わない。  年末くらいから気持ちが落ち込み気味で、落ち込んだまま作業を進めるということが多かったが、今は少しだけマシになった気がする。  現在も資料収集を行い、できるだけ原本か影印版に近いものを探し求めて韓国のあちこちをウロウロしている。  韓国に来て1ヶ月過ぎたあたりで「この資料調査ってわざわざ韓国に来てしなくてもよかったかもしれない。私が韓国に来た意味なんてなかったかもしれない」と最悪の考えで日がな一日自分の身体を舐め回してい

          定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第三十八回〉

          定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第三十七回〉

           2月になった。韓国に来てから4ヶ月が経とうとしている。覚えていないことの方が多くて、早かったのか長かったのかなどと感傷に浸ることもできない。それにいまだに韓国になれず、毎分毎秒帰りたいと思っている。 一昨日は図書館にて作業した。今日と昨日はアルバイトなので自宅作業。働きすぎているかもしれない。 一昨日やったことは、 ・原本テキストデータの印刷 ・李箱全集書籍印刷作業 ・資料調査 ・読んだ論文の要点をノートにまとめる ・資料整理作業  印刷はぼーっと突っ立っててもでき

          定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第三十七回〉

          定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第三十六回〉

           最近図書館で行う作業は計測作業よりも、印刷作業と注釈作業の方が多くなってきた。記憶が朧げだが国立国会図書館の印刷料金はA4一枚あたり17円くらいしたはず。かなり高額。しかし、韓国国立中央図書館の印刷料金は一枚5円なのだ!!一回の印刷で160〜200頁ほど印刷する私にとって、こんなにありがたいことはない。200頁印刷しても日本円で1000円と少し。 最近印刷した資料は以下の通り。 「李箱詩全作集」(文學思想師匠研究室編、李御寧校註、1978年) 「李箱小説全作集1」(文學思

          定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第三十六回〉

          定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第三十五回〉

           2024年1月24日午後3時 ソウル地下鉄2号線市庁駅11番出口すぐ TWO SOME PLASEにて  パク先生とお会いした。私が原典資料をローラー作戦でネットを徘徊しているうちに、たどり着いた資料アーカイブの代表者の方である。李箱文学研究学会で何人かの先生とお会いしたものの、自分でメールを送り、何度も誤字がないか、失礼がないか確認して、期待してはいけない返信に緊張しながら会う約束まで漕ぎつけたのは、韓国ではこれがはじめてだった。 李箱文学研究学会の先生方からは送る

          定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第三十五回〉

          定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第三十四回〉

           そろそろ早くテキストの確認作業を全部済ませて、印刷して再確認しないといけない。 1931年 鳥瞰図 1931年 三次角設計図 1933年5,6,7,8,10,11,12月掲載 巻頭言  机の前に座って、気がついたら時間が経ってる日が続いていて、全然進まない。多分、資料調査は少し進めていたと思うが、具体的には覚えていない。その間、何をしているのかあんまり覚えていない。記憶が曖昧な仕事の整理もしなくてはならない。  自室の密室空間で一人ということも怖いし、テキストを確認し

          定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第三十四回〉

          定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第三十三回〉

           昨日は4時まで起きていた。映画の感想文を書きたくなって没頭したらそんなことになった。起きたのは9時55分。遅い。10分で家を出た。  最近は、下宿先でしゃもじ二掬い分のご飯をラップに包んで、図書館の最寄り瑞草駅の地上に出たら、すみっこぐらしのふりかけをかけて食べながら歩くことにした。そうすることで、朝ごはんを取れるし、ご飯に注ぐ感情や時間も極限まで減らすことができると気がついた。いちごジャムを塗った食パンを図書館前で食べる週間は、食パンがもともと好きではなかったのも関係して

          定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第三十三回〉

          定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第三十二回〉

           今日から本格的に「三次角設計図」の計測&テキストデータ作成に取り掛かることになった。  まだ「鳥瞰図」の確認や微調整、巻頭言1933年分の確認は終わっていないので、色々と同時並行になる。 今日は 10時半〜12時 定本作業日誌執筆(第三十一回分) 12時〜17時半 「三次角設計図」一頁と少し 行き帰りの電車内 トレース作業 ※ちなみに『朝鮮と建築』に掲載されていた李箱のテキストはすべて日本語のテキストである という進捗だった。  何作か定本作業を進めて、テキストの

          定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第三十二回〉

          定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第三十一回〉

           今週はバイトが2日しかなかったので作業をがつがつ進めた。 1月8日(月) 図書館休みのため自宅作業 1月9日(火) 図書館作業 1月10日(水) バイト→自宅作業  1月11日(木) 図書館作業 1月12日(金)図書館作業 という今週のスケジュール。  先週まで頻発していた視界が歪んで文字が踊り出すような症状は、消滅こそしないものの落ち着いてきた。  落ち着いてきたといっても気がつけば治ったのではなく、何となくどう対応すればよいかわかってきた。人間は慣れていく生き物な

          定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第三十一回〉

          定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第三十回〉

           昨日と今日はバイトが10時〜16時まであったので、図書館には行けていない。しかし、図書館に行けない日のために作業を準備しているので家に帰ってもやる作業は山程ある。  昨日今日で終わった作業は  確認した際、誤字脱字はなかったが、フォント調整やかたちの調整においてはそれなりの箇所を改善した。  実際に作成したデータを用いて、かたちの調整とは具体的に記してみよう。 「おい 誰か灯をつけて呉れよ」(呉は旧字体)という文字列をテキストボックスにただ入力してから、かたちの微調整

          定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第三十回〉

          定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第二十九回〉

           昨日涙が止まらない状態で家路について、寝込んでいたのに今日も図書館にいる!図書館に来ると頭が動いて、作業ができて涙も止まる。精神的におかしいのは分かってるけど、だからと言ってやめる方がおかしいので、ペースを考えながらやっていこう。健康が一番。  この定本作業日誌は基本的にどんよりした空気で、もうちょっと明るいことも書きたいなあとか、あまり正直にどんよりさを書き出しても自己憐憫に浸るなと叱られそうだなと思うが、本当にそうだったことをそう書いて何が悪いんだ?という結論に至った。

          定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第二十九回〉

          定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第二十八回〉

           先週はアルバイトが多いなか、出勤日以外は図書館に行き定本作業を進めた。その結果、現在出来上がったテキストデータは   という現状である。しかし最近、『朝鮮と建築』で使用していた活版印刷のフォントにより近いフォントを新たに見つけたため、その変更作業が必要になった。もう少し調べておけば、こんな二度手間はなかったのに…ということが多すぎる。しかしそのフォントの難点では現在使用しているフォントと違い、「旧字体、漢字対応の乏しさ」である。ひらがなやカタカナはかろうじて、活版印刷に近

          定本作業日誌 —『定本版 李箱全集』のために—〈第二十八回〉