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『乃木坂46のオールナイトニッポン』の面白さをやっと言葉に出来たかもしれない #乃木坂46ANN #乃木坂新内ANN0

これを書いている今時点から見て昨晩に当たる、2020年2月5日25時~放送の『乃木坂46のオールナイトニッポン』にて、ちょっとした事件があった。

冒頭、パーソナリティを務める我らが新内さんが「いや~2月に入ったんですけど~、」と話し出すやいなや、番組開始から約20秒、いきなり泣き出した。

その理由を聞くと、具体的に何か悲しい事が起きたとかではなく、お疲れモードだったところを番組開始直前にスタッフさんに励まされて思わずホロリときたそうだ。

「最近すごい忙しかったからさ、」

「悲しいわけじゃないの、悲しいわけじゃないんだけど」

「ブースの外でさ、10秒前ぐらいからスタッフさんがさ、『がんばれ~!』ってやってくれてんの見てさ、あ~~と思って」

「だから今、優しくされると多分、簡単に泣けるの。チョロい女、今」

「目まぐるしい日々を送り過ぎると、限界になって、限界になって優しくされると、多分泣くんだと思う」

とのこと。全曲披露のBirthdayLiveを2週間後に控え、(おそらく)新曲・25thシングルの製作にも取り掛かっており、その他の仕事ももちろんあり、で毎週の深夜ラジオがあり、と、さぞせわしない日々を送っているだろうこと、それによってさぞ疲れが溜まっていたことだと思う。

そんな弱りきった状態で不意に優しさを受けて、思わず涙色……といったところだろう。

ただ上で「事件」と書いたが、「番組開始からいきなり泣いた」ことは衝撃だったけど、「泣いた」ことはそこまでの珍事ではなかったりする。

彼女は、思い通りに行かなくて悔しいとか、恐怖のあまりパニック状態とかで泣く姿は少ないが、そういう理由よりも、”人”に触れて涙を見せることが多い。

思えば彼女はこの番組で定期的に涙を見せている。

最近では桜井玲香ちゃんが卒業前に出演した時に泣いたり、少し前には伊藤かりんちゃん、斉藤優里ちゃんが卒業前に出演した時に泣いたり、さらに遡ると、会社務めしていたのを退職することになった際に、同僚の方々の温かさを思い返して泣いたり、番組終了ドッキリを掛けられ、実は終了ではなく継続と知らされて泣いたり……うん、定期的に泣いてる。

と、書いてみたけど、昨日泣いたとかよく泣くとかいう話が今回の本筋じゃない。今回言いたいことはそこではない。

今週ゲスト出演した佐々木琴子ちゃん、寺田蘭世ちゃんが既に退席したエンディング間際、新内さんはオープニングでの自分の涙を振り返り「こんなはずじゃなかったんですよ」と語った。

「(本来冒頭では)『アメトーーク』の”今年が大事芸人”が面白かった話をしたかった」と言う。「めっちゃ面白かったの!」「ここ最近の回で一番好きだった」と。

ここに!このラジオの!面白さが現れてる!と思ったッッッ!!!

どこ?と思ったことだろう。つまり「ラジオで『テレビの話がしたかった』と言っているところ」である。

『乃木坂46新内眞衣のオールナイトニッポン0』時代から通算でもうすぐ4年。

パーソナリティの新内さんもすっかりリラックスしてラジオに臨んでくれているのだけど、そのリラックスっぷりがこのラジオの一つのキモだと思っていて。

それこそ、ひょんなことから泣いてしまったり、イジってくるスタッフさんに対して不貞腐れたり、ブースの外のスタッフさんと会話をし出してリスナー的には「??」な状態になったり、何かを考えこんで数秒無音になったり、メールにツボって喋れなくて数秒無音になったり……

そして、(視聴者として観た)テレビ番組の話をしたり。

ただ、このこと自体は特に珍しい話でもなく。年明け前後のここ数ヶ月は、ちょうど放送されていたキムタク主演のドラマ『グランメゾン東京』の話をたびたびしていたり、それ以前にも、DVDか何かで観返したキムタク主演のドラマ『HERO』の話をしていたり。以前あったコーナー『あいのり妄想名場面』も、元はと言えば当時観てた『あいのり』の話をしていたことを発端に作られたものだし。

もう、普通に、教室で友達と「昨日のアレ観た?」的な感じでテレビの話をするんですよね。それが絡んだ自分のエピソード、とかでもなく普通に観た内容が面白かったという話を。

ここに!このラジオの!面白さが現れてる!と思ったッッッ!!!

人によっては「あるまじきこと」に感じることもあるんじゃないかと思う。ただ、気持ちはわかるけど、残念ながらこの番組に関してはそれは当てはまらない。諦めてほしい。

むしろ個人的には、ある意味「深夜ラジオ」の一つの正解の姿なんじゃないかと思う。

つまりは、彼女にとってあの番組が一つのプライベート空間になっているからこそなんだと思うわけです。「爆笑エピソードトークをしなければ」的な気負いが本当に無い。アイドルとしての姿を演出するつもりがない。ただただ、したい話をする。ウルトラリラックス。

「”素の姿を見せる”を価値に置いたコンテンツ」としてのラジオにおいて、これほどのものは無いんじゃないかと思うわけです。ある意味、誰よりもその高みに到達している。真の意味でのプライベートを出してる。

個人的に、この番組のことをずっと「お隣で一人暮らししてるOLのお姉さんが夜な夜な友達と電話しているのが聞こえてきている」ようなものだと思っていたのだけど、もう、今まさにそれ。友達に面白かったテレビの話を楽しそうにしているところをこっそり聴いて、こちらもなんだか楽しいという状態が完成している。

そこで(友達との電話で)ガチガチのフリートークかましたっておかしな話だ。そりゃ面白い分には越したことないかもしれないけど、ここに求められているのはそれじゃない。

「20代女性が一人で過ごす夜」を、生々しくでもなく、切なげにでもなく、カラッとしたそれを普通に見せている(聴かせている)。

念の為書きますが、別に「ラジオでは本来やるべきではない事」を、さも「誰にもマネできない事をやってる!」と盲目に称賛しているわけではないです。

「本来ならプライベートの友達にしか話さないような内容の事」をてらいなく聞かせてくれるのがとっても楽しい、という話です。「パーソナリティーのことを友達のように感じてしまう」な状態のリスナー冥利に尽きる、という話。

個人的に今『乃木坂46のオールナイトニッポン』に次いで上位ラジオである『空気階段の踊り場』は、巷で「ドキュメンタリーラジオ」と評されているけど、こっちは「プライベートラジオ」なんて呼んでみたらどうだろうか。的を射てると思う。

(CM)

その「素」的なところをこのラジオの素敵なところと言い切ってしまっても良いのだけど、それ以外にもパーソナリティが新内さんだからこそ、な部分もある。

それは番組開始当初から繰り返されている『2推し』だ。

元は「『○○ちゃんが好きだけど、●●ちゃんも良いと思っている』という、1番ではなく2番目に推していること」、2推しにされがちな新内さんが自虐的に言っていたこの言葉が、いつしかそれが転じて「新内さんそのものの人間性」みたいなものを指すようになった。

そそっかしかったり、間が悪かったり、ついてなかったり、気ぃ遣いだったり、いじられがちだったり、ざっくりそんな感じのニュアンスだと思う。

有り体に言えば「カリスマからは少々遠い人」である彼女だが、それはあくまで、上のような言葉を並べて恣意的に切り取った部分だけの話である。

いや、もちろん上のような部分が、地味面白いエピソードを引き寄せたり、同じく『2推し』な人間(僕自身も)からの共感やそれによる親しみを生んだり、逆にそんなところが可愛らしくもあったりするし、むしろそれによって目を見張るようなこともあったのは事実。

例えば、『元ヤンチェック』(「学生時代ヤンキーであったか」の○×チェックと称した学生あるあるのコーナー)をやっていた頃は、メールのネタを受けて、自身の学生時代のエピソードが昨日の晩御飯のことを話すかのようにどんどん出てくる。

それは揃って一軍ではないポジションからの視点だったり体験だったりして、「スカート丈が短かったことで怖い先輩に呼び出された」とか、「修学旅行でギャルが大浴場から部屋までのすっぴん隠しにサングラスをかけてた」とか、もっと具体的なエピソードもあった(いいのが思い出せない……痛恨のミス)。

割と長いこと続いていたコーナーだけど、終盤になっても全然新しいエピソードが出てくるから、ホントこの人すごいなと思った。これは聴いていた人にはわかってもらえる部分だと思う。

他にも、鼻に付く女にムカついたりディスったり、人の調子に乗ってた若かりし頃のエピソードを容赦なく笑ったり。

そんな彼女はいまやアイドルでモデルでラジオパーソナリティでコバトン倶楽部のメンバーなわけで。ステージで踊ったり歌ったりすることもあれば、舞台上で芝居をすることもある。県庁オープンデーの日にはもう引っ張りだこだ。

それが一つのシンデレラストーリーとして憧れるものでもあるし、またそんな人がこんな風にリラックスして話をしてくれて、かつそれが共感出来ることだったり、ちょっと笑えることだったり、やけに人間味のあるものなわけで。

ラジオパーソナリティとリスナーの関係性というか距離感というか、それには色々なパターンがあると思うけど、彼女は限りなくこちらに寄り添って肩を並べてくれるようなパーソナリティなんじゃないかと思う。

それこそ彼女のラジオは、一人の夜に聴くものとして、これほどのものは無いんじゃないかってくらい寄り添ってくれている。「友達」として居てくれてる。そんな風に思う(いや、「隣に住んでるお姉さん」だった!)。

敢えて触れなくてもいいかと思ったけど、敢えて触れるのもいいかなと思ったことを一つ。

ちょいちょい色々言われているらしいけど、ロクに聴きもしていなかったり、そもそも「面白い」をよく理解してなかったりするようなのが好き勝手言っていることに関しては、少しばかり(Fワード)と思う。

ただ、「俺の推しにこそラジオをやらせろ!」という気持ちに限っては、すごくわかる。こちらはそこを勝ち取った上に長生きしている側なので。「新内さんがパーソナリティを外れる」という条件さえなければ、いくらでもあの子のこの子の2時間たっぷり一人喋りは聴いてみたい。

結局、「この番組は面白いラジオか」と問われたらそれは二つ返事でYESである。それは上に書いた通りだ。ただし、「お笑い」としての「面白い」であるかという問いにはNOと答えよう。「面白い」のポイントや質、目的の違いとでも言おうか。

これは例えるなら、砂糖のそれのみを「甘い」と言うか、よく炒めた玉ねぎを「甘い」と言うかみたいな、そういう話である。砂糖の甘さしかわからないのであればそれだけ舐めていればいいわけで、そこを勘違いして玉ねぎ農家さんを批判する筋合いはないはずである。そういう話である。

そんな玉ねぎラジオもとい『乃木坂46のオールナイトニッポン』、野暮な説明をしてしまえば「いかに新内眞衣がプライベートさを出すか、リラックスするか」が面白さのものさしで測るべきポイントであると思う。

それはつまり、「この番組が面白いか」は「新内眞衣をどれだけ楽しめるか」とイコール、ということになる。多分。

ラジオ全般で言えば、「そのパーソナリティをいかに好きになるか」というのは例外なく自然に発生することなんじゃないかと思う。

冠のラジオ番組を持っている芸人さんが一つ際立った人気を博すようになるのは、ラジオが「その人の好きになるツール」として機能しているからだ。

その人の話を直接聴いて、自然と距離が近づいているように感じる。心理学者ロバート・ザイアンスの「単純接触効果」によるものでもあるし、話を通じてその人のことを”知る”ことができて親近感が湧く。もちろん、話の面白さに憧れたりもあるだろう。「ラジオでしか知れない顔」もある。

だから『乃木坂46のオールナイトニッポン』だけ特殊、ということは特にないのだけど、少なくとも芸人さんのラジオパーソナリティと同じ観点で比べると変なことになる。

なのでまずは「新内眞衣がどんなパーソナリティであるか」を知るべきだ。そしてその上で、そんな彼女を好きになったらいいじゃないか。

彼女の面白さはどんなものか?何処を突き詰めている人なのか?そしてそれを楽しめるか?それを知ることから始めたらいい。それを知れるコンテンツは何か?『乃木坂46のオールナイトニッポン』である。

あと一つだけ。ゲストについて。

『乃木坂46新内眞衣のオールナイトニッポン0』の頃は完全に1人喋りラジオ、たまにゲストという形だったけど、『乃木坂46のオールナイトニッポン』になってからは、肩書は「メインパーソナリティ」、1人の時もあるけどゲストが出演することもある、くらいのバランスになった。

そうなると「ホストとしてゲストを迎え入れて話を引き出して……」的な形になりそうだけど、特にそんなこともなく。新内さんの作るゆったり空気にゲストも乗っかった、「一人暮らしのOLの家に友達が遊びに来た」ような感じだ(結局それは『乃木坂46・新内眞衣のオールナイトニッポン0』の頃からそうなんだけど)。

例えば『乃木坂46の「の」』は、まさに上記のようなMCがゲストを迎え入れて、という感じだ。尺が短いのもあって、ある程度決まった構成を進めていく流れだと思う。

それに対してこっちは、トークが盛り上がったら容赦なくコーナーは縮むし、告知は後回し、全員してケタケタ笑って話が進まなかったりもする。生放送という性質もあるけど、幾分ゆるい。

でもそれは、やっぱり「新内眞衣の作った空気」「新内眞衣を中心に据えた空間」だからこそだと思う。それが今や乃木坂46の名前を冠した一つのコンテンツになっているんだからすごいんじゃないかと。思うわけです。

「新内眞衣を中心に据えた空間」で言うと、クリスマス恒例企画『2推し家サンタ』では募集したメールを読むのもよそに、それとは違うテーマメールに時間を割いたり、それこそゲストとのトークが盛り上がって時間を食ったり、それに毎年やきもきしていると思うんですが、いっそそれもアリなのかなと昨年思いました。

前回は『僕の/私の好きなキムタク』というテーマを募集していたり、何年か前は『お風呂でイスを使うか使わないか』を募集していたり、いずれもその時新内さん自身の中で盛り上がっていたテーマなわけで。

「新内眞衣を中心に据えた空間」で「新内がしたい話をさせてやろう」という判断があってそうなっていたのかな、と思うと、それはそれで良いんじゃないかと。彼女の”城”感を感じて、それも良いような気がした。

まあでも、せっかくプレゼントを一個一個封筒に入れて壁にビッシリ貼ってるんだし、その労力分くらいは回収してもいいんじゃないかとも思うんだけどね。一人で賛否両論でした。

まとめ

以上、ダラダラダラッとまとまりなく書いてしまった。

実は、なんやかんや色々書いてるnote、この番組について書くのはずっと避けてしまっていたんですが、それは自分が納得いく言語化が出来ていなかったからで。

『乃木坂46新内眞衣のオールナイトニッポン0』の番組開始当初から聴いており、ある時期からはメールをちょこちょこ送るようにもなり、この番組にも新内さんにも思い入れは非常に強かったんですが、今まで題材にできなかった理由はそれです。

要は自分の中の「新内警察」が厳しすぎてこの番組とか彼女自身を題材に書くことを許してもらえていなかったからで(それこそ、今の時間帯に上がるタイミングに、区切りとして何か書こうと思ったけど無理でした)(違うテーマでしれっと取り上げることは定期的にやっているけど)。

今回、先述したOPでの事件をきっかけに何も決めずに書いてみたら、何やらその言語化が自分なりにいい感じに出来た気がするので公開してみた。

やっぱり、カチッとしっかりした説明をしようとするとダメですね。夜な夜な友達と電話している感じで書かなくては。

以上。

(追記)

1部昇格の2年目から毎週メンバーが週替わりパーソナリティとして出演することになりまして。いくらかここに書いたことも当てはまらなくなっては来ていますが、変わらず残り続けていることも確かにあると思います。だから聴き続けるのです。

(追記終わり)



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