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ローストチキン(映画「インセプション」)

クリスマスに出まわるローストチキンは、大体2回買います。1回目は丸ごとのお祝い用ローストチキン。2回目は別の日におまけとして。こちらは個人商店のお肉屋さんで購入した200円のチキンで、ジッパー袋に入れ替えてそのまま湯煎し、上記の図のようになりました。煮物みたいですけれど、味は美味しかったです。まとめて仕入れてまとめてローストしているんでしょうか。スーパーで買うよりも安かったのでした。

なぜこれが映画「インセプション」につながるかというと、食事シーンがありまして、ナイフとフォークを持って食べているんですが、料理の中身がよく分からないのです。それで過去画像を引っ張り出して、一番フォークとナイフで食べるに近い料理でまだ公開していないモノが出てきたわけです。

いやあ、夢をテーマにした映画ということで見たかったのです。そしてデカプリオ出演。それは納得。見始めたらどこかで見た顔が?あれ?渡辺謙さんではありませんか。食事してますし、その後すぐいなくなるチョイ役かと思いきや、ずーっと出ていらっしゃるではありませんか。そしてめっちゃカッコイイではありませんか。当初の「夢」を探る映画という目的で見つつも、ついつい謙さんに目が行ってしまうというトラップにはまりながら見ておりました。

夢のルールがいまひとつ難解で、複数層に行くという展開も分かりづらい、そしてミッションの達成方法も、人の意思をコントロールするというもので、私も全貌を把握できていないと思います。ただ、夢を設計するという画像、映像の作りこみは丁寧で、ああ、夢ってこんな感じだよね、というのはかえってリアルに思えました。

そしてこの作品のテーマってなんだろう?と思ったときに、喪失に対峙して、自分なりの答えを見つけてゆく物語ではなかったのかなと。妻を失った男性の物語。妻の後を追うのか、リアルに残してきてお子さんたちのもとに帰るのか。逡巡しまくった上に、やっとのことで帰るという選択肢をとります。

ですが夢ではなく、リアルな場ではご都合よく帰れるはずもなく、子供のもとに返してあげると約束してくれた、謙さん演じるサイトーさんをリアルに連れ帰らなければならず、そこの勝負シーンがとても美しく、見せ場だったと思います。ミッションの成り行きを見極めるために一行に同席したサイトーさんが巻き込まれ、しまいには虚無に落ちてそのまま年老いてしまう。その彼を連れ戻すシーン。主人公コブは、子供に会うためだけではなく、きっとサイトーさんを助けたかったのだと、信じたいものです。

彼はもう一人、虚無に落ちた仲間を救います。ヒロインのアリアドネとともに。逃げずにリスクを考慮しながらも最善を尽くす。こういうミッション映画のお約束としてのチーム構築と役割分担。そしてお互いの信頼。それぞれが別の場にいながらミッション遂行します。空気を読んで自分が今何をなすべきか、顔を見合わせていなくても分かる関係。少数精鋭とはこのようなチームを言うのかもしれません。

最後のシーンはスローモーションっぽく流れていましたが、それは敢えて、「チーム最強!わーいよかったねー」みたいなシーンにはしなかったのかもしれません。リアルを描いているのに、まるで夢を見せているかのような、心憎い雰囲気でした。


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