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いつも心に太陽を

ヨーロッパの某国は、冬の日照時間がとても短い。
そして毎日天気が悪い。
寒くて、暗い。


太陽が恋しくて、友だちとも喧嘩して、
何もかもうまくいかないある日の歌のレッスンのこと。

私の先生は、とても明るいおばあちゃん先生。
(声楽の先生はみんな人生オペラな感じで、大抵とっても明るい。)

なんでそんなに元気がないの?と聞かれ、
陽の光を浴びていないから、と答えた。

先生は、いいこと教えてあげる、と言って笑った。

私がいつも元気なのはね、心の中に太陽があるからなの。
いつも心の中に太陽を持っていると、空は曇っていても自分は明るくいられるよ。
大変なことも悲しいこともたくさんあるけれど、
心の中の太陽を意識してごらん、ほら、あったかくなってきたでしょう?

そこで私は少し泣いてしまい、ちょっとだけ歌ってその日のレッスンは終わった。


だいぶ経って聞いたのだけれど、先生の旦那さんはもう何年も寝たきりで、
いつ亡くなってもおかしくない状態がずっと続いているらしかった。
ずっと寝たきりだからね、覚悟もとっくに出来てるの、だから大丈夫、と明るく教えてくれた。

先生は本当にいつも明るく、ずっと笑っていたから、全然わからなかった。それを聞いたとき、私にはハグすることしか出来なかった。


私は先生のおかげで、あの日から、心に太陽を持つことができた。
間違いなく、あの瞬間、心があったかくなった。

ずっと太陽をキープするのはまだまだ難しいけれど、
先生のように、せめて人前では明るくいたい。


先生、元気かなぁ。
また会いたいな。
お礼言いたいな、私泣いちゃうだろうな。

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