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【書評】医者に大切な4つの力

かの有名な山下先生の人生訓的な本ですが、永嶋孝一先生の書評で興味を持ち積読していた本でした。

個人的に大変勉強になったのは、プレゼンテーションの極意に関するところです。山下先生は生まれついてのプレゼンの天才かと思っていましたが(十分その要素もあると思いますが)、それはプレゼン技術の必要性を早くから理解し、意識して努力してきた結晶である、というのが驚きであるとともに反省させられるところでした。

これからの君たち、若手研究者には、こんな経験をしてほしくないと思う。はっきり言うと、当時の僕にはプレゼンテーション力が欠如していて、自分の頭のなかだけで仕事をしていた。そういう意味では、コミュニケーション力も欠如していた。その後、さまざまな工夫しながら何度も失敗し、今の僕のプレゼンテーションがある。

だから、プレゼンテーションは、そのときの聴衆の脳を意識したのもでなければならない。前提となる知識がことのある聴衆層を対象にしているのに、同じスライドを使いまわすことは避けた方がよい。脳にある情報は人によって随分違うのに、それを全く考慮していないことがすぐばれてしまう。また、早口は禁物だ。お経を聞いていると眠くなる。聴衆の脳がうけつける、適切な、しかも短調でないスピードで話すことが必要だ。聴衆の目と耳のそれぞれに、同じ情報を異なる伝え方で届けられれば、より脳に訴えかけられると知られている。その意味で、スライドに書いた文章をそのまま読むという行為は、極めて非効率な脳の伝え方だ。

プレゼンの機会が増えるにつれて「間を取る」は思った以上に易く行うは難しだと痛感します。内容にも自分にも自信がないと、あの空気感が怖いんですよね。

総じて人生訓として、特に同じ医師としての視点である点も含め参考になる本でした。

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