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メタバース空間での授業を考える その2「舞台上で孤独にならない工夫」

さて、今回は前回予告の通り、メタバース空間での授業における話し手側の工夫について記します。

メタバース空間での自分とは、アバターです。この動きがすべてです。メタバース空間特有のコミュニケーションに慣れていかなければなりません。

聞き手である時にはぜひ、話し手のテンションを上げるような工夫を、意識的に何度も行っていく必要があると思います。それではまとめていきましょう。

話し手の工夫 「舞台上で孤独にならないために」

リアルな教室環境で行われることを前提として、私はこれまで12年間にわたってよりよい授業について考え続けてきました。

その前提には、聞き手側の表情がみえて、反応を受け取ることがあります。そして、用意してきた話の筋や活動の展開をその反応が起こっている場にフィットさせていく微調整をします。

感覚的な話ですが、内容は同じであっても相手が変わればよいアプローチも変わってくるものであり、学校の先生たちは日々、ときに意識的に、ときに無意識のレベルで対集団の授業における細かな判断をかなり多く、重ねているはずです。

メタバース空間で話した際に強く強く感じる違和感。それは、この聞き手からの反応、つまり「リアルタイムで起こる相手からの評価」をほとんど受け取ることができないがゆえに、情報量がほとんどゼロのまま進んでいくことになります。

そんな孤独感とどう向き合うか、ということがメタバース空間での授業力ともつながってきそうです。

ここではメタバース上の「孤独」と名付けますが、これを避けるために何ができるか、考えてみましょう。例えば以下のような策はどうでしょうか。

1 聞き手を育てる

メタバース空間での反応は派手にしてくれ、とお願いする。そして具体的に練習する。「共感したら手を振ってね」、「質問の答えがYESならその場でジャンプしてね」、「何はなくとも、自分の中で新たな理解が生まれたらその場でダンスしてね」などなど。顔がみえるZOOMでは、まだ表情や仕草という人間の身体的コミュニケーションの端っこが残されていました。画面の範囲内で精一杯、よきオーディエンスであることは、まだ日常生活の延長線上にありました。

でもそれが、完全にアバターになった以上は、アバターとしての自分の表現を、自分の気持ちの表現と結びつけることが必要となりそうです。拍手するためのワンクリックが、発表者を勇気づけます。そのワンクリックをためらうな、という教育を、発表者自身がオーディエンスに仕込んでおくことで、ともに発表会場の雰囲気をあたたかくすることができるように思います。

2 問いを投げかけ、反応を引き出し双方向の展開へ。

対集団であっても、問いの力は絶大です。ただし、どのように答えてもらうかについては、オーディエンスの操作能力にばらつきがあることも確か。必要な動作に関する説明は事前にしておく必要があるけれど、例えばClusterだとオキュラスクエスト2で入っている人やタブレット、PC画面でブラウザから、など端末が異なる場合には操作方法も異なり、すべての反応の方法について発表者が解説するのは困難であるのも事実です。

もし、運営本部があるようなイベントであればある程度、反応はこのボタンでこんな感じで、とか納得したらこんな反応をこのボタンで、など参加者のルールとして共有していくとよいかもしれません。

Supportiaで利用しているVirbelaというプラットフォームは、VRゴーグルを使用せず、PC画面のみで授業が行われます。

その中ではあらゆる対話の場面や意見表明の手段が用意されており、採用の決め手となりました。

・1対1の話し合い ・3人以上のグループでの話し合い(円卓) ・対集団へのチャット機能 ・対個人のチャット機能 ・色分け可能な付箋紙

このような豊富なコミュニケーションツールが確保されている場でこそ、「孤独」を避けることが可能になると思います。対話の場面を通して、参加者同士の意見交換の場があれば、環境としてはリアルな教室に近づきます。そして何より、相手が動いていて反応がそれなりに声やチャット、付箋でみえてくれば、話し手側の判断材料にもなります。そして、その場にフィットした授業をデザインすることが可能になっていきます。

プラットフォーム選びは、極めて重要です。対話の選択肢が多いものを、ぜひ採用していくべきだと思います。


3 VRゴーグルは、たぶんまだちょっと早い。

この前登壇したイベントで私は、オキュラスクエスト2というVRゴーグルを装着して参加しました。発表の際に、PCのマウスで操作すると動きがカクカクしてしまうのが発表者としてはカッコ悪いかなあと思ってのことでした。

がしかし、結論ですが、「重すぎる」!

トータルで120分ほどのイベントでしたが、自分の30分の発表だけで肩や首へのストレスは半端じゃないし、イベントの終盤になると充電が危なくなってきます。目や目の周りも疲れや重さを支えている部分なんかは痛みが出てきます。

これは、話し手にも聞き手にもよくない。余計なストレスがコミュニケーションの質を落とします。まだゴーグルは、もう少し、各企業の開発を待つべきだと思います。もっと軽くて多機能なものがきっと出てきます。

そして何より、一般に普及する程度まで価格が下がる必要があります。それまでは、なかなか皆がゴーグルをつけている前提での授業研究というのは少々早いかもしれません。実際に13歳未満は、目の健康上の理由からゴーグルはもとよりメタバース空間の使用も制限がかかっているのが現状です。

もしかするとゴーグルをつけた活動それ自体よりも、今はまだメタバース空間におけるよりよいコミュニケーションのあり方を模索しておくことが先決かもしれません。きっと軽量化されて高性能で安価な製品が出回る頃にはきっと操作方法も大きく変わり、より使いやすくなっているかもしれません。

再度強調しておきますが、メタバース上でのアバターを通じたコミュニケーションは、ZOOMやGoogle meetなどのオンライン会議システムとは全くの別物という認識が必要です。

別物である以上は、日常ストレスなく行っている高度なコミュニケーションができなくなります。よって、情報や感情を伝える努力や、受け取る努力や技術が別途、必要になります。操作方法のトレーニングからです。

そして、場に慣れるためには回数をこなす必要もあります。時間がかかることなので、今からでも少しずつ、始めておきませんか。

いずれ、テクノロジーと教育は強く強く結びつくことになると思います。

私は、公立学校1校につき1メタバース空間が紐づく時代が来ると考えています。そうなった時に救われる子どもは増えるはずだし、大人にとっても対応しやすくなることでプラスになることは多いと考えています。

子どもの学びのカタチも、アップデートしていきましょう。そしてそのために、私たち大人が、、まずは力を合わせて学んでいきましょう。

私たちSupportiaには、専用の学びの場があります。実践事例を積み重ねていくことができます。その成果も、可能な限りこういった場で発信して共有していきます。それが、結果として多くの子どもたちを救うことにつながると考えているからです。

つい熱くなって長文になってしまいました。ここまでお付き合いいただいてありがとうございました。

次回(とはならないかもしれませんが)、我々が使用する対話ツールについてはもう少し丁寧にまとめておく必要があると思うので、そのうちまた記事にします。どうぞお楽しみに。

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