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英語の言葉遊び(16): 「スナークを求めて」その七

大詰めの第七部です。

八部構成ですので、あともう少しなのですが、ここで物語詩「スナーク」を舞台化した作品に目を向けてみましょう。

楽しいミュージカル、なかなか笑えるおかしな喜劇が上演されています。

21世紀版なのでスマホや環境問題が飛び出したりしますが、原作のエッセンスはそのまま。

数年前の2018年にロンドンで上演されたのがこの動画。

子供でも鑑賞できる楽しいショー。綺麗な英語で語られて歌われます。

レース編みするビーバーは人形(笑)。後ろの白い服の女性は黒子。

Bankerは投資家(真ん中の男)として「スナーク探索隊」を編成します
彼がお金を出してBellman(左の男)を船頭として雇います。そういう設定。
お金を出す人がないと冒険の旅は成り立ちません。

劇のセリフは物語詩の筋のままですが、現代風に膨らませられています。

原作にはいない、銀行家の息子(女性が演じています)が The Boyとしてほとんど主役みたいに活躍しています。

ほかにもいろいろ改変されていて、非常にわかりやすい解釈で原作を知らずとも面白いし、原作を知っているとどんな風に設定が変更されたのかを知ることはなかなか興味深い。

Butcherは女性、ビーバーを料理して食べてやる!と脅します。
ビーバーを動かす黒子役は出番のない人が交代で演じています
スナークの肉は世界で最も神々しい肉なのだとか(笑)

英語字幕付きで、原作ほどには難しい英単語は出てこないので、英語に自信のある方は是非ご鑑賞ください。

The Boy 少年はスナーク島に到着して大喜び
スナーク島で少し頭のおかしな記憶喪失のBakerにBellmanは出会います
思わずグラッファロ・パイ(笑)が語られます
世界的大ベストセラーとなった絵本、グラッファロ
ジャバウォックも

ジャブジャブ鳥も、今回紹介するの原作第七部に登場するバンナースナッチも登場して、スナークの世界を十二分に楽しめる、家族みんなで楽しめるミュージカルなのです。

ジャブジャブ鳥とBanker
無人島なのに、電話がロンドンまで電波回線に障害がありながらもつながるのが笑えます
スマホの翻訳機能でジャブジャブ語を選択すると、鳥と会話できるようになる(笑)

Fit the Seventh:The Banker's Fate
第七部: 銀行家の運命

They sought it with thimbles, they sought it with care; 指抜きで捜した、注意深く
They pursued it with forks and hope; フォークと希望をもって追い求めた
They threatened its life with a railway-share; 鉄道株で脅した
They charmed it with smiles and soap. 笑顔を石鹼で惹きつけた

And the Banker, inspired with a courage so new 新たな勇気に鼓舞された銀行家は
It was matter for general remark, 当たり前のことのように
Rushed madly ahead and was lost to their view 狂ったように駆け出して
In his zeal to discover the Snark スナークを見つける情熱に取りつかれたようになった

But while he was seeking with thimbles and care, だが注意深く指抜きを使って探している間、
A Bandersnatch swiftly drew nigh すばしこいバンダースナッチがすぐそばに近づいてきて
And grabbed at the Banker, who shrieked in despair, 銀行家を捕まえた、あまりのことに背筋が凍り付いて
For he knew it was useless to fly. 空を飛んで逃げることも無駄だと彼は知った

「ジャバウォック退治の歌」では、
Frumiousと恐れられたバンダースナッチ登場

He offered large discount—he offered a cheque 彼は小切手を指示して値下げ交渉した
(Drawn "to bearer") for seven-pounds-ten: (「持ち主へ」と宛名を書いて)7ポンド10はどうだ?
But the Bandersnatch merely extended its neck だがバンダースナッチは単に口を伸ばしただけだった
And grabbed at the Banker again. そして再び銀行家を捕まえた

野生動物相手に小切手
きっとロンドンのお金持ちへの風刺なのでしょう
バンダースナッチに小切手?
絵本ではバンダースナッチは
オーストラリアのフクロオオカミがモデル
ルイスキャロルの時代のロンドン動物園に連れられてらきて話題だったそうなので
この有袋類肉食獣がモデルだった
可能性は十分にあります

Without rest or pause—while those frumious jaws 休みや合間を置かず、
Went savagely snapping around— 恐るべき顎はガチガチと鳴った
He skipped and he hopped, and he floundered and flopped, 飛び跳ねて、じたばたしてばったりと倒れて
Till fainting he fell to the ground. 地面に転がり気絶した

The Bandersnatch fled as the others appeared バンダースナッチは他の人間たちがやってくると逃げ出した
Led on by that fear-stricken yell: 恐怖にびくびくした声に導かれ
And the Bellman remarked "It is just as I feared!" 伝令は「怖れていた通りだ」と
And solemnly tolled on his bell. 重々しくベルを振りながら言うのだった

He was black in the face, and they scarcely could trace 銀行家の顔は真っ黒に汚れて、仲間たちは彼の元の姿を
The least likeness to what he had been: そこから思い浮かべることはできなかった
While so great was his fright that his waistcoat turned white— あまりの恐怖に彼のチョッキは白くなっていた
A wonderful thing to be seen! なんという不思議な光景だろう!

To the horror of all who were present that day, その日そこにいた全ての人がぞっとしたのは
He uprose in full evening dress, 燕尾服の銀行家が起き上がり
And with senseless grimaces endeavoured to say 表情のないしかめ面で
What his tongue could no longer express. 舌がもはや表現することができない何かを必死に言おうとしていたことだった

Down he sank in a chair—ran his hands through his hair— 彼は椅子に座り込み、手で髪をかきむしらせた
And chanted in mimsiest tones そしてみじめたらしい様子で
Words whose utter inanity proved his insanity, 正気でないことが確かな馬鹿げた言葉をつぶやいた
While he rattled a couple of bones. 数本の骨を打ち鳴らしながら

椅子に座り込み、手で髪をかきむしらせ

"Leave him here to his fate—it is getting so late!" 「運命に任せて彼はそっとしておこう、こんなにも遅れてしまっているのだ」
The Bellman exclaimed in a fright. 伝令はスナークを恐れに慄きながら言った
"We have lost half the day. Any further delay, 「半日を失ってしまった。これ以上の遅れは
And we sha'n't catch a Snark before night!" 夜までにスナークを捕まえることができなるなるということだ」

次回は最終回と考察。お楽しみに。



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