特別なものを 特別に扱う

ブックカバーの店 心象風景さんが
4月末で 一度 店を閉めるらしい

前に買ったカバーは 
とても気に入って使っている

けれど 当初付けたかった本に 
合わなかったのだ

ならば

この機に 買うしかない
僕は オーダーメイドの購入を決めた

程なくして 
カバーが家に届いた

今回は 前回の
【祈り】というカバーと異なり

赤を基調とした 
【不死鳥】というカバーだ

クリックポストのテープを
ペリペリと剥がし 箱を開けると
鮮やかな色が 目に飛び込んできた

綺麗

少し大きめの本に 合わせたから
前よりも 大きい

ワクワクした気持ちを 感じながらも
長さを 測り間違えていないだろうか

一瞬 不安になりながら
本に かぶせていく

するり

よし 幅はぴったり
反対側は どうだろう

するり

やった ぴったりだ
自然と 笑い顔になった

ふふふ

しばらく 本では
読んでいなかったので

この機に 読み返すために
カバーに 手を伸ばす

指が 布に触れるのが
心地よい

大好きな一節を 
目で追うのだけれど

なぜだろう
あまり 頭に入ってこない

どうやら僕の意識は 
本よりも カバーの方に向いている

今回は 
読むことよりも 被せることの方が 
特別らしかった

ブックカバーという品物は
僕の中では 使い回すものだった

だから 普通は
文庫本や 単行本の大きさに合わせて 
作られている

しかし このカバーは違う

僕が被せたいと思った 
この本のために作られた

他のどこにもない 僕だけの 
僕だけのカバーなのだ

それを使っていることへの
よろこびなのだ

それは

自分にとって特別な本を 
特別に扱うことができたという
よろこびなのだ

大切なものを 
大切に扱うのは難しい

同じように

特別なものを
特別に扱うのも難しい

カバーをつけて僕は
この特別に扱う経験を 
もらったのだ

✳︎✳︎✳︎タイトル画像について✳︎✳︎✳︎

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