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あの人が願っていたこと

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こちらのマガジンでは、対話の中で聴かせていただいた願いを絵と文章で綴っていきます。聴かせていただいたの願いを応援し、それが誰かの背中を押せるように。絵を書かせてくれる人も募集して…
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#抽象画

あの人が 願っていたこと 07

この絵を書かせてくれた方は 普段の柔らかな物腰からは 想像つかない言葉を 口にした 自分の中には 怒りがあるんだ その怒りとは 生まれたそのままの形では いさせてくれない この世の仕組みへの怒り その仕組みは  誰かのため なのかもしれないし その仕組みは ひょっとしたら 誰かを陥れるため なのかもしれないし その仕組みは 自分の想像だにしない 何かのため なのかもしれない その仕組みのせいで 生命は  そのままの形でいることを 禁じられている そのことへの 

あの人が 願っていたこと 06

この絵を書かせてくれた方は 自分の活かし方を 問い続けていた すこし 時間を遡る 当時は 今と違う仕事をしていた 手応えも感じており 成績も良かった しかし ある時 気がつく 自分が 仕事を頑張ると 価値を下げていることに 物を売るには 売り上げのために 価格交渉が 必要なこともあるだろう 時として 単価が下がることがある それが 許せなかった 有限な 時間をつかって 人の手がかかった 品物の価値を  自分が 下げているなんて これが 自分の仕事なのか 自分

あの人が 願っていたこと 05

この絵を 書かせてくれた方は 子どものように まっすぐな  気持ちを 持っていた 人はいろいろな  側面を持っている そして その中には  好きな自分と 嫌いな自分がいる 好きな自分は いい  出番がよく訪れる 心地よいタイミングで 呼ばれ 外界に出ることを 許される うれしいことも かなしいことも 精一杯 表現することが できるのだ しかし 嫌いな自分は 違う 何かに触れてしまい 出番が来たとしても 抑えられ 控えられ 止められ 外界に出ることは めったにな

あの人が 願っていたこと 04

この絵を書かせてくれた方は 心の奥に  深い 悲しみを持っていた 悲しみは  無力感を連れてくる 無力感は 耳許で まるで 自分の声のように やさしく ささやく 言葉を 受け入れてしまえば 苦しみは 軽減するのかも知れない しかし その人は 無力感に 流されるわけでもなく 無力感を 否定するのでもなく 無力感に 抗うのでもなく 無力感と ともにいることを 選択したのだ なぜなら その無力感ですら  たいせつな 私だからだ 問いを 抱えながら 毎日を 重ねる

あの人が 願っていたこと 01

痛いことは 嫌だ 傷つくことも 避けたい  好きな人なんて いない けれど それを知った上で 痛く 傷がつくことを 知った上で 歩みを進める人が いる この絵を 書かせてくれた方は とある社会の痛みに  身を投じようとしていた かつて 距離を置いた痛み 自ら 蓋をした痛み それが 今になって 目の前に 現れた 社会には痛みが 数多くあるけれど 自分ごととして 痛むことができる痛みは その人が扱うべき 痛みなのだと思う 大きな痛みに 戸惑いを感じつつも 取り組むこと