女子スケートボードのレベルを引き上げた岡本碧優選手の話

新種目のスケートボード女子パークで惜しくも4位となりながらも多くの人にインパクトを残した岡本碧優選手。

女子のスケートボードパークは彼女によってレベルが引き上げられたと言っても過言ではありません。

2019年に彼女の代名詞と言える540(空中でボードを1回転半させる大技)を女子で初めてメイクさせると、これを武器に2019年シーズンは出場した国際大会で6戦全勝と無敵の強さを誇りました。

彼女しかできない540という大きな武器を手に、2019年の大会を全勝したのですから、2020年に東京五輪が開催されていれば間違いなく金メダルを取れていたことでしょう。


しかし無情にも東京五輪が延期となってしまいます。そして1年延期という時間は岡本さんにとってモチベーションを下げることとなってしまったそうです。

一方世界のライバルは岡本さんに追いつくための時間が1年間与えられたことになります。

東京五輪で金メダルを獲得した四十住さくらさん、銅メダルを獲得したスカイブラウンさんはこの与えられた1年間の間に540を習得します。


コロナ禍での大会休止期間が終わり、再び再開された2021年5月の国際大会では四十住さんが習得した540をメイクして優勝。

岡本さんは3位となり四十住さんが岡本さんの連勝をストップさせた形になりました。

延期された1年の間にライバルに追いつかれた岡本さん。


そんな岡本さんが五輪のために用意したのは得意の540を2本入れつつ、最後にフリップインディーという技を入れるルーティンでした。

ライバルに追い付かれたことを自覚し、ライバルをさらに上回るためのルーティンを五輪に持ち込んだ岡本さんの向上心。

最後の一本を安全な技で置きにいっていれば銅メダルは取れていたと思いますが、あくまで金メダルを狙いに行ってのトライ。

成功はしませんでしたが、もし成功していれば金メダルを取れていたでしょう。


最後のランが終わった後に海外選手に担ぎ上げられて称えられた岡本さん。

それは決まれば金メダルというトライに対する称賛と岡本さんの存在によって競技レベルが引き上げられたことの称賛であったはずです。


今回金メダルを獲得した四十住さんは540を2本入れ、銅メダルだったスカイブラウンさんは1本入れました。

今大会で540を武器にしたのは岡本さん、四十住さん、スカイブラウンさんの3人でしたが、これからは540を綺麗にメイクできないと上位に入れないという時代に入ってくるでしょう。

そんな時代を作ったのは間違いなく岡本碧優さんです。

そしてライバル達が皆540を武器にしてきた時、岡本さんはさらに競技レベルを引き上げる新技を習得してくるかもしれません。

まだ無限の可能性を秘めた15歳。3年後のパリまでにどこまで成長しているか楽しみですね。

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