見出し画像

【Doctor Tのスポーツ医学】子供のからだを知ろう!

 こんにちは、Doctor Tです。今回は子供の運動についてお話しします。子供達は、状況を判断して自分のことを決めることができません。関わる大人の考え方が大きな影響を与えます。親だけでなく、スポーツの指導者も同じです。子供の成長や発達のことをよく理解して、子供たちの成長に、運動をポジティブに活用しましょう!

 「子供は大人のミニチュアではない」とよく言われますが、その通りです。

サイズだけではない子供の変化
 ついつい私たちは自分達の感覚で子供に同じことを当てはめてしまいがちですが、サイズ以外の、目には見えにくい沢山の違いがあります。

慣習的な学年でのグループ分け
 通常、ある年の4月から3月に生まれた子供たちを「同学年」というくくりでグループ分けします。しかし、小学校1年生で4月生まれと3月生まれではほぼ1年分成長の期間が違い、体の大きさが違うわけです。1年というのはこの子達にしてみれば「人生の長さの6分の1」になります。大きな違いだと思いませんか?

Age(年齢)のいろんな捉え方
 さらに上記「子供の3つの変化」のスピードには個人差があります。

①生まれた時からの時間で捉える年齢="Chronological(年代順) Age"
②体のサイズで捉える年齢="Biological(生物学的)Skeletal(骨格) Age"
③精神年齢="Psychological Age"

と、3つのグループ分け方法があります。生まれた日が早い子の方が体が大きいとは限らないし、精神的に落ち着いてるというわけでもありません。

運動プログラムを考える時は、歳ではなく体の大きさや成熟度を考慮したい
 運動は体格に大きく左右されるためChronological AgeよりBiological+Maturation(成熟度) Ageを考慮して運動の内容(トレーニングプログラム)を考えることが望ましいでしょう。メニューを変えるのは現実的に難しいと思いますが、体の小さな子供には運動の負荷が大きすぎないか配慮してあげると良いと思います。

早く成熟している子のほうが競争で有利
 成熟が進んでいる子供は体も大きく、機能的にも筋力、心肺能力や動くスピードを獲得しやすいので、学年で分けられたグループでの選抜で選手に選ばれやすくなります。言い換えると、成熟の遅い子供たちは、それが理由で選手に選ばれる機会を逃してしまい、成熟が追いつく頃までに諦めてその競技をやめてしまうかもしれません。

早熟な子供も晩熟な子供に追いつかれるかも
 早熟だったために選手に選ばれた子供達は、遅れて成熟してきた子供達に追いつかれ、場合によっては追い越されることもあるでしょう。追い越される分、成熟が遅くて悔しい思いをした子達より、悔しい思いをすることになってしまうかもしれませんね…

大人としてこういった現実を冷静に受け止める
 子供の成長や成熟に差が生じるのはどうすることもできません。その現実を冷静に理解して子供の思いを受け止め、子供を支えてあげるのが大人の役割ではないかと思います。

体力・スピードだけではなく技術にも注目を!
 成熟の遅い子供の中にも素晴らしい技術を持っている子は一定の割合でいます。コーチたちは、体力やサイズで優位な早期成熟の子供達ばかりに目が行っていると、これらの技術を持った小さな子供達を見落とすことになってしまいます。この子達もいずれは成熟が追いついて、筋力や心肺機能がついてくるはずです。ぜひしっかり子供達を見てほしいと思います!

【まとめ】
・子供は大人のミニチュアではない
・子供の変化は主に「成長」「発達」「成熟」に分けられる
・Chronological AgeよりBiological/Maturation Ageを考慮する
・早熟な子供の方がチーム内での競争において有利なことがある
・(成熟の遅い子供もいずれ成熟が追いつくので)体力・スピード以外の「技術」にも注目を!

 他にも運動に関して、子供ならではの課題があります。今後もお伝えしていきますので、一緒に考えましょう!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?