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Fe(鉄)

カラダの様々な機能を調節するミネラル。
鉄の基本的な役割と、スポーツシーンでの重要性についてお伝えします。


機能

鉄は体内に3〜4g程度存在し、60〜70%が血液に、約4%が筋肉に存在し機能鉄と言います。残りは肝臓や脾臓、骨髄にストックされていて貯蔵鉄と言います。貯蔵鉄は機能鉄が不足した時に使われます。

・赤血球中のヘモグロビンをつくり全身に酸素を運ぶ
・筋肉中のミオグロビンをつくり筋肉に酸素を取り込ませる
・酵素(シトクロム)をつくり解毒を助ける

鉄といえば血液、ヘモグロビン、貧血予防というイメージがあるかと思います。もちろん、血液を豊かにし、貧血を予防するためには欠かせない鉄ですが、実は筋肉にも存在し、酵素としても活躍しています。

女性は月経血によって血液を失う量が一時的に増えたり、妊娠や授乳中に必要量が増加するなど、月経周期やライフステージによって必要量が変化するため、自分の体の状態に合わせて摂取量をコントロールすることが必要になります。


鉄の食事摂取基準【推奨量(mg/日)】

6〜7歳     男性:5.5          女性:5.5
8〜9歳     男性:7.0           女性:7.5
10~11歳   男性:8.5          女性:8.5(月経なし)  12.0(月経あり)
12〜14歳   男性:10.0         女性:8.5(月経なし)  12.0(月経あり)
15〜17歳   男性:10.0         女性:7.5(月経なし)  10.5(月経あり)
18〜29歳   男性:7.5           女性:6.5(月経なし)  10.5(月経あり)
30〜49歳   男性:7.5           女性:6.5(月経なし)  10.5(月経あり)
50〜64歳   男性:7.5           女性:6.5(月経なし)  11.0(月経あり)


スポーツシーンでの重要性

<欠乏による影響>
鉄の不足によって起きてしまうのはやはり貧血。血液中のヘモグロビンが減ってしまい、酸素を全身に十分に送る力が弱くなってしまうため、易疲労感、持久力の低下などスポーツシーンにおいて深刻な症状を招いてしまいます。その他にも、貧血の症状としては頭痛、めまい、動悸、息切れ、食欲不振、スプーンネイル(爪の変形)などがあります。貧血の診断まではつかないけれど、貧血の一歩手前の状態(かくれ貧血)も貧血と似た症状を引き起こします。
また、激しい運動やマラソンなどの長距離種目はその競技自体が鉄不足の要因となり得るため、特に食事での充実が重要です。

<過剰による影響>
鉄は吸収されにくいミネラルなので、通常の食事で過剰症になることはほぼありません。しかし、サプリメントの摂りすぎによって過剰症を招く恐れがあるため、サプリメントの使用時は注意が必要です。
過剰症の症状としては嘔吐などの胃腸症状、鉄沈着、貯蔵鉄であるフェリチンが血管内で増えすぎることによる活性酸素増加などが起こります。
サプリメントの使用の際は、食事からの鉄摂取量と合わせて使用量を検討しましょう。


鉄を多く含む食品​

レバー(豚・鶏・牛)、牛肉(ヒレ・モモ)、まいわし、かつお、赤貝、ほっき貝、ほたて貝、あさり、しじみ、牡蠣、干しエビ、大豆、小豆、がんもどき、生揚げ、納豆、菜の花、小松菜 など

※肉や魚などに含まれる鉄(ヘム鉄)の吸収率は50%
  小松菜や納豆などに含まれる鉄(火ヘム鉄)の吸収率は15%
  ビタミンC豊富な食材と一緒に食べることで、鉄の吸収率が上がります


エネルギー不足が貧血の原因になることもあります。
貧血の予防・改善には鉄が豊富な食材を積極的に取り入れることはもちろん、無理な減量をしたり、過度な糖質制限をしたりにも気をつけましょう。


この記事を書いたのは
公認スポーツ栄養士 乳井優生
Twitter:優生(ゆうき)/健幸ごはん
Instagram:管理栄養士 優生
YouTube:優生の健幸ごはん


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