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彼女と別れ話をしました。

「結局あなたは努力してないのよ」
カフェで女は責める口調で男に言った。
「何をやっても中途半端じゃない。
そんなんじゃ何も出来ないと思うわ。
常識が無いのよあなたは。常識を持ってよ!」
男は黙っていた。呼吸が浅くなっていた。
「結局私のことなんか愛してなかったんだわ」
言い終えると女は黙ってしまったが、目だけは男の方を見ていた。

いつの時代も、女性の男性への挑発が、どの感情の源泉から流れ出ているかを冷静に見極めるのが関係性の改善に最も重要だという事を、この無口を装った若輩者は心得ていた。

男は目の前のアイスコーヒーを、半分ほど飲み込むと、一呼吸入れてから女に言った。
「初めて会った日のワンピース、綺麗だったよ」
それだけ告げると、立ち上がり、すっとレジへ向かった。
女は、男が半分残したアイスコーヒーを何も言わず、じっと見つめていた。

#眠れない夜に

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