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はじめての線形代数part0 ~Aⁿを求めよう!(行列編)

線形代数とは

はじめに

 この記事を読む方は新大学生で数学を先取り学習したい初学者や、大学数学が苦手な方を対象にしています。
線形代数はあくまで大学数学なので、定義が厳密で、教科書を見るだけではとても難しいと感じると思います。
 そこで、この記事では"$${A^n}$$を求めよう!"という仮の目標を作り、難しい表現をできるだけ避けています。そのため、初めて学ぶ方でも見やすいと思います。(厳密性に欠けるので、専門的に学んでいる方は申し訳ございません。)


線形代数を学ぶ醍醐味(一次変換)

 線形代数を勉強すると一次変換という、ある点を別の点に移動させる技術が学べます。以下の図をご覧下さい。

 点Aを点A'に移動させています。これを何度も繰り返し、応用すると

 このように、点の集合を表現することができ、点を繋げると、、

なんと!絵を表現することかできました。今は二次元の話ですが、三次元で3Dモデルなどが作れますね。これを応用させるとCG技術に発展することができそうです。どうですか、線形代数を勉強したくなってきましたか?(本記事ではそういったことは扱いません。)
 今まで「点」と呼称してきたものを、実はベクトルといいます。高校数学でいうところの位置ベクトルのことです。

矢印有ver.(ベクトルの矢印は移動した印と混同するため、あえて省略しました。)

 点を移動させる技術は、ベクトルに行列を掛け算する技術を使うことでベクトルを変換させています。これを一次変換といいます。

行列とは

 いきなり「行列」という単語が出てきました。「行列」とは数を長方形に並べたものです。数字に規則はないので、気軽に見てください。こんな感じのものです。
$${\begin{pmatrix}1 & 3\\4 & 2 \end{pmatrix}}$$ ,$${\begin{pmatrix}3 & 6&8 \\2 & 1&5\end{pmatrix}}$$, $${\begin{pmatrix}6 & 0 \\10 & 8 \\ 3&7\end{pmatrix}}$$,$${\begin{pmatrix}1&0&0\\0&1&0\\0&0&1\end{pmatrix}}$$

用語を確認しよう!(ベクトル、行、列、成分)

  • ベクトル・・・一直線に並んだもの。に並ぶと行ベクトルに並ぶと列ベクトルもいいます。(矢印で考えるのは高校数学までです。どちらかというと、座標を表す位置ベクトルがメインです。)  

  • ・・・の数のまとまり

  • ・・・の数のまとまり

  • 成分・・行列の中にある”数字”(行列にある数字の場所のことです。)


とりあえず、「行」といったら「横」「列」といったら「縦」です!

用語の使い方

$${\begin{pmatrix}3 & 6&8 \\2 & 1&5\end{pmatrix}}$$は「2行3列の行列」または「2×3行列」といいます。また、「1行目」と言われたら
$${\begin{pmatrix}3&6&8\end{pmatrix}}$$を指しています。2行3列にある「成分」を問われたら、それは5にあたります。

 なお前述しましたが、行列の成分には数列のようなルールはありません。テキトーな関係のない数字達です。

和と差の計算(+,-)

 教科書などでは和と差の計算を始めにやると思います。早速なので計算練習をやってみましょう!
同じ行と列をもつ行列は足し算と引き算ができます。逆に行と列が互いに異なる行列では足し算や引き算はできません
 計算方法としては同じ成分どうしを足し引きします。例として以下の計算を見てください。同じ場所で計算する感覚です。

$${\begin{pmatrix}3 & 6&8 \\2 & 1&5\end{pmatrix}+\begin{pmatrix}4 & 0&3 \\-5 & 3&-3\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}7 & 6&11 \\-3 & 4&2\end{pmatrix}}$$

$${\begin{pmatrix}4&5\\6&7\\8&9\end{pmatrix}-\begin{pmatrix}3&5\\6&6\\7&9\end{pmatrix}=\begin{pmatrix}1&0\\0&1\\1&0\end{pmatrix}}$$

 なお、になると計算方法が全く変わってしまうので注意が必要です。割り算についてなのですが、行列では逆数($${\frac{1}{A}=A^{-1}}$$)として考えるので、割り算は考えません存在しないと思ってください。

タイトルの意味

Aⁿとは(本記事の目標)

 前述したように、線形代数は難しいです。特に数学なので、飽きてしまうこともあると思います。そこで、”この計算ができれば”大学一年生が学ぶレベルの線形代数が習得できるだろうと思う計算を思いつきました。それが本タイトルにもある「行列$${A^n}$$乗」です。
 「行列」というものは、よくアルファベットの大文字で表されます。例えば、行列$${A}$$,行列$${E}$$のようにです。ここでは、ある行列$${A}$$の$${n}$$乗を考えていこうというわけです。$${n}$$乗は累乗計算に出てくるものです。
 累乗計算をするので、行列には掛け算が絡んできます。そこで次回は掛け算を見ていきましょう。

おわりに

 $${A^n}$$を求めることは、目に見える数値的な目標なので、線形代数の入門のモチベーションが維持しやすいと思います。なので$${A^n}$$を求めることを1つのゴールにします!


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