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TCFCの現在地とビジネスモデルのポイント【実践!スポーツビジネス道場#11】

←第10話

ポッドキャスト番組「実践!スポーツビジネス道場」の文字起こし記事です。
「実践!スポーツビジネス道場」は一般社団法人スポーツビジネスアカデミ(SBA)の公式オンラインサロン「THE BASE」が毎週木曜日に配信しているポッドキャスト番組です。
スポーツビジネス界で奮闘する若手ビジネスパーソン、酒井翼さん(東京都社会人リーグ2部所属のサッカークラブ「TOKYO.CITY.FC」でスポンサー営業を担当)が日ごろの業務での葛藤や悩み、アイディアをスポーツビジネス界の第一線で活躍し、SBA代表理事を務める荒木重雄さんに壁打ちし、成長していく様子をお届けしています。


酒井)こんにちは。TOKYO.CITY.FCの酒井翼です。
前回は荒木さんにキャリアについてざっくばらんにお伺いさせていただきました、前回は相談に乗っていただきありがとうございました!

荒木)はーい、お疲れさまでした。

酒井)前回荒木さんにお話させていただいてから僕自身心境が変わったところが結構あって、3年後5年後の自分自身がどうありたいかの目標設定があったほうがいいんじゃないというアドバイスをいただきましたが、そこさえ決まればいいんだなというのが僕の中で腑に落ちて、目の前の事に対して集中できるようになって、この1か月間仕事に対して没頭できていた感覚があります。

荒木)いいね!素晴らしいね!

酒井)楽しい1か月でした!

荒木)素晴らしいね!次の1か月はさらに楽しくいきましょう!

酒井)そうなれるように今日も相談させていただければと思います。
今日はですね、僕らTOKYO.CITY.FCのビジネスモデルと今後の方向性についてという大きなテーマで壁打ちさせていただければなと思っています。
以前の収録(第一話)の中で僕がスポンサー営業を担当する中で、(コロナ禍で)売り物が無いとか営業が難しいという話で、ただ単にスポンサーに枠を売っていくというよりも、スポーツを軸にしたイベント屋になるのか、コンサルなのか広告代理店なのかっていう話があったかと思いますが、まさに企業のマーケティングをサポートしていくという領域の仕事が会社としての動きとして増えています。実際toBのコンサルとかマーケティング支援とかクリエイティブの制作とかの受託の仕事を増やしています。

荒木)うん

酒井)案件内容もサッカーとか僕らの特徴に全くあっていないかというと必ずしもそうではなくて、スポーツとかウェルネスとかヘルスケアとかの近い分野の話とか、僕らの周りのコミュニティが20・30代の渋谷で働くビジネスパーソンや経営者とかなので、それをターゲットにした商品やプロダクトとかのマーケティング支援を、僕らの強みや渋谷のサッカークラブがやるというブランドを活用できるかなと思っています。
一方でそもそもまだ試合を河川敷でやっていたり、グッズもいきなり大きな売り上げにする事は出来なかったりする現状ですし、サッカークラブとしての興行にするには時間がかかるのかなと思っています。
いわゆる案件ベースでの事業を伸ばすことは直近の数字の作り方としては良いなと思っていますが、パートナースポンサーシップとかと比べると2年後3年後を見据えた安定した数字はなかなか作れないので、翌年以降の予算が立てづらくなったりとか、ひたすら営業し続けないといけないとか、この先課題に上がってくるかなと思っていて。僕らの方向性として案件で数字を伸ばしていくことにトライする事がいいのか、もちろん最低限の数字は作りつつ、安定的な売り上げを確保できるサービス作りに注力した方がいいのかとか…。
結構戦略的な部分の話になりますが荒木さんに是非ご相談できればと思っています。

荒木)なるほど、でも素晴らしいね。この間話したようにマーケティングのところで一つ成果が出始めているのは。
でも今質問の意味は理解できたけど、まず予算が立てづらいとかというところは、思うに予算という考え方と目標という考え方かなと。ニュアンスは似てるじゃん?来年度予算と来年度目標。これ微妙に違って、そもそも今の現状だと予算立てなくて良いと思う。予算というものは、言葉の遊びじゃないけど、一つの考え方として「投資」という考え方がある。
資本金があって資本金を使って事業計画を立てて最初は資本金を使って事業を作って3年後にこうしていきますみたいな。投資をしたことによってリターンをどう作っていくかみたいなことの予算書が事業計画書。でもこれは予算を作らないとなかなか難しい。こういう動きをするのが通常の企業だとすると…、今って察するにまとまったお金があってマーケ事業をやってるわけじゃないでしょ?そうなると予算を作っても、売り上げの予算の目標でしかない。サービスを作るためにぶっこむお金が今は無い状態。そこで来年どうするかは結局どんな予算を立ててもぶっちゃけ頑張るしかないという状態。予算が立てられないというか、予算を立てるレベルに行くためにはとにかく積み立てて内部流動を作って、別のものに投資するという順番があるから、最初は厳しい自転車操業ながらも今の実績をとにかく作って内部流動を付けながら平行して新しいサービスを作る事は順当な方法だとは思う。ただそれだといつまで続くんだって話になるのでそこで少し戦略というよりは戦術的な話になるけど、まずもって今やっている事っていうのをなるべく属人化しない方法を考える事が重要。

酒井)なるべく属人化しない方法…。

荒木)強みを作るんだけども強みを一つの方法論で考えると今やっている事をモデル化できないか、横展開できないかそしてスケーラブル(拡張性)な状態にできるのかできないのか。
あるいはそこの頭のディレクションのところはTOKYO.CITY.FCが持つけどその他のオペレーションの部分はアウトソースできるかとか。
インナーのスタッフだけで何とか頑張るって状態を続けると、時間と比例してしまうので、やればやるほどノウハウがたまって多少の効率化はできるかもしれないけど、キャパシティが限られているから労働集約型のモデルになりどうしてもそこは売上が伸びていかなくなっちゃう。伸びていくためにはどうしたらいいかというと、1つの案件をモデル化してそのモデルを別の企業にも転換できるスケーラビリティを意識したサービス設計にする。あるいは属人化しないために、モデルではないんだけど、一番重要なノウハウやナレッジみたいなものをTOKYO.CITY.FCに蓄積したうえで外のパートナーとうまく連携を図って横展開をするという。
最初の内、自転車操業系で売り上げを伸ばすにはとにかく横展開させるしかない。そのためには人をいれるか外のパートナーをうまく活用するかしかない。物を作っているなら別だけどね。聞いた話だとマーケティングサポートみたいな事をやるとどうしても人力がかかる話なのでそこでどうモデル化していくかを考えながらやっていくのが一つの切り口だよね。

酒井)うーん。

荒木)その中でもなんでもかんでもっていうのはなかなか難しいので、次につながるみたいな視点で選定すると良い。次につながるには2つ意味があって、1つ目は将来的なサッカークラブの事業に活用できる案件なのかという考え方。Aというサービスを提供しているけれど、アップセルみたいな感覚でクライアントから別の案件を取れるという、次につながる可能性があるから今やっているんですという、売り上げ中心の考え方だよね。アップセル・クロスセルの考え方。2つ目はせっかく時間を使ってやっているわけだから、資産化(キャピタル化)するというかノウハウがたまるかたまらないか。単に頑張って売り上げを作るということと、どうせ同じお金ならどっちの方がクラブにノウハウがたまる(資産化できる)かという視点。
誰がやっても一緒じゃんというよりも、自分の価値、クラブの価値に付加価値を経験できるというところは仕事の選定基準の一つになる。
それが結果的には自分たちの資産になって新しいサービスとして展開できる。
整理をすると「次につながる=今後とチャンスのある案件」なのか、「ノウハウがたまるか、キャピタライズできるか」、「モデル化して横展開できるか」ということと後はなるべく「属人化しない」というか内部流動を作るためになるべく属人化させないでスタンダライズしてアウトソースのパートナーをうまくマッチングさせながら仕事ができるような事を見つけようかな、みたいな。
今幸い副業とかギグワークとか1つのトレンドになっているし、働き方の切り口になっているから、ましてや渋谷というロケーションとしてそのあたりをうまくチャンスにとらえてギグワーク的なネットワーキングコミュニティをうまくつくって、クリエイティブ集団とかマーケター集団とかをうまくネットワークしてプラットフォーム化してそこでいろんな事業を受けていくバーチャル組織のようなやり方で、横に大きく広げて収益を貯めていくみたいな方法論を一つ考えてみても面白いかなと思うよね。
そのうえで資金を少しずつでもためて、加えてパートナーからの資金収入を視野に入れながら何となく将来につながるプラットフォームサービスが機を伺いながら次の目先の考えなきゃいけない事かなとそんな感じがしました。

酒井)ありがとうございます。すごく整理いただいて。
案件の選択の仕方は次につながるかどうかというところをシンプルに見極めるというとこと、やり方としては属人化しないようにパートナーを使ったりとか内部でやる場合もあんまり考えすぎずにもちろん効率化できるところは内部でやりつつ、なるべく僕らが手を動かさないというかディレクションなどの上のレイヤーを担うみたいなことですね。

荒木)そうだよね。例えば10の売り上げがあって自分たちでやったら5のコストで5余りますみたいな。だけど外に出すと10の売り上げに対して7コストがかかる。なので本来5稼げるはずが3しか稼げない。でも最初のうちから独自でやると10がもう一個取れないんですよ、忙しくて。

酒井)ああ!そういうことですね。

荒木)5を確保できても5×nができないでしょっていう。5が仮に7のコストかかったら3しか儲からないじゃんって話だけど、そのモデルだと横展開できるからもう一件取れて6になる。そうなると結局トータルで見たら売り上げじゃなく利益ベースで見たら1件よりいいじゃんっていう。
そういうことになって横に展開していくみたいな発想を持つといいよね。

酒井)ありがとうございます。今頂いたアドバイスを踏まえて目の前の事をやっていくことは大前提ですが、先を見据えながら属人化しないようにモデル化してスケーラブルになるような事業にしていきたいなと思います。

荒木)頑張ってください。

酒井)ありがとうございます。


≪第11話 終わり≫

■登場人物
➤荒木 重雄 Shigeo ARAKI

一般社団法人スポーツビジネスアカデミー(SBA)代表理事。
株式会社SPOLABo、株式会社スポカレ代表取締役。2005年に千葉ロッテ球団の執行役員・事業本部長、パシフィックリーグマーケティングの取締役執行役員を歴任。日本サッカー協会(JFA)の広報委員をはじめ、官公庁のスポーツ関連プロジェクトなどにも多数参画。
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➤酒井 翼 Tsubasa SAKAI
J1から数えて8部に相当する、東京都社会人リーグ2部に所属するサッカークラブ「TOKYO CITY F.C.」にてスポンサー営業などを担当。
スポーツクラブで働きながら、1000万円プレイヤーになることを目指し、日々奮闘中。
TOKYO CITY F.C. 公式サイトはコチラ

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日米英に拠点を置き、スポーツビジネス界の第一線で活躍する理事4人が世界の最新スポーツビジネストピックスを発信する「理事会」や、スポーツビジネスの各専門分野に長けたゲストをお招きし、担当理事とのトークディスカッションをお届けする「サロン」など、スポビズパーソン注目のコンテンツを定期的に発信しています。昨今のコロナ禍を経て、オンラインでのコンテンツを強化し、直近のサロンはほぼアーカイブにて配信中!(いつでも何度でもご視聴可能!)
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