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「Sell TCFC in スポンサー,sell スポンサー in TCFC.」【実践!スポーツビジネス道場#20】

←第19話

ポッドキャスト番組「実践!スポーツビジネス道場」の文字起こし記事です。
「実践!スポーツビジネス道場」は一般社団法人スポーツビジネスアカデミ(SBA)の公式オンラインサロン「THE BASE」が毎週木曜日に配信しているポッドキャスト番組です。
スポーツビジネス界で奮闘する若手ビジネスパーソン、酒井翼さん(東京都社会人リーグ2部所属のサッカークラブ「TOKYO.CITY.FC」でスポンサー営業を担当)が日ごろの業務での葛藤や悩み、アイディアをスポーツビジネス界の第一線で活躍し、SBA代表理事を務める荒木重雄さんに壁打ちし、成長していく様子をお届けしています。


荒木)俺が昔キャリアを始めた日本IBMという会社があって、この会社は言うまでもなくアメリカナンバーワンのコンピュータ会社なんだけども、当時日本IBMを作ったときにはまだまだそこまで大きくない会社だったんだけど、その時の社長が椎名武夫さんっていう社長さんがいて、もう奮闘して日本市場に切り込んでものすごい成果を挙げて一躍日本の大企業作った社長さんなんだけど、俺自身もすごく尊敬する社長さんなんだけど、彼が言っていたころが実は俺自身の原点になっている言葉があって、英語なんだけど「Sell IBM in JAPAN, Sell JAPAN in IBM」っていう言葉があるのね。これどういうことかって言うと、日本においてIBMを売り込むことはもちろん大事。それと同時に「Sell JAPAN in IBM」IBMの本社の中でどうやって日本を売っていくかっていう2つの戦略ずっとやってきた。
日本IBMからしたらIBM本社は親会社だけど離れた小島の日本市場ってどれだけ本社を巻き込めるか、日本のお客様の要求を本社に飲み込ませて、本社を日本の為に動かせるか 工場をどれだけ動かせるか、日本の持っている細かい要求に対してどれだけプライオリティを上げて日本のためにどれだけ本社を動かせるかというのは日本IBMを大きくするには必要な要素だと考えていたのが椎名さん。だから「Sell IBM in JAPAN」日本市場にIBMをどう売り込むかはみんなが考えるマーケ、プロモーション戦略。でも彼がより重視していたのは「Sell JAPAN in IBM」本社のなかで日本市場をどうやって入れこむか、その時示したのは日本流の経営とか、日本の組織体制、考え方、いいところをあの手この手でいろんな方法で本社に売り込んで日本のすばらしさを説いてった。日本のやり方、日本流のやり方をしっかり理解した上で本社のサポートを仰いだ。それによって本社が動いて日本IBMが大きくなっていったという。
それスポーツにすごく使える発想で、クラブっていうのは工場であってそれ自体では生み出せない。スポンサーシップという大きな収益源の下で成り立っている、あるいはチケット収入でファンに支えられている。今まで二枚看板。どちらにせよ共通項は応援してもらう、理解してもらう、ということで言うと、ある意味今の文脈で突き合わせるとスポンサーさんというのは親会社と言えなくもない。
つまり彼らの協力・理解なくしてクラブは成り立たない。なぜならそこから原資が出てくるから。当事を考えると、ある意味そういうフレームがクラブ運営にも生きるんじゃないかなと思って。
ちなみに俺がロッテに行って経営改革した時も椎名さんの丸パクリだったんだけど「Sell LOTTE in Marines, Sell Marines in LOTTE」というのをやった。とにかく最大のステークホルダーはロッテ・親会社なので、いかにロッテっていう本社のブランドをマリーンズを使って売るかというのは経営活動でやるんだけど、ロッテ本社の中にマリーンズは今これだけ経営改革頑張って、ファンサービス頑張って、ロッテのファンは日本一みたいな事をメディアが勝手に言ってくれる。ロッテが当時数十億ってコマーシャル費用を捻出して「お口の恋人ロッテ」でコマーシャルしてたけど、ロッテのお客さんは日本一ってコマーシャルは出来なかったから、間接的にマリーンズを使ってロッテのお客さんスゴいらしいねみたいに間接的に広がる。
何が言いたいかというと、やっぱり物事って、人と人だったり、人を動かさないと始まらない。人を動かすのは戦略とかサービスとかプロダクトとは大前提としてあるんだけど、人を動かすための根っこの部分の戦略とか考え方、実行力が実態と伴わないとだめよね。という意味で「Sell X in Y, Sell Y in X」っていう考え方って実際にモノを動かすときに必要な視点なんじゃないかなと思うよね。その観点で言うと「Sell スポンサー in TCFC, Sell TCFC in スポンサー」ということでどれだけTOKYO CITY F.C.の事をスポンサーの中に浸透させていくかというのは商品作りの話ではない。だから商品以外のふるまいも含めてそれをしっかり伝えていけるかみたいなところ。そもそも論で言うと高く売りたいとかの先の目標だけじゃなくて、日々そこに注力をすべきところだと俺は思っているのね。なので本題からはサイド的な話になっちゃうけど、そういうのも含めてやっていく。さっきの翼の考え方はスポンサーを意識した考え方だから大丈夫だと思うけど、気になるといったら谷町みたいな話が出てくると思うけど、前も行ったけど谷町は全然悪いことじゃないです。そもそもなんでタニマチなのか。なぜサポートしてくれるのか、なぜ応援してくれるのかというところ。応援してくれているからお金を出してくれるって、応援したいと思ってくれているということ。でもそれに胡坐をかいているとなんだお前らってなる。あるいは応援をしてくれてるからって事を素で受けて、応援してもらうための行動をしてしまうと足元みられるし、下心が生まれるからダメ。違うアクティビティをしていることに対して応援してもらっているという事を意識する。つまり応援してもらうためにこれをやりますではなく、本来応援してもらうものではない活動そのものに対して共感してもらって、結果として応援してもらう、谷町として支えていただいているという事なので。そこの考え方を間違えると応援してもらうために頭を下げるみたいな、「応援してください!」みたいな。これは本末転倒。そこでじゃあ谷町の見てる先は何かという事がビジョンだったりコアバリューだったり。それにそれ自体に共感してくれると言ってもきれいごとでしかなくてそのビジョンだったりコアバリューをどれだけ体現して実行して社員がビジョンやコアバリューに則した行動を日々やっているか。そこでどれだけスポンサーシップのクライアントさんに寄り添っているか、その活動をシェアしてるかという、ベーシックな部分ができていないと目先で売上上げようぜといっても到底無理な話だよね。

酒井)ありがとうございます。
お話いただいた「Sell IBM in JAPAN, Sell JAPAN in IBM」の話がまさに僕らも意識しないといけないなと思うところがあって。今年僕自身スポンサー担当として一番反省しているのが、スポンサーいただいた担当者とのコミュニケーションはもちろん取るけれど、担当者以外の方も含めて全社的にスポンサードしていただいていることの意義を感じてもらうかとか、スポンサー企業の中にどう僕らを売り込むかとかのところが、あまりできていなかったなというのが個人的な反省としてとてもあって。

荒木)なんだかんだそこなのよ、あるスポンサーの中でみんながTOKYO CITY F.C.が頑張っているからみんなで応援しようというムードになっていればそんなもん黙ってても売れるとは言えないけどとっても売りやすいし、長い付き合いがイメージつきやすいじゃない。なので彼らの中でそういう存在になるにはどうするかというか、なりたい事自体アピールして、彼らの焦点をどこに定めてもらってそれに対してアクションを起こして説明していくっていうシンプルなプロセスは各クライアントに対してやっていかないといけない。理想的には、これは個人的な意見だけど必ずしもスポンサーを仮に10社取った時、10社同じように取るっていう発想になると思うけど、頑張って営業して。本当の理想は10社取るんだとしたら1社の後ろに9社がいる。なにが言いたいかというと1社にものすごくコミットして、応援してくれてすごく応援の気持ちが高まったときに、社長の取引先とか知り合いとかに口コミで社長が最大の営業マンになって取引先の9社を紹介してくれるみたいな。これができるととってもいいと思うんだよね。
なのでそうなるとなかなかね、すごいいやらしい話だけど直接やるよりも強力な関係性というか付き合っているA社との関係が崩れない限りはその下の紹介して入るくらいのほかの企業はA社とのつながりも強いからTOKYO CITY F.C.との関係だけじゃないからプラスA社との関係性もあるからより強い関係性があるというね。
なので必ずしもスポンサーはシンプルにダイレクト契約だけではなくて、もっと応援するからOO紹介するよっていう話は往々にしてあるのでそういう状況ができていくんで、そういうクライアントの事も棚卸してきっかけみたいな事を掘り下げていくと何かヒントになったりするんじゃないかなと思うよね。

酒井)ありがとうございます。まず棚卸含め今すぐできる事あるなと思うので今日からやっていきたいなと思います。

荒木)いやらしい話、プロ野球の話すると、親会社の取引先は100%降りようにも降りれない(笑)。降りてしまったら本業の取引がなくなっちゃうから。プロ野球でいう親会社がTOKYO CITY F.C.からしたら重要なクライアントだとしたら、親会社みたいな同じような関係値が築ける。もう自分たちが親会社なんだくらいの気持ちになってもらうくらいな関係値ってものを、もしかしたら単に谷町に頭下げてありがとうございますだけじゃなくてそれ以外に自分事になるのは、何だっけって数多くはいらないけど1社作っていくという事は大事だと思う。あとは商品づくりの話だけど、契約上の話で言うと勉強すればいくらでも出てくるので単純にOOがいくらみたいなセールスシートじゃなくて、金融の勉強をすると色々出てくると思うけど、金融の世界はヒント満載で、俺昔通信会社にもいたんだけどその時勉強させてもらったのは、通信会社ってああ見えても、例えば国際電話って1分単位に取引をしている。日本発のドイツ着信は月間100万分でどこ経由にするといくらになるみたいな。それこそ株と同じ。あるいは大豆とかトウモロコシと同じ。1分単位というのが取引の単位として金融商品として成り立っているんだよね、今もそうで。
そうなるとミニマムギャランティとかボリュームコミットメントとか成果報酬とかキャップ制とか複数年契約とかバンドル契約とかいろんな契約主文みたいなのがあるんだけど、そういうのをうまくスポンサーシップともうまくかけ合わせる掛け合わせると、すぐできることがある。ネットの世界で言うと金融も使うと特にこうゆう将来価値を使う商品は成果報酬もはまるだろうし、それをはまるために頑張って、インセンティブ取るために頑張るみたいな。そうするとお客さんからしたら成功しちゃったらたくさんお金払わないといけないみたいなとこでキャップ制とかもあるけど。まあ1年じゃなくて2年だとディスカウントとか、AとBとCを絡めてとか、あるいは第三者を絡めて3者経営にするとか手法はいろいろあるけど、単純にスポンサーシップのAはいくらBはいくらっていうのを越えた新しい発想の契約形態みたいな、こういうのはテクニック論だけどそれを合わせながら作っていくっていうのがアップセル・クローズセルを狙う一つの視点で、ぜひ勉強してほしいと思います。

酒井)ありがとうございます。


≪第20話 終わり≫

■登場人物
➤荒木 重雄 Shigeo ARAKI

一般社団法人スポーツビジネスアカデミー(SBA)代表理事。
株式会社SPOLABo、株式会社スポカレ代表取締役。2005年に千葉ロッテ球団の執行役員・事業本部長、パシフィックリーグマーケティングの取締役執行役員を歴任。日本サッカー協会(JFA)の広報委員をはじめ、官公庁のスポーツ関連プロジェクトなどにも多数参画。
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➤酒井 翼 Tsubasa SAKAI
J1から数えて8部に相当する、東京都社会人リーグ2部に所属するサッカークラブ「TOKYO CITY F.C.」にてスポンサー営業などを担当。
スポーツクラブで働きながら、1000万円プレイヤーになることを目指し、日々奮闘中。
TOKYO CITY F.C. 公式サイトはコチラ

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日米英に拠点を置き、スポーツビジネス界の第一線で活躍する理事4人が世界の最新スポーツビジネストピックスを発信する「理事会」や、スポーツビジネスの各専門分野に長けたゲストをお招きし、担当理事とのトークディスカッションをお届けする「サロン」など、スポビズパーソン注目のコンテンツを定期的に発信しています。昨今のコロナ禍を経て、オンラインでのコンテンツを強化し、直近のサロンはほぼアーカイブにて配信中!(いつでも何度でもご視聴可能!)
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