漫画

女の子の「生きづらさ」をあぶり出す -漫画・『さよならミニスカート』-

【あらすじ】
学校で唯一、スラックスの制服を着用している女子・神山仁那。その正体は、ある事件をきっかけに表舞台から去ったアイドル・雨宮花恋だった。

こんなにも真っ向から「女の子の生きづらさ」に切り込んだ漫画があったとは。しかも、王道少女漫画誌『りぼん』に連載されているなんて(現在は休載中)! シンプルにすごい。

よろこばしい話ではないけれど、女の子たちはきっと、人生のどこかで感じはじめるのだ。「なんだか生きづらい……」と。

たとえば。
勝手に容姿を採点されること。
自分がかわいくなるためのミニスカートを「男子への媚び」だとされること。
性被害に遭いやすいこと。
女性専用車両に乗っていると「ブスのくせに」と言われること。
変質者が現れると「部活禁止」など、女子の行動が制限されてしまうこと。

これらは仁那のいる世界でも、そして現実でも起こっている。しかも「日常的」で、「女の子が我慢すれば済む」こととされている。

でも私たちが「女の子だから」という理由で、こんなことがまかり通っているっておかしくない?
漫画の中の女の子たちは、だんだん気づきはじめる。きっと読者の子たちも同じように感じるだろう。

自分がなにに傷つき、傷つけられているのか。
それを知ることではじめて、戦い方を学ぶことができる。そのきっかけを与えてくれるのが『さよならミニスカート』だ。

***

と、重めの感想を書いてしまったけれど、少女漫画としても存分にたのしめる。大きな瞳と、ウェーブがかった髪を持つ柔道部の少年・光と仁那の恋模様ったらじれったい。

光はニュータイプのヒーロー像を持っている。彼はとあることから「男子の加害性」に気づいてしまう。だから仁那に寄り添い手を差し伸べるのだが、同時に「自分が男であること」に葛藤し、苦しむ姿も見せる。

そして少女漫画に欠かせない「恋のライバル」の存在も。学年一の容姿の持ち主・未玖だ。2巻ではまだわからないのだけれど、この子もおそらく複雑な事情を抱えていて、ゆえに厄介な(この厄介さが彼女自身を苦しめる)キャラクターだ。

この先の展開が待ち遠しい……!
(ちなみに私の推しキャラは、光の友人・正暉です)

***

こういった題材が取り上げられることに新時代を感じつつも、私が少女だった時代に感じた生きづらさが変わらずあることに、若干さみしさを覚えるよね。


この記事が参加している募集

推薦図書

コンテンツ会議

最後まで読んでくれて、ありがとうございます!