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エンタメに生かされている


先日、知り合いが口にした言葉に、強くうなずいてしまった。

「僕はつらい時、二次元に救われた。鬱症状から死にたいと思っていた自分を踏み留めたのは、『あのアニメの最終回を見届けたい』という気持ちだった」

大変、わかりみが深い、と思った。
なぜなら私もそうだったからである。

社会人1年目の終わり頃、ハードワークと人間関係のストレスが祟って心身ともに疲れ切り、1ヶ月半休職したことがあった。何度内科にかかっても微熱が引かず、1ヶ月も発熱した状態だった。あまりにもおかしいので一か八かで心療内科を受けたところ、適応障害と診断された。

その頃は少し先の未来のことにすら、まったく思考が及ばない状態だった。それでも、埋もれ続けていたベッドの中で「あぁ、あのバンドの新譜を聴くまでは死ねない」、「あのアーティストのライブを観るまでは生きねば」と弱々しくも何度も思い、結果、しぶとく生き残った。実際は音楽を聴く余裕すらなく、一時期はどの曲も身体が受け付けなかった。けれど、そういう思いだけはなぜか心の奥の方にずっとあった。

私の人生は、そういうものの積み重ねでできているように思う。
つらいことや悲しいことが重なって、「もういやだ」とか「いなくなってしまいたい」とかが頭の中をかすめても、「そういえばまだ、あの漫画終わってへんかった……」、「あの作家の新刊が出たらしい……」と思い出すと、ちょっとだけ先のことを考えられるのだった。どんな形でもいいから、あと少しだけでもいいから生きねば、と。

人に疲れても、結局人間の生み出したものに心を癒される。そうやって世の中は廻っているらしい。

今日もまた、音楽を聴いてから眠りにつく。

BGM:embrace/BUMP OF CHICKEN




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