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続・私に影響を与えた映画監督

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レンタルビデオショップで出来た映画好きの友人達の影響で映画を見続け、恐らく毎日映画の話ばかりをしていた私を見て友人がある機材を貸してくれた。
それはビデオカメラ。
当時はもちろんiPhoneも存在しないし携帯電話にやっとカメラがついたぐらいの時期で、動画を撮影する事は一般的ではなかった時代。
今思うと何故そこまでしてくれたのかわからないが、その友人は「旅行先とかで撮影してみたら楽しいよ」と1ヶ月程ビデオカメラを貸してくれたのだ。

ちょうどその頃公開された映画がご存知クリストファー・ノーラン監督の「メメント」。

記憶が10分しかもたない主人公が唯一覚えている"妻が死んだ記憶"を元に真犯人を探す物語。なのだが、こちらも「パルプフィクション」と同じく主人公の行動と物語の進行がバラバラで進んでいくため、主人公を取り巻く状況がうまく把握出来ず、映画を観ているこっちも記憶喪失であるかのような錯覚を覚える演出。
若きノーラン監督(当時20代!)を世に知らしめた傑作だった。

「メメント」の世界観にのめり込んだ私は「メメント」のパロディ映画をビデオカメラで撮影。演技などした事がない友人を主演にして記憶喪失に翻弄される男が事件を解決していく初めての自主映画を制作したのだった。その後ドキュメンタリー映画や短編映画などを撮りまくっていた私に友人が「骨董品屋で8mmフィルムカメラが売ってたよ」と情報をくれた。私はすぐにその骨董品屋に走り適当に置いてあった8mmフィルムカメラを1,000円で購入し、今度は8mmフィルムの映画を撮り続ける事に。

クリストファー・ノーラン監督はその後も「ダークナイト」シリーズや「インセプション」「インターステラー」「TENET」など大作を撮り続けている。
ちなみにノーラン監督はフィルム撮影にこだわり続け、70mmフィルムのIMAXカメラを初めて長編映画に使用した監督でもある。

幼少期は映画をほとんど観ていなかった事は前の記事に書いたが、じゃあ何をしていたのかと言うとゲームか漫画。ファミコン、スーパーファミコン、ゲームボーイ、PCエンジン、メガドライブ、と発売されるゲーム機はほとんど所持していた私は高校時代に発売したプレイステーションも、その陰でひっそりと人気を得ていたセガサターンのどちらも所有していて、数年前に発売していたセガサターン用ソフト「エネミーゼロ」の攻略にハマっていた。

「エネミーゼロ」は奇才・飯野賢治が残した傑作のうちの一つ。宇宙空間でエネミーと言われる謎の生物と戦うゲームなのだが、このエネミーが「エイリアン」と「プレデター」を足して2で割ったような生物で、ゲームを進めていくうちに「エイリアン」自体が気になってきて映画の「エイリアン」シリーズを鑑賞する事に。
※ちなみに「エネミーゼロ」自体は激ムズの難易度設定で早々に諦めた兄を尻目に妹は完全攻略の後、何故か攻略本を自ら作り何度もクリアしていた。変な妹。

エイリアンは説明する必要もない国民的作品だが、リドリー・スコットが監督した第1作を皮切りに5,6年周期で続編が制作され、第1作から第4作まで全て別の人物が監督したSFホラー作品の金字塔。

第1作目 リドリー・スコット
第2作目 ジェームズ・キャメロン
第3作目 デビッド・フィンチャー
第4作目 ジャン=ピエール・ジュネ

ここで初めてデビッド・フィンチャーを知った私は、続けて「セブン」「ゲーム」「ファイトクラブ」を鑑賞。中でも「セブン」に大きな衝撃を受ける。

ブラッド・ピット演じる若き刑事とモーガン・フリーマン演じる引退間際の老いた刑事が、七つの大罪をモチーフにした連続殺人事件の真犯人を探すストーリー。

演じた2人も犯人もストーリーも非常に良かったが、衝撃を受けたのは別のところで、銀残しを使ったコントラストの高い映像だったり、別の監督(カイル・クーパー)が演出した独特なオープニングクレジットだったり、通常のエンドロールの逆回転で流れるエンドクレジットだったり。
何よりも七つの大罪の伏線回収と主人公の葛藤を描いているラストシーンは何度観ても胸が苦しくなる。未鑑賞の方は是非観て欲しい作品。

デビッド・フィンチャーの虜になった私はその後も「ゾディアック」「ベンジャミン・バトン」「ソーシャル・ネットワーク」「ドラゴンタトゥーの女」など全て鑑賞したがやはり「セブン」が彼の最高傑作だと思っている。

ちなみになのだが、映画「ゾディアック」の元になった実際の事件(ゾディアック事件)は、私が小学生の時に何かの記事で読み個人的に興味があった為、文献などで調べていた事件であった。我ながら変な小学生。
デビッド・フィンチャーが、あのゾディアック事件を題材に映画を撮るという噂を聞いて一人震えていたのを今でも覚えている。

更にちなみになのだが「踊る大捜査線」の織田裕二といかりや長介のコンビは、「セブン」のブラピとモーガンフリーマンをモデルにしていると当時噂されていた。やる気だけ先走り系の若き刑事と引退間近の老いた刑事。

長くなってしまったが、
「メメント」のクリストファー・ノーラン
「セブン」のデビッド・フィンチャー
この2人が最も私に影響を与えた映画監督。

他にもダニー・ボイルやガイ・リッチーやポール・トーマス・アンダーソンやウェス・アンダーソンやアレキサンダー・ペインやテリー・ツワイゴフやスティーブン・ソダーバーグやコーエン兄弟など他にも好きな映画監督はいるのだが、衝撃と影響を受けたのは前回と今回の5名。他の監督達はまたの機会にでも。それでは。

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