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ラフマニノフ:聖 金口 イオアン 聖体礼儀 作品 31

Sergei Rachmaninov - Liturgy of St. John Chrysostom for mixed cole OP. 31 
指揮:シグヴァルズ・クラーヴァ
合唱:オランダ・ラジオ放送合唱団
収録:2014年 11月 2日(日)   at  王立コンセルトヘボウ・大ホール

「 聖 金口 イオアン 聖体礼儀 」(せい きんこう いおあん せいたいれいぎ)作品31は、セルゲイ・ラフマニノフが1910年に作曲したロシア正教会の
奉神礼音楽 で、金口イオアン の定めた聖体礼儀に基づく無伴奏の混声合唱による聖歌であります。

≪ 典礼は、 タイムバー 05:45 よりスタートします。ご調整願います。≫

( 金口イオアンにつきましては、別掲の幣記事をご参照くださいませ。)

 チャイコフスキーが同一題名の典礼曲を作曲したのは 1878年でした。
約30年後、 チャイコフスキーを師と仰いだ ラフマニノフも、同じ道を
歩んでいることになります。

この作品は1910年の夏に書かれ、その手稿には彼自身の手で「完成、神に光榮を」と書きつけられているそうです。

1時間10分ほどのキリスト教会のミサに列席されているとお考えになって、ご鑑賞頂ければと存じます。

彼の、他の作品をばかリ聞いていたスピンは、この清澄極まりない、透明な心からの祈りの音楽を、ラフマニノフが本当に書いたのか、という大変な驚きを禁じ得ませんでした。
ご案内する、コンセルトヘボウにてのこの公演を探し当てた時に、心から
感激したことを、白状します。

すぐ傍らに、独り教会の片隅で祈りをささげている、ラフマニノフご本人の呟きが、聞こえてくる想いがいたします。

初演は、1910年の12月8日、モスクワ聖務会院合唱団により非公開で行われたそうです。
そして、この初演を聴いた聖職者の一人は次のように感想を述べられたと。

「音楽は実に素晴らしい、美し過ぎるほどだ。」
「しかしこのような音楽で祈るのは難しい。」
「教会向きではない。」・・・と。

この作品はロシア正教会に受け入れられず、実際に教会にて歌われることはなく、更に、ロシア革命にて無神論を掲げるソビエト連邦の体制になって
からは、宗教音楽の演奏自体が禁止されたため、この作品が日の目を見る
機会はほんの一部を除いて、なくなりました。
革命により祖国を捨てねばならなかったラフマニノフの昏い想いが沁みいります。

結局、この作品が初めて教会内で歌われたのは、ペレストロイカ
(ゴルバチョフ政権時の改革) 後の1987年2月で、ラフマニノフの故郷の
聖ソフィア大聖堂においての、国立モスクワ合唱団の演奏まで待たねば
なりませんでした。

曲は、四声の混声合唱により無伴奏で歌われます。伴奏を用いないのは、
奉神礼の聖歌においては人の声以外の楽器を使用しない、という正教会の
伝統によります。
また、歌唱は「教会スラヴ語」によります。(スピンにはさっぱりです💦)

それでは、清らかな1時間をお過ごしいただけますように。

*この曲のご説明の一部は、Wikipedia より転載させて頂いております。

⇒ S. ラフマニノフ:交響的舞曲( Symphonic Dances ) 作品45
  参りたいと存じます。


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