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チャイコフスキー:幻想序曲「ロミオとジュリエット」

Pyotr Ilyich Tchaikovsky:Fantasy Overture 'Romeo and Juliet'
指揮:アンドリス・ネルソンス
演奏:ロイヤルコンセルトヘボウ管弦楽団
収録:2011年11月16日  演奏時間:19分31秒

交響曲第1番と第2番の間、1869年に書かれたチャイコフスキー最初の
傑作です。

ご紹介する指揮者のアンドリス・ネルソンスさんはラトビア出身で、
近年 亡くなられた名指揮者 マリス・ヤンソンスさんのお弟子さん。
2020年のウィーンフィル・ニューイヤーコンサートで、指揮をした方(現在41歳)ですので、ご存じの人も多いかと存じます。

その32歳の時の気鋭の演奏です。まだまだお若いので、これから生演奏で
お聴きいただける機会が沢山あることでしょう。

「ロミオとジュリエット」は、イギリスの大劇作家で、詩人のウィリアム・シェークスピアの手になる悲劇の一つで、1595年位の作品。
余りにも有名な戯曲ですので、ここではご説明を省きます。

1968年上映された、フランコ・ゼフィレッリ監督、レナード・ホワイティングとオリビア・ハシーのコンビにより大ヒットした映画のシーンを、どうしても思い出してしまいます。

14世紀のイタリアの都市ヴェローナの、モンタギュー家とキャピュレット家の間に起こった、うら若き男女の恋と悲劇を下敷きにした有名な物語。

演奏の冒頭、メンデルスゾーンの「真夏の夜の夢」を彷彿とさせる曲想で
始まります。

「真夏の夜の夢」は 妖精たちが織り成す物語であるだけに、澄み切った、
不思議な世界に流れ出る曲想ですが、「ロミオとジュリエット」は、人間の世界の争いと恋の悲劇を表わす、哀しくも美しい曲。

作曲当時 29歳のチャイコフスキーの、叙情的で、流麗かつメランコリックな旋律と、あらゆる弱いものに向けられた繊細な心を感じさせてくれる作品。
併せて、後年、顕著に現れるロシアの憂愁、北のロマンティシズムの薫りが、そこはかとなく漂う曲でもあります。

弦楽器と管楽器の激しい掛け合いが 両家が剣を交える様をイメージさせる、モンタギュー家とキャピュレット家のいさかいの第1主題から、葬送行進曲風のティンパニが心を刻む悲しみの旋律の中、ロミオとジュリエットが天に召される様を清らかに奏でる終結までを一気に謳いあげる並々ならぬ力量を味わって頂けることでしょう。

ついでながら、チャイコフスキー作品ではないですが、昔懐かしい映画の
挿入歌で、ニーノ・ロータ作曲の「What Is A Youth」が流れる中、二人の
切ない出会いのシーンをお楽しみ頂けたらと思い、添付いたします。

What Is A Youth: ニーノ・ロータ

What is a youth? Impetuous fire…
What is a maid? Ice and desire…
The world wags on….

A rose will bloom … It then will fade …
So does a youth … So does the fairest maid …

Comes a time when one sweet smile …
Has its season for a while… Then Love's in love with me…

Some may think only to marry… Others will tease and tarry…
Mine is the very best parry… Cupid he rules us all …

Caper the caper… Sing me the song …
Death will come soon to hush us along …
Sweeter than honey and bitter as gall …
Love is a task and it never will pall …
Sweeter than honey and bitter as gall …
Cupid he rules us all……

これも私スピン青春期の、懐かしい想い出のメロディでありました。


⇒ それでは続きまして、チャイコフスキーの天賦の才がいかんなく
  発揮された  ピアノ曲集「四季」作品 37a  の心優しいメロディ を
  お楽しみください。


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