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子供が教えてくれる移動のUX

どこかへ遊びに行く時、検索ツールが発達した現代では、所要時間とコストで交通機関を選ぶ人が多いと思う。しかし子供と出かけるようになってから、移動ではUX(User eXperience ≒ 体験の質)が大切な要素だと思うようになった。 今回は移動の方法を選ぶ際にUXを重視してみてはいかが?というお話。

UXはIT業界でよく使う用語だと思うが、ここで言うUXは体験の質、つまり、移動している時間が快適で満足度の高いものかどうかを指す。
例えば私は豊島区に住んでいて、目的地に向かうのに Subway(地下鉄)を使うルートと Train(地上の電車)を使うルートがあって Subway のほうが少し早い、ということがある。

こういう時、子供がいない時代は当然のように Subway を選択していたが、子供と一緒に地下鉄に乗ると景色が見えなかったり音がうるさかったりして子供がぐずるので、少し遅れるくらいであれば Train を選択するということが増えた。
また、乗り換えがなく1時間かかる電車と、乗り換えがあって30分+30分の電車では、乗り換えの手間がかからなければ後者を好むケースが最近はある。同じ環境が長すぎると子供が飽きるからだ(景色の面白さにも路線によって違いはある…例えばうちの子は鉄橋が好きだ、だから鉄橋がある路線はポイントが高い)。

最初私は、こうした変化は単に、大人が子供に合わせているだけだと思っていた。しかし確かに、景色が見えなかったりうるさかったりする地下鉄は大人にとってもデメリットが多く、1時間姿勢を変えずに座りっぱなしなのも体に悪い。要は大人はUXの悪さを我慢していただけなのだ。そう思ったら、移動手段はUXで決めようと考えるようになった。

例えば、徒歩の質。目的地Aに行くのと、目的地Bに行くのは時間的に大差がないが、Aに行くルートには紫陽花が咲いた綺麗な小道があり、散歩が楽しい。それならうちの子は最近歩く練習をしていることだし、Aに行ってみよう、という具合。バスをよく使うようになったのも、景色が楽しいというだけでなく、改札を通って電車に乗り込むまでの悪い徒歩の質がバスにはないからだ。バス停周辺の道を歩くのはだいたい楽しい。

一日生きていれば、どうせ一日分の時間を過ごすことになる。移動の質が高ければ、移動は単なる手段ではなく、その日したいことの1つにさえ成り得る。家と目的地を入力して検索するのだけが正解でもない。経由地を1つ追加して、家から経由地、そこから目的地に行く移動のUXが素晴らしいものになるなら、時間が伸びてもそれは全然アリだ。

子供を見習って、自分の感性に素直にならないと、自由な生き方から遠ざかってしまうんだなぁ、と思わされた。

ではでは。


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