都市伝説を紐解きたければ娯楽を見ろ。〜ブラック・ミラー編〜

はい、ひさびさにいきましょう、このシリーズ。
今回はNetflixにて配信されている「ブラック・ミラー」
すべてのエピソードを取り上げるのはボリュームがありすぎるので、いくつかピックアップしてやっていきます。

このシリーズを初めて読む方は、まずこちらから読んでください。

この「ブラック・ミラー」は【新しいテクノロジーがもたらす予期せぬ社会変化を描く、ダークで風刺的なSFアンソロジー】。
その内容はどう見ても支配層がこの先やろうとしているであろうことが描かれていて、非常に興味深い。あと単純に超おもしろい。
ただエピソードによってはただの胸糞みたいな回もあるので、そういうの苦手な方は注意してください。
雰囲気としては「世にも奇妙な物語」に近いけど、さすがイギリスだけあってもっと皮肉だし胸糞悪いシーンは多い。
現在シーズン5まで配信されており、シーズン6のキャスティングが進行中との噂があるが、真偽は不明。

また、このシリーズにはテクノロジーを提供する会社として「タッカー社」というのがたびたび登場し、各エピソードとの関連を伺わせる。
イースターエッグ(隠し要素)なども多く見応えあり。
ではさっそくエピソードごとにいってみよう。


<人生の軌跡のすべて/シーズン1 エピソード3>

・未来に埋め込まれるかもしれないチップの話
・チップにすべての記憶が記録されることで犯罪の誤魔化しなどはできなくなるが、弊害もある

チップの埋め込みによる管理社会の究極系に近い。
人々はチップが体内に埋め込まれていることが普通の社会となり、その記憶のすべてをチップが記録しているため、犯罪などは誤魔化せなくなる。
これは恐らく犯罪の抑止力にはなるだろうが(記録の消去は厳罰となる)、見ようと思えばその記憶のすべてを見られるのでプライバシーは微塵もない。まあそれは現在でも変わらないが。
現時点でもスマホやPCのデータは恐らくすべて解析されており、あなたがどんなサイトを見て、誰に興味があり、何を食べて、誰に会って、どこへ行って、どんなポルノを見ているかなんて全部バレている。
それの強化版の世界がここには描かれている。支配層の最終目標はここだろうな。
ただ、「管理社会」も使い方によっては犯罪の撲滅などには利用できそうだなとは思う。

管理社会に関する私の個人的見解は「都市伝説・陰謀論を語る。〜今回は自分のことを書いてみる その2〜」に書いてますので興味あれば読んでください。めちゃくちゃ賛否両論あるだろうけど。


<ずっと側にいて/シーズン2 エピソード1>

・クローン技術の存在
・魂と肉体は別であることの匂わせ

クローン技術が恐らくすでに人間を作り出せるレベルに到達しているのであろうことは映画「アイランド」ですでに見せられている。
デ◯◯◯◯ド・ロ◯◯◯◯ラーは生前何度も心臓移植を繰り返したと言われている。そんな都合よく適合する心臓がどんどん出現するわけないので、彼の心臓はクローン技術によって培養されたものだったのではないかと思う。
また、肉体と魂は分離が可能であり、肉体は所詮魂を入れるための「器」にすぎないことはエヴァンゲリオンなどでも匂わせているので、なんとなくそうなんだろうなというのはわかる人が多いと思う。
このエピソードはその2つを組み合わせたような話である。
遺伝子情報があれば変な話「器」はいくらでも作り出せるだろうが、魂は一つしかない。
クローンを作り出せるとして、それをどう扱うのか。記憶とは何か。魂とは何か。倫理とは何か。
そんなエピソードである。


<ランク社会/シーズン3 エピソード1>

すでに中国では始まっている「信用スコア」の話

人からの評価によってスコアがつけられ、そのスコアによってはあらゆる制限が設けられる世界。スコアが低い人間はろくな仕事につくこともできず、あらゆる施設の利用にも制限がかかる。そのため人々は「善人」を演じることに躍起になっている世界の話。

現実世界でも、中国などではすでに「信用スコア」なるものがある。
これも犯罪の抑止などには一定の効果があるかもしれないが、誰も本音を言わない、嘘で取り繕って必死にスコアを稼ぐような世界、そんなもん楽しいか?と思う。


<拡張現実ゲーム/シーズン3 エピソード2>

ここが仮想現実か現実か、あなたは見分けられるか。

個人的に好きなエピソードの一つ。
ここまで仮想現実がリアルだと、恐らく誰もそれがバーチャルだとは見抜けない。
この世界は現実か、それともクババの作った仮想現実の箱庭なのか。


<サン・ジュニペロ/シーズン3 エピソード4>

・近い将来、人々は記憶・意識をクラウドにアップロードするようになる
・それにより「死」から開放される(肉体は滅びるが記憶が残り、バーチャルの世界で生き続ける)
・メタバースの究極系

人々が死の直前に自分の意識をクラウドにアップすることによりバーチャル世界で超リアルなアバターとなって生き続け、「死」という概念から解放されるという話は他にもある。「アップロード デジタルなあの世へようこそ」とか。「トランセンデンス」なんかもそれに近いかもしれない(あれはAIになるけど)
現在急速に整備が進められているメタバースの目的は恐らくこれだと思う。
「みなさん、意識をメタバースにアップロードすれば、生前と変わらぬほどリアルな世界で、生前の姿そっくりのアバターで永遠に生きられるのです。死の恐怖から解放され、自由な世界で生きましょう」という風にもっていくことで、地上の人口を大幅に減らすつもりだろう。
バ美肉を所望する人にはそういうアバターの提供もあるかもしれない。
まあそっちの世界を望む人は、それはそれでいいと思います。個人の自由なんで。


<宇宙船カリスター号/シーズン4 エピソード1>

仮想現実世界のゲームが、現実世界にも影響を及ぼす

こちらも個人的に好きなエピソード。
先述した、シーズン3の「拡張現実ゲーム」の強化版の話。
直接脳の信号とコネクトすることでかなりリアルな世界を楽しむことができるが、マシンの扱いにはご注意。
満たされない人間の心をゲームは本当に満たすことができるのか。

ブラック・ミラーには他にもシーズン5 エピソード1「ストライキング・ヴァイパーズ」など、VRゲームをテーマにしたものがある。


<HANG THE DJ/シーズン4 エピソード4>

・この世界は現実か、それとも箱庭か
・AIの支配する箱庭の話
・AIにすべてを委ねるようになった人間の未来

話としてかなり面白い。ラストのオチが「あー!そういうことー!」とかなり気持ちいい。
これは予備知識なしで、単純にエンタメとして楽しむのもいいと思う。


<ブラックミュージアム/シーズン4 エピソード6>

テクノロジーが生み出すのは、繁栄か、悲劇か。

これも個人的に好きなエピソード。
冒頭で紹介した、最新テクノロジーを提供する「タッカー社」によって生み出された悲劇に関連するものを展示する博物館を舞台とした話。

意識のアップロード、脳波を利用した装置…。
近い将来現実になりそうなテクノロジーがこれでもかと出てくる。
テクノロジーによってもたらされる恩恵は大きいが、使い方を間違えるとたちまち悲劇を生むことを、我々は忘れてはならない。


<番外編 ブラック・ミラー:バンダースナッチ>

インタラクティブコンテンツの「ブラック・ミラー:バンダースナッチ」は、視聴者自身があらゆる選択肢を自ら選ぶことで物語が進行する。
映像作品とゲームが組み合わさったようなこのコンテンツは非常に面白いと同時に、「この世にはあらゆる選択肢があり、その選択肢に応じて分岐が発生する。選ばなかった分岐はパラレルワールド(平行世界)として別次元に存在する」という私が何度も繰り返し言い続けていることがテーマのように思う。


はい、今回はこんな感じです。
冒頭にも書きましたが、胸糞エピソードも多いので苦手な人は注意。
興味が湧いた方は是非。
特にバンダースナッチがおすすめです。スマホでゲーム感覚でどうぞ。
登場人物のコリンの台詞はかなり核心をついているので聞き逃すことなかれ。

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