見出し画像

【辛口】最近見た映画の話。【批評】

どうも、私です。
今回は最近見た映画を超個人的視点から超辛口批評しますので、不快になっても責任は負いません!!
また、この記事によって誰かを誹謗中傷する目的は一切ありませんので、以上の点をちゃんと理解してくれる人だけ読んでくれよな!!


■神在月のこども ★★☆☆☆(星2)

これは龍神やら蛇神やらが出てくるので、「都市伝説を紐解きたければ娯楽を見ろ」シリーズで書けるかもと思って見たのだが、全然そんなことなかった。
いや、映画公開時にこのタイミングで神の話を持ってくるとは狙ってると思ったんだけど、見てみたら正直期待したような出来ではなかった。

・そもそも設定がおかしい

この映画の最大の残念ポイントは、根本的に設定がおかしいところ。
「10月に神々が集まり、日本で唯一【神在月】となる出雲の地にて宴を開催する八百万の神のもとへ馳走を届ける」という部分はまあいいとして、その馳走を届ける役目を韋駄天の末裔が担うというのがおかしい

韋駄天は仏教の神(もともとはヒンドゥー教の神)であって、神道の神ではない。
出雲で縁結びに関する神様総出の会議を行うのは日本各地にてそれぞれに任された土地や氏子たち、その他自分を信仰する者たちを守護する神道の八百万の神たちであって、そこにいきなり仏教(ヒンドゥー教)の神の末裔が「はい、ご馳走ですよ!」と届けに来るなんて設定がめちゃくちゃすぎて話にならない。

神というのは人間が思うよりも奔放なので、百歩譲って韋駄天が人間との間に子を設け(あるいは特定の人間を贔屓して韋駄天が特別な力を与えて)、その血を継いだ末裔がいるという設定を飲み込んだとしても、八百万の神には全然関係ない神であって、大事な会議の場にいきなりよそ者が乗り込んでくるなんて有り得ない。
神仏習合などという余計なことをしたせいで、神道の神と仏教やヒンドゥー教の神が同一視されるようになったが、基本的には別の存在なのだから、一緒にするのはおかしい。

だったら豊受大神の末裔が各地をまわって神から食材を譲り受け、大国主大神をはじめとする神々に料理を振る舞うというシナリオのほうが納得がいく。

・主人公のカンナがうざい

いくら12歳とはいえ、責任感がなさすぎて全然感情移入できない。
最近の12歳ってこんな未熟なの?ヤバイね。
「お母さんと会えないならどうでもいい」と神様(よりにもよって龍神)との約束を投げ出したり、「夜叉がやればいいじゃん」と人に仕事をなすりつけたり、母親を亡くした可哀想な背景を考慮しても自己中極まりなくて終始イライラする。

・母・弥生の話が薄すぎる

カンナの母である弥生はなぜ死んだのか、結局わからない。病気なんだか何か知らんが、ここの説明がないから見ている側も色々と納得できない。
また、弥生がカンナに物心ついた時点で韋駄天の話をしておくべきだろと思った。

と、色々と個人的に残念だと思ったので星2。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■天外者(てんがらもん) ★★★☆☆(星3)

お次は三浦春馬の遺作となった「天外者」。
はっきり言ってこれは「三浦春馬を見るための映画」であって、それ以上でもそれ以下でもない。

・脚本と編集が残念すぎる

正直言って、これほど残念な脚本と編集だとは思わなかった。
五代友厚は近代日本に大きな影響をもたらした人物であり、産業・技術・経済のどれをとっても彼の存在は非常に大きい。(岩崎弥太郎ほど有名ではないのは、財閥を作らなかったからだろうか)
彼に関しての話なんて調べて掘り下げれば大河ドラマにできるほどいくらでも書けただろうに、なぜこんな薄っぺらい脚本になったのか。
これは約2時間前後という映画の時間の制約のみが原因ではない気がする。

坂本龍馬もわざわざ三浦翔平をキャスティングした割に超プロトタイプというか、散々こすり倒されてきた ”坂本龍馬像” そのままで、何の面白みもない。主人公の五代に三浦春馬を抜擢し、彼と同世代の三浦翔平を坂本龍馬役にキャスティングしたのなら、もっと新しい坂本龍馬を見せられたのでは…?と思う。

残念なのは脚本だけではない。編集もかなりひどい。
なんかもうぶつ切りって感じで、素人がみてもなかなかに酷い。

・三浦春馬の演技は絶品

この脚本の酷さとは対照的に、主人公・五代友厚を演じた三浦春馬の演技はさすがで、その目の動きから台詞の表現に至るまで非常に繊細で緻密なものだった。
シンプルにとてもかっこいい。
もうこの映画は三浦春馬を見るためだけに存在していると私は思っている。

悪を許さず、外国人相手でも毅然としていたという五代友厚の役は、正義感と愛国心の強い三浦春馬が演じるのにぴったりだと思ったけれど、彼の真っ直ぐな瞳は五代友厚というよりも日本という国を大切に思う、三浦春馬自身の気持ちを表していたように思う。

逆に三浦春馬の演技があまりにも光りすぎていて、他の役者がどうしても残念に見えてしまった。いっそ大河出身の俳優や、厳しい舞台経験などのある演技力に秀でた俳優で周りを固めた方がよかった気がする。
決して三浦翔平や西川貴教の演技が悪かったのではなく、三浦春馬が良すぎたのだ。

この映画は三浦春馬の存在によってのみ成り立っている映画だと思ったので、星3。
三浦春馬の演技や存在感に関してのみ星をつけるなら、文句なしの星5である。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

■福福荘の福ちゃん ★★★★☆(星4)

まさかの30代男性の役を、女性である森三中の大島美幸さんが演じたことで話題となった。
正直見る前は「いくら芸人でも、女性が男性を演じるのは無理があるだろ…」と思ったが、見終わった後に彼女が抜擢された理由がよくわかった。

・福ちゃんの役は、大島美幸にしかできない

塗装職人として慎ましく暮らし、面倒見が良い ”ザ・良い人” な福ちゃん。
そんな福ちゃんのもとに、かつて彼を深く傷つけた同級生・千穂が現れる。
フォトグラファーとしての成功を目指しながらも迷走していた彼女が福ちゃんとの再会によって、福ちゃんをモデルに再び写真を撮るようになるのだが、この写真が最高に良い

最終的に福ちゃんの写真集が出来上がるのだが、この表情は大島美幸にしか出せない良さがてんこ盛りで、元気がない時に見たくなるような、とても豊かで絶妙な表情をしている。この写真集めちゃくちゃ欲しいわ。
何だろう、川島小鳥の写真集「未来ちゃん」を見た時のような、そんな気持ち。

美人ではないんだけど、でもすごく不細工ってわけでもなくて、「いい顔」という表現がぴったり。
坊主の男なら荒川良々でもよかったんじゃないかと見る前は思っていたが、見た後に「ああ、これは大島さんしか無理だな」と納得した。
ちなみに荒川良々も同僚役で出演している。

・優しい気持ちになれる

この映画の登場人物たちは揃いも揃ってクセしかないのだが(笑)、それぞれが孤独だったり色々なものを抱えながら懸命に生きている。
福ちゃんはぽっかり空いた心の穴に、優しさや思いやりを分け与えてくれるような、そんな存在である。
狙ってやっているのではなくて、福ちゃん自身は至ってドライというか、「そう思ったからそうした」「そう思ったからそう言った」だけなのだけれども、彼のような存在が身近にいたらなあと思わずにはいられない。

不器用で、でも一生懸命で、ただ必死に生きている。
人間ってそうだよなぁと思う。

俳優陣のキャラがそれぞれ強烈なのだが、決してお互いを邪魔することなく絶妙なバランスである。
野々下くんを演じた飯田あさとはちょっと演技が未熟だと思ったけれども、それも彼の良さなのかもしれない。雰囲気は野々下くんにぴったり。

笑えて、ちょっと切なくて、なんだか優しい気持ちになれる。
温かいお味噌汁を飲んでほっこりした時のような、そんな気持ちになれる映画。

総評は星4。大島さんの表情の良さは星5


さて、色々と書きましたが、あくまでも個人の感想ですので。
気になった方は是非本編をどうぞ。
「神在月のこども」はNetflixとアマプラ、「天外者」と「福福荘の福ちゃん」はアマプラにて視聴できます。(2022年7月現在)

おすすめ映画あったら教えてください。

サポートなんてしていただいた日には狂喜します。 その喜びを肴にして酒を飲みます。 もちろんサポートしていただいた方からのリクエストは優先的に記事にします。