都市伝説を紐解きたければ娯楽を見ろ。〜スタンリー・キューブリック編〜
もう春ですね、どうも私です。
「都市伝説を紐解きたければ娯楽を見ろ。」の第六弾です。
今回はスタンリー・キューブリック監督作品を取り上げてみようと思う。
これも全部書くとキリがないのでポイントをしぼっていこうと思う。
予備知識として以下の記事をあらかじめ読んでおいてほしい。
彼は上記記事でいうところの「クリエイターパターン③」だと思われる。
このことを頭に入れて以下の記事を読んでほしい。
■2001年宇宙の旅
これはもう説明不要だろう。
初っ端からいきなりモノリスが登場し、それをきっかけにして猿人が知恵を得るというところからスタート。
はい、ミスター団結さん好きの方なら絶対に食いつくであろう「知恵を与えたブラックキューブ(クババ)」の描写ってわけですね。
いきなりエグい暴露からこの映画はスタートするのだが、公開当時の人々はまったくもって何のことだか理解できなかったに違いない。
この時点でキューブリック監督はこの世界の秘密をだいたい教えられていたのだろうと思う。
モノリスの出現から始まり、月にある人工物(というか本当は月そのものが人工物だろう)、人工知能HAL9000の登場、HALの暴走、シャットダウンされたHALの人間と変わらぬような死に様…ともうこの映画見とけばそれで事足りるくらいこの映画一本にありとあらゆる暴露があるのだが、着目すべきはラストシーン。
モノリスの力により人という存在を超越したスターチャイルドとして転生したボーマン。彼がヒトザルたちが生息していた地球という惑星を見下ろす場面でこの映画は終わる。
■時計じかけのオレンジ
パッと見ただのサイコ映画って感じなのだが、ドルーグ達の狂いっぷりよりも着目すべきはベートーヴェンの第九である。
主人公・アレックスはルドヴィコ療法によって大好きだったベートーヴェンの第九にまで恐怖を覚えるようになるのだが、この第九の歌詞には大きな意味があり、それは前回の記事「都市伝説を紐解きたければ娯楽を見ろ。〜魔笛編〜」でも書いたザラストロの歌に通じるものがある。
ああ 友よ、この音楽ではない
そうではなくて 心地よく 喜びに満ちた歌を歌おうではないか
〜中略〜
あなたの魔法が再び結びつける
時の流れが厳しく分裂させたものを
すべての人々は兄弟となる
あなたの柔らかい翼がとどまる場所で
〜中略〜
そうだ、一人孤独な人間も(喜びの声を一つに合わせ歌おう)
そして そうできない者は
泣きながら この輪から出ていくがいい
〜中略〜
あなたは私たちにキスとブドウの木と
死の試練を乗り越えた友を与えた
快楽は虫ケラのような人間にさえも与えられ
ケルビムが神の前に立つ
〜中略〜
抱き合おう、何百万もの人々よ!
このキスを全世界に!
兄弟よ、星が輝く空の上には
愛する父(神)が住んでいるにちがいない
あなたたちは ひざまずくか、何百万もの人々よ
あなたは 神を感じるか、世界よ
輝く星の彼方に神を探すがよい!
星々の上に、神は住んでいるにちがいない
もう完全にこの世界が二元論で支配されていることにベートーヴェンは気づいていたのだ。そしてこの第九を書いた。
「第九は呪われた歌」だと言われていたりするが、果たしてそうだろうか。
この歌は「呪われた歌」などではない。「悪魔が嫌う歌」なのだ。
私にはこの第九を聞いて怯えるアレックスの姿は、善悪の概念が消滅して完全な調和を得た人々の神々しさに怯える支配者層のように見える。
■シャイニング
スティーブン・キングの原作を思いっきり改変してめちゃくちゃ怒られた今作だが、完璧な仕上がりだと私は思うし、原作を変えられてキレたスティーブン・キングが自ら監督したTVシリーズがドンズべりした事実はキューブリック監督の才能を証明するのに十分だろう。
さて、これはホラー映画として完璧な出来なのだが、実は随所にアポロ計画を匂わせている映画なのだ。
「1969年の米NASA月面着陸の映像はキューブリックが作った捏造」という説は都市伝説好きの間では有名だが、キューブリックの身内が否定するなど未だに真偽不明で情報が錯綜している。
そんな疑惑の月面着陸に関する匂わせがシャイニングに散りばめられているので、以下に簡単に羅列する(細かく書くと長くなるので…)
・ホテルオーナーはアポロ計画と関係が深いJ・F・ケネディを模している
・双子は映画のオリジナルキャラクターで、「ジェミニ計画」を表している
・ダニーが「Apollo 11」と書かれたセーターを着ている
・ダニーが向かう部屋番号237は、地球から月までの距離237,000マイル
などなど。他にもあります。
ただ、これらがキューブリック監督による「アポロの映像は俺が撮影したんだぜ」というメッセージなのかどうかはハッキリとはわからない。
しかし、アポロ計画に彼が関与していなければ、わざわざホラー映画にこんなものを仕込んだりしないのではないだろうか。
■アイズ・ワイド・シャット
前回記事の「都市伝説を紐解きたければ娯楽を見ろ。〜魔笛編〜」でも少しだけ触れたが、キューブリック監督の最後の作品にして最大の問題作。
彼はこの作品の完成直後、劇場公開を待たずして心臓発作で他界している。
絶対暗殺じゃん。
ある男から「富裕層が集まる秘密の乱交パーティーみたいなのがある」と聞いた主人公・ビルがしょうもない変装でそのパーティーに潜入するのだが、このパーティーがイルミナティの悪魔崇拝儀式及びド変態趣味の乱交パーティーの暴露らしいのだ。
まあ正直イルミナティならいかにもやりそうな感じである。
素っ裸の若い女があちこちにいて(実際のパーティーは若い女どころかペドの趣味も含まれるんだろう)、まさに姦淫地獄といった様相の場面が絶妙に生々しいのでたぶんマジなんだろうな。
ちなみにこのパーティーのシーン以前にもミリチの娘(14〜15歳?)のシーンなど、ペドの匂わせは多い。
まぁそもそもキューブリック作品の「ロリータ」が完全にそれだよな。
このイルミナティのド変態儀式の暴露によって彼は暗殺されたと見られているが、一番の引き金はそこではないと思う。
ではどこか。
それは一番最後のシーンだろう。
ニコール・キッドマン演じるアリスがカメラ目線でこう言うのだ。
"F*CK."
ストーリー上この言葉をそのまま解釈すれば、危うくなった夫・ビルとの絆を確認するためにアリスがビルに対して「セックスしましょうよ」と言った、となるのだが、どう考えてもそうではない。
完全にキューブリックは支配者層(特にイルミナティ)に対して喧嘩を売ったのだ。
あれはかつて支配者層の依頼に応える「クリエイターパターン①」だった彼がその異常性に嫌気が差し、「クリエイターパターン③」になった事を如実に表しており、人身売買を本業とし、映画はただの副業にすぎないハリウッドやそれを牛耳る支配者層に対して浴びせた言葉だったのだ。
「このクソったれ。」
自分たちの気色悪い性癖を暴露された挙げ句、Fワードを浴びせられたイルミナティが激怒して彼を暗殺したに違いない。
まったく気が短い連中だね。支配者のくせに余裕がないよな。
それだけキューブリックをビビってたんだろう。
ちなみにこの映画に出てくるパーティー会場の合言葉は「フィデリオ(Fidelio)」。
未完成作品を除いてベートーヴェンが作った唯一のオペラである。
ここにもベートーヴェンをぶっ込んだスタンリー・キューブリック。
痺れるねぇ。
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