「出来たて」の匂いに惹きつけられる理由
忙しない日々の中で、ふと「出来たて」の匂いに惹きつけられる瞬間がある。
たとえば、炊きたてのご飯の匂い。先日ふるさと納税をした宮城県大和町から「だて正夢」が届いた。自炊をサボって久しいが、炊飯器を引っ張り出してお米を砥ぎ「白米急速」のスイッチを入れる。しばらくすると部屋中に漂い出す、甘い匂い。蓋を開ければ、粒だったお米がきらきら光っていた。
ご飯って、おかずを食べるために最適化されてるんだと思う。炊きたてが一番美味しい。シンプルなおかずで味わうのはちょっとした贅沢だ。
それから、ずっと好きなのが焼きたてのパンの匂い。パン屋さんで「ただいま焼きあがりました!」の瞬間に立ち会えたら至福。「焼きたてのパンの匂いで人は他人にやさしくなる」というフランスの南ブルターニュ大学による研究結果もある。
そんな「出来たて」に惹かれるのは、どうしてだろう。冷凍ご飯を温め直しても、パンを焼き直してみても、美味しいけどあの感動にはかなわない。
そこにはエネルギーがある気がするのだ。生まれたぞ、生きていくぞ、というギラギラとした熱のようなものが。それを食らうことで、体内にそれを宿していくような感覚。
私に子供はいないけれど、「ミルクの匂い」もまた、同様の類なのだと思う。儚く、それでいて溢れる生命力。
30代の私は決して「生まれたて」ではないけれど、いつだって今日の自分が一番若い。日々、エネルギッシュに生きて、周りを惹きつけられる人でありたい。炊きたてのご飯、焼きたてのパンを食べながら。
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