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「出来たて」の匂いに惹きつけられる理由

忙しない日々の中で、ふと「出来たて」の匂いに惹きつけられる瞬間がある。

たとえば、炊きたてのご飯の匂い。先日ふるさと納税をした宮城県大和町から「だて正夢」が届いた。自炊をサボって久しいが、炊飯器を引っ張り出してお米を砥ぎ「白米急速」のスイッチを入れる。しばらくすると部屋中に漂い出す、甘い匂い。蓋を開ければ、粒だったお米がきらきら光っていた。

ご飯って、おかずを食べるために最適化されてるんだと思う。炊きたてが一番美味しい。シンプルなおかずで味わうのはちょっとした贅沢だ。

それから、ずっと好きなのが焼きたてのパンの匂い。パン屋さんで「ただいま焼きあがりました!」の瞬間に立ち会えたら至福。「焼きたてのパンの匂いで人は他人にやさしくなる」というフランスの南ブルターニュ大学による研究結果もある。

最大400回繰り返された実験では、ボランティアがアイテムをパン屋の外に落としたとき、通行人の77%が立ち止まり、紛失したアイテムを回収して所有者に戻すのを手伝ったことがわかった。
衣料品店の外では、見知らぬ人の52パーセントだけが助けた。
(元記事はこちら

How the aroma of freshly baked bread makes us kinder to strangers(1, Nov, 2012)*拙訳


そんな「出来たて」に惹かれるのは、どうしてだろう。冷凍ご飯を温め直しても、パンを焼き直してみても、美味しいけどあの感動にはかなわない。
そこにはエネルギーがある気がするのだ。生まれたぞ、生きていくぞ、というギラギラとした熱のようなものが。それを食らうことで、体内にそれを宿していくような感覚。

私に子供はいないけれど、「ミルクの匂い」もまた、同様の類なのだと思う。儚く、それでいて溢れる生命力。

30代の私は決して「生まれたて」ではないけれど、いつだって今日の自分が一番若い。日々、エネルギッシュに生きて、周りを惹きつけられる人でありたい。炊きたてのご飯、焼きたてのパンを食べながら。


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