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映画館バイトをしたら大学より楽しかったという話


映画好きにとって映画館バイトは神

僕は大学生時、映画館でバイトをしていた。
本当は名画座みたいなかっこいいミニシアターでバイトしたかったが、僕の住む田舎にはそんな気の利いたものはなく、おとなしくシネコンに応募し、晴れて夢の映画館バイトを始めた。
時給は地域の最低賃金に極めて近いが、夢の映画館バイトだ。そんなことを気にしてはいられない。

映画館バイトの業務は下記である。
・チケット販売
・フード、グッズ販売、フード品作成(ポップコーンとか)
・劇場清掃、映像チェック
・映写
・スタンディ製作(一緒に写真撮ったりする段ボールとかのあれ)
・その他雑用(掃除、検品等)

大体このような業務があり、僕は映写以外の業務に携わっていた。
心残りは映写業務をやらずに終わったことである。
24時間シフトに入れなかった自分にはめぐってこなかった役割である。

僕はバイト中の暇なときに新作のポスターやチラシを見るのが好きであった。
颯爽と届くチラシを誰よりも早く見ることができるというのは、思ったよりもうれしいことであった。
ただの紙切れなのにここまでの魅力を放つ存在感はあっぱれである。

スタンディ製作も骨が折れたが巨大な工作をしているようで、バイト仲間と一緒になって作って盛り上がった記憶がある。
時には英語の取説のみで作ることもあり、やはりアメリカ映画だとボリュームが大きい。
作り終えた達成感と疲労感は、映画館で働かなければ得られなかった感動である。

深夜の試写会と睡魔

働いていた映画館では当時4Dが導入され、動作や映像確認のために営業終了後に試写会を行っていた。
僕は深夜起きていられない質なので、ほとんど参加していない。
一度だけ参加したことがあるのだが、その作品は『ミッションインポッシブル/ローグネイション(2015)』であった。
4Ⅾは座席が激しく揺れ、水やにおいがでるという一種のアトラクションのようなものである。
人生初の4Ⅾを決めた僕は、事前にコーヒーを飲みカフェインを摂取。
気合を入れて試写会へと臨んだ。

しかし睡魔に負け、揺れながら眠りに落ちたのだ。
あぁ!しまった!と思ったのもつかの間、イーサンは何やら戦っているのである。
話の筋がわからなくなった僕は、不完全燃焼のまま最初で最後の試写会を終えたのである。
「あんだけ揺れてよく寝れたな!」と笑いながら先輩たちに言われつつ帰路についた僕は、自身の睡魔の強力さを再度認識したのであった。
『ミッションインポッシブル/ローグネイション(2015)』というよりトム・クルーズを観るたびに、僕はこの時のことを思い出す。

映画館にまつわる思い出

映画館でのバイトは、先述したように時給が安い。
そのため映画好きなどの理由で入る人が非常に多い。
皆方向性は違えど映画が好きであることには変わりなく、わりかし気が合う人が多かった。
飲み会や遊びに出かけたりなど、大学のような楽しみもあり今では良い思い出となっている。
お金で買えない価値があるとしたら、こういった思い出なんだろうなと思えなくもない。

いつも自分の体からあふれ出るポップコーンのにおいを車に充満させながら自宅に帰っていた。
今ではこんなにおいを浴びることはなくなったが、映画館でポップコーンのにおいをかぐ度、あの頃の思い出がとめどなくあふれてくる。

戻れるなら、もう一度映画館バイトをしたいなと思う今日この頃である。

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