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酷白 be reborn 捌】
─患者さんの役に立っているのだろうか?─
私が決めた命の期限の歳に近づいていた。
─感染症が落ち着いたら逝こう─
先生
推しが出てる舞台の配信観てよ。
明るい声が診察室に響いた。
酷白 be reborn 漆】
「先生、感染しているかもしれない
死にたくない。」
昼夜を問わず連絡が入る。
診療が終われば感染症に関する
情報を集める日々。
─いつまで続くのだろう─
弱音は吐かない。
─私が頑張らないと─
酷白 be reborn 陸】
「厄介な感染症が大陸で流行ってるな。」
医学系学会ではその話で持ちきりだった。
この感染症を水際で止めることは不可能。
─私の患者さんは罹患したら亡くなる─
─パンデミックになりませんように─
願いは届かなかった。
その数日後に客船のパンデミックが
始まりつつあった。
酷白 be reborn 伍】
命の期限を決めるために私は医療の道を志した。
─今度は失敗せず綺麗に逝けますように─
しかし、現実はそのことすら思い出せないほど
多忙な日々を送っていた。
歳月は過ぎ去り、命の期限に近づいていた。
─性の対象としてみられない歳になれば
楽になれる。きっと─
ただ1日だけ
その思いを忘れさせてくれる日があった。
─生まれ変わった弟は幸せかな。
もし本当なら会いたいな─
酷白 be reborn 肆】
仕事だけが私の生きている証。
「先生はどのような方が好みなんですか?」
「年上ですね。父と母が18歳の年の差が
あったので。」
嘘。
何度か付き合ったこともあったが
そういう関係になりそうになると嘔吐していた。
好きな人なのに気持ちが悪い。
若い男の人が恐い。
あの光景がみえてしまう。
幼い私が怯えている。
こわいよ…イタイヨ…
酷白 be reborn 参】
「可愛いね」
私と遊んでくれた父の部下。
20代後半で独身寮に住んでいた。
わたしは優しいお兄さんに遊んでもらっていた。
4歳の冬
「プレゼントあげる。だから…脱いで。」
─ありがとう。何を?聞こえない?─
記憶はここまで
あとは下腹部の痛い感覚が残っていた事だけ
「汚れてる…どういうこと!!」
─お母さん 汚れてないよ 私─
酷白 be reborn 弐】
私は汚れている。
─消えて無くなればいい─
あの現実を理解した9歳の夏。
性の授業として女子生徒だけ
別室で保健の先生と婦警さんから
話を聞いた。
─あれはそういうことだったのか─
その日の夜
わたしは命を絶とうとした。
一度だけ。
─死ぬことも出来ない惨めな私─
わたしは心の壁を造り始めた。
汚された私が傷つかないように…
幻実 𝐁𝐢𝐫𝐭𝐡𝐝𝐚𝐲【結─始】
私は22歳。
夏に弟の供養のために
母と訪れるお寺。
願いは叶ったね。
庵主様が微笑んだ。
弟が生きていれば20歳。
私は安堵し
5歳の私を記憶の奥へ閉じ込めた。
─幾つまで生きようか─
幻実 𝐁𝐢𝐫𝐭𝐡𝐝𝐚𝐲【承】
【承】
あなたの弟は産まれて
直ぐに死んでしまったの。
母と庵主様から聞かされた。
弟がいたこと
─嬉しい─
死んでしまったこと
─寂しい─
私が2歳の夏に弟は生を受け
死を与えられていた。