⚜ Spider Lily ⚜

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⚜ Spider Lily ⚜

言の葉を紡いでおります。 illustration works are reproductions & originals.The model for the illustration is Mario Kuroba. Permission granted by him.

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幻実 𝐁𝐢𝐫𝐭𝐡𝐝𝐚𝐲 【序章】

物語を始めよう 心の海に沈めた 愛されるわたし 心の檻に閉じ込めた 汚されたわたし 哀しいわたしたちの物語

    • 酷白 be reborn 捌】

      ─患者さんの役に立っているのだろうか?─ 私が決めた命の期限の歳に近づいていた。 ─感染症が落ち着いたら逝こう─ 先生 推しが出てる舞台の配信観てよ。 明るい声が診察室に響いた。

      • 酷白 be reborn 漆】

        「先生、感染しているかもしれない  死にたくない。」 昼夜を問わず連絡が入る。 診療が終われば感染症に関する 情報を集める日々。 ─いつまで続くのだろう─ 弱音は吐かない。 ─私が頑張らないと─

        • 酷白 be reborn 陸】

          「厄介な感染症が大陸で流行ってるな。」 医学系学会ではその話で持ちきりだった。 この感染症を水際で止めることは不可能。 ─私の患者さんは罹患したら亡くなる─ ─パンデミックになりませんように─ 願いは届かなかった。 その数日後に客船のパンデミックが 始まりつつあった。

        • 固定された記事

        幻実 𝐁𝐢𝐫𝐭𝐡𝐝𝐚𝐲 【序章】

          酷白 be reborn 伍】

          命の期限を決めるために私は医療の道を志した。 ─今度は失敗せず綺麗に逝けますように─ しかし、現実はそのことすら思い出せないほど 多忙な日々を送っていた。 歳月は過ぎ去り、命の期限に近づいていた。 ─性の対象としてみられない歳になれば  楽になれる。きっと─ ただ1日だけ その思いを忘れさせてくれる日があった。 ─生まれ変わった弟は幸せかな。  もし本当なら会いたいな─

          酷白 be reborn 伍】

          酷白 be reborn 肆】

          仕事だけが私の生きている証。 「先生はどのような方が好みなんですか?」 「年上ですね。父と母が18歳の年の差が  あったので。」 嘘。 何度か付き合ったこともあったが そういう関係になりそうになると嘔吐していた。 好きな人なのに気持ちが悪い。 若い男の人が恐い。 あの光景がみえてしまう。 幼い私が怯えている。 こわいよ…イタイヨ…

          酷白 be reborn 肆】

          酷白 be reborn 参】

          「可愛いね」 私と遊んでくれた父の部下。 20代後半で独身寮に住んでいた。 わたしは優しいお兄さんに遊んでもらっていた。 4歳の冬 「プレゼントあげる。だから…脱いで。」 ─ありがとう。何を?聞こえない?─ 記憶はここまで あとは下腹部の痛い感覚が残っていた事だけ 「汚れてる…どういうこと!!」 ─お母さん 汚れてないよ 私─

          酷白 be reborn 参】

          酷白 be reborn 弐】

          私は汚れている。 ─消えて無くなればいい─ あの現実を理解した9歳の夏。 性の授業として女子生徒だけ 別室で保健の先生と婦警さんから 話を聞いた。 ─あれはそういうことだったのか─ その日の夜 わたしは命を絶とうとした。 一度だけ。 ─死ぬことも出来ない惨めな私─ わたしは心の壁を造り始めた。 汚された私が傷つかないように…

          酷白 be reborn 弐】

          酷白 be reborn 壱】

          わたしが2歳の時に亡くなった弟の供養。 7月に母と訪れた山間のお寺で 5歳から22歳まで祈り続けた。 生まれ変わったら ─優しくて綺麗な男の子に─ ─幸せになりますように─ わたしの祈りが叶ってから幾歳月が経っていた。 「先生、うちの息子と結婚はどうですか?」 半分冗談交じりの言葉。 「仕事と結婚していますので」 いつもの台詞でやり過ごす。 ─男の人は気持ち悪い─ 若い男の人は怖い。 ─わたし自身が気持ち悪い─ 私は忌むべき人。

          酷白 be reborn 壱】

          幻実 𝐁𝐢𝐫𝐭𝐡𝐝𝐚𝐲【結─始】

          私は22歳。 夏に弟の供養のために 母と訪れるお寺。 願いは叶ったね。 庵主様が微笑んだ。 弟が生きていれば20歳。 私は安堵し 5歳の私を記憶の奥へ閉じ込めた。 ─幾つまで生きようか─

          幻実 𝐁𝐢𝐫𝐭𝐡𝐝𝐚𝐲【結─始】

          幻実 𝐁𝐢𝐫𝐭𝐡𝐝𝐚𝐲【転】

          次に生まれる時には 優しくて綺麗な男の子に 幸せになりますように ─綺麗な人に─ 私は汚れている。 ─幸せになって─ 私は幸せになれない。 私が汚されていたことを 母だけが知っていた。

          幻実 𝐁𝐢𝐫𝐭𝐡𝐝𝐚𝐲【転】

          幻実 𝐁𝐢𝐫𝐭𝐡𝐝𝐚𝐲【承】

          【承】 あなたの弟は産まれて 直ぐに死んでしまったの。 母と庵主様から聞かされた。 弟がいたこと ─嬉しい─ 死んでしまったこと ─寂しい─ 私が2歳の夏に弟は生を受け 死を与えられていた。

          幻実 𝐁𝐢𝐫𝐭𝐡𝐝𝐚𝐲【承】

          幻実 𝐁𝐢𝐫𝐭𝐡𝐝𝐚𝐲【起】

          【起】 5歳の夏 母に連れられ 街から離れた山間のお寺。 無邪気に蝉を追いかける私に ─あなたには弟がいたのよ─ 哀しい母の横顔に 嗄れた蝉の声が重なり 私の記憶は遠退いていった。

          幻実 𝐁𝐢𝐫𝐭𝐡𝐝𝐚𝐲【起】