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【広告の可能性】コミュニケーションカンパニーが考える“アイドル起用の意義”とは?

コミュニケーションカンパニーであるスパイスボックスのカンパニー長・森竹と、アイドルについて詳しいと豪語する広報の阿久津が、「アイドル×広告」というテーマでざっくばらんに話しました。

アイドルを広告に起用する強さと懸念

阿久津:最近、アイドルの方を広告に起用するとSNSが賑わい、Twitterでトレンド入りすることもあるのですが、一方でファンが内輪だけで盛り上がっているようにも感じていて企業に貢献できているか不安にもなるのですが……そもそも企業がアイドルを起用するメリットは何があるのでしょうか?

森竹:前提としてアイドルの起用は、商材の認知率や売上は(広告をどれだけ出したかにもよりますが)基本的には上がりますし、費用対効果もいいことが多いです。

ただ企業が持つ課題として、そのアイドルが広告を降りた瞬間、ファンが消えてしまうことも多く、売上げが持続しないという懸念があることは抑えておきたいです。

阿久津:いやぁ、耳が痛いです(笑)。推しがYouTubeの案件で紹介していたデパコスのリップは、自分に色が全く似合っていないのに買いましたけど、たしかにリピートしていないです……。実際にアンケートも取ってみたのですが、リピートする方は32.6%で意外と高いなぁと思いつつも、67.4%の方は購入していないですし、27.1%の方は最初の1回しか買っていないという結果でした。

森竹:企業側は、起用した広告が世に出てすぐの期間内に売上げた額に注目していることが多いので、基本的には最初だけでも購入することは、推しの応援に繋がりますね。

阿久津:個人的には、アイドルを起用すると、カラーバリエーションを紹介しやすいという利点はあるなと。推しにもそれぞれ担当カラーがあるので、取り揃えている色の多さや、色の組み合わせパターンを多様に見せやすい。コスメブランドの多くは女性1人をミューズとして起用することが多いですが、某コスメブランドはモデルから急にアイドルに変えましたよね。

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嘘っぽいキャスティングになっていないか?

阿久津:キャスティングについても考えたくて。低単価商材のCMに有名俳優が起用されていると「いやいや絶対使ってないじゃん!」と突っ込みたくなることもあるのですが……どういった思惑があるのでしょうか?

森竹:広告に起用されているタレントの私生活と商品とが接続化されていない場合、受け入れにくくなってしまうという生活者は増えているように感じるけど、個人的にその“ミスマッチ”を問題視はしていないかな。仮に、ご本人が使っていないのに「毎日使っています!」と嘘をつかせていたら問題があるのかもしれませんが、広告のアイコンとして起用する、すなわちクリエイティブとして参加してもらっている形に近いので。

阿久津:違和感や嘘だと認識してしまう生活者も多い気がしてます。あとは、「使ってないじゃん!」の派生として、女性向け商材を女性に売りたいのに、その商材を使っていないであろう男性アイドルを起用する、ある種の“ねじれ”が気になっています。もちろんメイク用品に関しては、男性もするようになってきたので“ねじれ”はなくなってきていますし、むしろ男性が広告にいることでプラスに捉える方もいますが……。「もともと使っていました!」という方を起用したら違和感ないんですかね。

森竹:中には、SNSなどで事前にリサーチして、自社の商材を使ってくれているタレントを起用するパターンも少しありますよ。逆にキャスティング後に、自社のアイテムを提供して、全て変更させる企業もありますし。


「競合排除」という契約

森竹:そこに付け加えて「競合排除」という他社の類似商材の広告はしないでねというお約束をすることも一般的ですよね。

阿久津:僕もインフルエンサー活動をしているのですが、抹茶系飲料の依頼で「他の抹茶系商材(飲料もお菓子もアイスも)全て禁止」と言われたときは、さすがに幅が広すぎるのでお断りしました(笑)。他にも、某音楽系事務所に所属している俳優が、映画で音楽を聴く際にはそこの親会社が出しているオーディオ機器やヘッドフォンで聴くとか、配慮が必要すぎて、これまたリアリティを欠いているような気もするのですが……。

森竹:例えば、ある企業の飲料水の広告に起用されているタレントが、関係のないイベントに登壇する際でも、広告を担当している水を手元に出しますし、仮にペットボトルのお茶を出す時でも、なんとなく同じ企業のもので揃える風習はありますよね。

阿久津:この業界に入るまでは競合排除の存在を知らなかったのですが、メリットって何があるんですか?

森竹:私生活や、ふとした時に他の商材を使っていることが分かると、それこそ「使ってないじゃん!」と不信に思う生活者もいると思いますし、企業側からしても何千万円も払って起用しているのに! となりますよね。あとは、仮にコスメに詳しい方が、片っ端から広告をやってしまうと、生活者は「〇〇さんが今日の朝のCMでやっていたのってどっちだっけ?」「〇〇さんが今セール中って謳っていたのはどっちのブランドだっけ?」と混乱を招くリスクもあります。また、タレント側は競合排除を受け入れる代わりに、更に多くの契約料を貰えるのでそれをメリットと捉える場合もあるでしょうし。


最後に

阿久津:僕はオタクなので、推しを起用したことで売上が上がったと企業側に思ってほしくて買うのですが、普段手に取らない商材に触れられる機会でもあるので色々な出会いを楽しんでいます。推しが好きなものは僕も好き! と言いたいがために今後も推しが教えてくれた商材は広告でもそうでなくてもどんどん購入していきたいなと。

森竹:生活者がリアリティの無い広告に対して、不信感を抱きやすい時代にもなってきているけど、費用対効果がいいアイドルは今後もキャスティングされていくと思うので、どんなやり方だと受け入れやすいのか、ファンの熱量を維持したまま売り上げに繋がられるのか、納得感を得られやすい手法や広告は何か模索していきたいね。